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大日乃光






大日乃光

2017年06月07日大日乃光第2177号
皇円大菩薩様のおひざ元で信者一同報恩感謝に集う六月大祭

科学的な価値観を超えて生き方を伝えてきた宗教
 
先程は準教師の杉本さんが臨死体験や死後の世界のお話をされましたが、現代医学では証拠がない事は扱いません。お医者さんが話されると信憑性が高くなりますが、かといって証拠がなく、否定する事もできず、学問的な対象にならないと無視されるわけです。
この様に医学や科学では証明できない事は、存在しないも同然の事になっています。
 
霊魂の世界、死後の世界、精神世界に関しては、まだ分っていない事が多いのです。
死後の世界に関しては、皇円大菩薩様も『扶桑略記』の中で人は何かに迎えられて死んでいくという事を書いておられます。
 
臨死体験については立花隆さんが本に書いて、一気に有名になりました。死の直前まで行って戻って来られた世界各国の方々の体験談に、非常に共通点が多いという事でした。お花畑があったり、川を渡って行く寸前に声をかけられ引き返したなど、洋の東西を問わず、宗教の違いを越えて同じ様な臨死体験を話されています。
 
ところが死後の世界に関しては証明する事ができないので、ない事になっているのです。
証明する事が出来ない事はないという事にしてしまうと、全ての信仰、全ての宗教の多くが成り立たない事になってしまいます。
 
その中で一般社会と整合性のある、あまり矛盾なく、信じる信じないに関わらず、宗教がお伝え出来る事は、いわゆる倫理道徳の話です。
 
宗教的な情念に基づく倫理道徳と、宗教的な物を一切取り去った倫理道徳とはどう違うのか?人としての生き方ですから、若干の違いはあってもほとんど重なるわけです。
 
そういった意味では道徳と宗教はどう違うのか?結局のところ、大きな違いは信仰する対象を設けるか設けないかという一点にかかってきます。
 
お釈迦様の入滅後、人々が求めた様々な佛様
 
佛教は、そもそもお釈迦様が説かれた話、お説法から始まりました。お釈迦様が亡くなられた後、待機して次にお説法なさる佛様が弥勒菩薩様です。
 
経典によれば、弥勒菩薩様は五十六億七千万年後に世に現れるという事です。途方もなく長い時間です。これは奇しくも地球の寿命とほぼ同じ時間だそうで、そこまで見通してその数字を出したのかは分かりませんが、いずれにしてもその間は佛様が居られないので、その間に人々を救う佛様を佛教者は求めたわけです。
 
その一つがお地蔵様です。お地蔵様は六道に迷う人々をお救い下さいます。しかも僧侶の姿をしておられるのです。すると僧侶がそのような役割を務めなければならないという意識が段々と芽生えてきます。
 
お釈迦様の仰られた事をまとめる中で、実はお釈迦様は仮に人間として現れたけれども、その前にお釈迦様をお釈迦様たらしめている何かがあったのではないか?とか、お釈迦様の過去世に七人のお釈迦様がおられたという考え方が出てきます。
 
また未来の救世主は弥勒菩薩様ですが、それまでの間、弥勒如来が菩薩として現実世界で救済されるという考えも出てきます。
 
お釈迦様は「応身佛」
 
佛様の歴史的な変遷の中で、〝佛身〟を分類整理した考え方が生まれました。現在まで二千五百年の佛教の歴史の中で、色んな人達が実感として感じたり、深い瞑想の中で感じたりしたものを三つに分けているのです。
 
一つは「応身佛」です。生まれ変わり死に変わりしながらこの世に現れ出て、人々の為に佛様や菩薩様のような働きをする人の事を「応身佛」と言います。その時代に応じた役割を持ってこの世に生まれて来て、様々な働きをされる佛様のことなのです。これは「等流身」とも言う事が出来ます。
 
ですから「応身佛」という考え方では、お釈迦様も二千五百年前にこの世に生まれられて八十年の寿命をもって生きてこられた、始まりがあって終わりのある一つの佛様という事が出来るわけです。
 
皇円大菩薩様は「報身佛」
 
では、私達が信仰している皇円大菩薩様という佛様はどういう佛様なのでしょうか?
九百四十年程前にこの地(玉名市築地)でお生まれになって、その後お坊さんになって修行され、八百四十九年前に魂をこの世にとどめ、衆生済度のために龍に身を変えて修行をしようと発願されました。そして大願を成就されて御誕生の地に帰って来られたのです。ですから蓮華院では、〝皇円大菩薩様〟とお呼びしています。
 
願いを成就して永遠の命を持たれた佛様の事を、次の段階の「報身佛」と言います。願いを成就して、その願いに報いて現れた佛様という事で「報身佛」と名前をつけられています。
 
この佛様は歴史上のどこかで始まり、そして今でもずっと生きておられる。始めがあって終わりが無いという佛様です。例えば阿弥陀如来様は法蔵菩薩が四十八の願いを立てて、それを成就されて阿弥陀如来になったと『阿弥陀経』に書かれています。ですから阿弥陀様も「報身佛」になるわけです。
 
また日蓮宗等では、お釈迦様を「久遠実成の釈迦如来」という言い方をします。歴史上に存在したお釈迦様だけれども、その方は今でも永遠に生き続けておられる。ですから釈迦如来と言う場合は「報身佛」なのです。
 
始めがあって今でもずっと佛様としての働きをされている。そういった意味で、一番身近で最も新しく、「報身佛」として働いて下さっている佛様が皇円大菩薩様なのです。皇円大菩薩様が長い佛教の歴史の中でどういう位置づけになるのか、少しお分かり頂けたでしょうか。
 
真言密教の壮大な「法身佛(ほっしんぶつ)」
 
ここまでが、真言密教以外の宗派の佛教における「佛身観」です。
真言密教になると、そういう「応身佛」や「報身佛」をも生み出す世界、宇宙全体が一つの大きな意思を持っている生命体と捉え、「報身佛」を含めた佛様を生み出す大元の世界というところまで考えを及ぼして、「法身佛」という佛身観が生まれました。これを真言宗では「法身大日如来様」と言うのです。
 
開山上人様は今から四十数年前、開創前の奥之院に「大日山天龍寺」という名前を付けられました。皆さん達に最も身近な所では『大日乃光』があります。その前身は『大日新聞』でした。これは開山上人様が付けられた名前です。「大日如来様からのお便りですよ」という意味です。大日如来様のお使いとして皇円大菩薩様がおられる。そういう位置づけなのです。
 
開山上人様はこういう言い方をされました。「大日如来様を例えて言うならば、天皇陛下のようなものだ。天皇陛下に何かをお願いして、聞いて頂こうと思ってもそれは無理な話で、総理大臣でも難しい。せいぜい県知事とか市会議員とか少し位の低い人に頼まなければいけない」と。
 
それと同じ様に、「法身大日如来様」というのは、あまりにも遠すぎる理想の世界におられて、完全無欠で過去から未来に向けて永遠の命を生き通しに生き続けておられる。これは想像する事は出来ますけれど、私達は実感する事はなかなか出来ません。
 
それを実感できるように様々な菩薩様を生み出されたのは、実は大日如来様なのです。ですがこれは言ってみれば、人間の想像の上での佛様です。ある意味ではイマジネーションで生み出されたものだと言う事が出来ます。
 
しかし私達はそれを単なるイマジネーションではなくて、目の前のそこにおられると捉え、その佛様を通じて大日如来様と魂の交流をするというのが我々の修行の原理原則なのです。そこから枝葉にわたる様々な如来様や菩薩様に対して、様々な接点を持つ方法も真言密教は沢山生み出して来たわけです。
 
密教の神髄へと人々を導かれる皇円大菩薩様の御霊験
 
その中の一つとして、皇円大菩薩様という佛様が、私達にとっては今目の前に居られるが如く実感する事の出来る、そういう佛様として蓮華院を中心に、ここから色んな働きをして頂いているわけです。しかも歴史的にこの地でお生まれになったということですからより身近です。
 
そういった意味では皇円大菩薩様を生み出した大元の母親みたいな世界が、間もなく竣工する多宝塔に荘厳される大日如来様の世界であると思って頂ければ、当らずとも遠からずというわけです。
 
ですから皇円大菩薩様は大日如来様のお使いとしてこの世にお生まれになった。そして自分自身が様々な修行を経て、大日如来様の大宇宙の大精神、そういう世界を体現しておられるのです。
 
ですから私は皇円大菩薩様の背後に大日如来様という大きな佛様のご意思が働いているという事を、日々実感しておりました。
 
御尊像への毎日のお勤めを家庭生活の主柱に据えよう
 
皆さん方のご自宅にある在家用の皇円大菩薩様もこれと全く同じく、大日如来様が生みだして頂いた御分霊ですが、磨かなければ光を発しません。祀ったからもうこれでいい、何もしない、では駄目なのです。皆さんご自身が佛様に心を通わせながら、毎日磨いていくことが大切です。
 
具体的には皇円大菩薩様の御尊像をお迎えしたら、最低でも毎日五分でもいいから、必ず佛飯やお水だけでもお供えをして家族全員でお参りをして、家庭生活の基本にして頂きたいと思います。御尊像(御分霊)をまだお迎えしていない方は、ぜひ一日も早くお迎えして下さい。
 
今回、遠方から月参りを発願された方がおられます。その方は今のお気持ちをしっかり保ちながら、少しでも佛様の近くでお参りして下さい。佛様にはなるべく近づいてお参りするという事が大事です。
 
その意味でも来たる六月十二日・十三日はまさに皇円大菩薩様の衆生済度の御心が満ち満ちている日です。全国の信者の皆さんのお参りを、寺内の者一同心よりお待ち致します。 合掌




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