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2017年12月28日大日乃光第2196号
日本人の気概と誇りを取り戻し八百五十年大祭をお迎えしよう

平成三十年は来たる飛躍に備える年
 
平成三十年の新年、明けましておめでとうございます。全国の信者の皆さん、輝かしい新年をいかがお迎えでしょうか?
 
本年の戌年は「成長を終え、次に備える歳」と大まかに言われます。私自身が当山の中興三世を拝命したのが平成四年の申年でしたから、この二十六年間に干支が二回以上巡った事になります。長かった様で、短くも感じられた二十六年間でした。
 
これまでを振り返ると、それはさながら今年五月十二日・十三日の皇円大菩薩様の八百五十年大遠忌に備え、本院の伽藍の整備に向けた一直線の歩みだったことに思い至ります。当山が鎌倉時代に創建された後、栄枯盛衰の中で約三百五十年の空白期間を経て、まさに往時の伽藍の威容をこの四半世紀で取り戻した訳であります。
 
この地を守って来られた数多の地霊や様々な神々、そしてかつての歴代貫主を始めとする大勢の僧侶の方々、殊には中興以来の開山上人様、先代の真如大和尚様の絶大なる御加護を体感しながら、二十六回目の八千枚護摩行の前行に邁進する日々の中で、この文章を書いています。
 
それと同時に毎日の前行としての護摩供養法の中で五千偏の御宝号を唱える時、中興以来の全国の過去・現在の数十万に及ぶ信者の皆さんの並々ならぬ信心との融合を体感し、法悦の修法の日々を過ごしております。
 
毎年この時期は八千枚護摩行の前行の中でこの新年の挨拶と法話を書いて来ましたが、今年ほど大きな収穫から次の時代を考えさせられた事はありませんでした。当山のこれからの歩みと活動についての事もありますが、それ以上に日本国家の未来についての事であります。
 
理不尽なイジメ問題の原因とは?
 
それは御本尊様に最も近い奥内陣での前行中、その側には絶えず「戦時犠牲者万霊位」と「世界平和祈念牌」の二つの牌を間近にしているからに他なりません。この二つの牌は戦後間もなく開山上人様が御本尊様の両脇に祀られて以来、七十年間祈り続けられた大願を象徴しています。
 
近年、若い世代で「イジメ」が増え、それが益々陰険になってきています。昔の私達日本人の倫理観では「弱い者をいじめてはならない」「弱い者いじめは卑怯者のする事」というのが常識でした。この弱い者、いじめられる人は抵抗したり毅然とした態度を示すことができていません。世の中には気が弱く、立ち向かうことの出来ない人が確かにいます。
 
実を言えば私自身が気の弱い少年時代を過ごしたので、いじめを受ける人が立ち向かえない事情も少しは分かります。しかし社会全体で、この様に理不尽ないじめをやめさせる動きが出にくいのはどうしたことでしょう。
 
その根本的な原因の一つに、私達の日本国家自体が「自分の国を自ら守る」という世界の国々では常識的な事柄を、七十二年以上も放棄して来た事に遠因があると思うのは私一人だけでしょうか?自分自身の誇りや尊厳を傷つけられた時、その理不尽な圧力に屈してしまうことが度重なれば人は卑屈になり、明るい未来を望むことさえ出来なくなるのではないでしょうか?
 
独立自尊の気概を心に備えよう
 
昨年十一月末にチベット佛教の高僧アジャ・リンポチェ師(生まれ変わりを公式に認められた僧侶)が、わざわざご参拝なさいました。当山とアルティックが二十年以上チベット難民支援を続けてきた事と、またチベット支援の超宗派の会「チベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会(スーパーサンガ)」を設立する働きを行った事への感謝と敬意を表す為のご来山でした。
 
チベットは六十年近く中国に支配され、百万人以上の人々が殺され、佛教の大弾圧や文化の弾圧、言語の弾圧で、近年はチベット人の学校でさえチベット語が学べなくなっています。まさにチベットは植民地化されているのが現実です。
 
これは言葉を変えて言えば「国家的な民族へのイジメ問題」と言っても良い状態なのです。チベットだけでなく、南モンゴルやウイグルでもほぼ同じような現状が続いています。
 
ダライ・ラマ十四世法王猊下はあまりにも隔絶した軍事力の違いから、非暴力による高度な自治を求める対話を中国政府に呼びかけておられます。しかし中国政府は全く聞く耳を持っていないのが現状です。
 
個人のイジメから国際的なイジメ、つまり民族弾圧問題に話が変わりましたが、根底には似た構造があると言って良いかもしれません。個人が自らの独立自尊を保つ為に自分自身を守る事と、国家が国民や国土を守る事の両者は、気概や誇り、侵略させない守りや心構えがいかに大切かという点で共通している事を申し上げたかったのです。
 
 
自分自身の誇りを守る為には、その人自身が気概と誇りを心の内にしっかりと据える事が大切であり、そして国を守る為には多くの国民がそのような独立自尊の気風を持たなければならないと、改めて感じております。近年の日本は、これまでにない大きな国難に直面しています。その中で、ことさらこの気概が欠かせないと確信しています。
 
凛とした家風を育てよう
 
また最近は国民を代表する政治家の言葉にさえも「~させて頂く」という言葉が溢れています。自らを省みる謙虚な言葉遣いには違いありませんが、何らかの大切な決断をしたり、強い意志や方針を表明する場合でさえ「~させて頂きます」と言われるのはいかがなものでしょうか?断固としてこれを為すとか、決然とした方針を示す時でさえ「~させて頂きます」と言うのでは、その気迫が充分に伝わりませんし、人々に感動や共感も与えないでしょう。
 
現在の日本は様々な問題があるとはいえ、かなり成熟し完成された国家や社会を成し遂げました。しかし次の時代、子や孫たちの世代に社会を受け継ぐに当たって、

一、自ら深く省みる一方で、理不尽や不正は許さない公平公正な心構え
二、日本や故郷の輝かしい歴史や先祖の恩にしっかりと感謝する心
三、自分や家族の事は自分自身で為すという、毅然とした自立した生き方

この三つを新年に際し、改めて私達が自身に問いかける時ではないかと思います。それが次の世代のためにも大切だと思います。皆さんいかがでしょうか?
 
新年には良き家庭を作る三つの習慣として、毎年この時期に、

(1)朝から家族でお互いに挨拶を交わし合う
(2)三度の食事の時、必ず「いただきます」「ごちそうさま」を言う
(3)履き物をそろえる

の三項目をお伝えして来ましたが、それに加えて今年は、

(4)不正や理不尽は許さない強い心を持とう

をぜひ加えたいと思います。
 
これを身の周りや社会の不正や理不尽に対してだけでなく、自分自身や家族同士の心構えにして頂ければ、次の世代への大切な徳目となり、更にはその家庭の家風にもなって行くに違いありません。
 
このような家族の約束事や決まりを家長(現代は家長制度はありませんが、全ての組織にリーダーが必要な様に、家庭にもリーダーは欠かせません)がまとめ役になって、家族全員で話し合って決めて頂きたいものです。その中から家族の結束が生まれ、家庭の中に凛とした気風が出来る事でしょう。
 
一年の計を皆さんの各家庭でしっかり定めて頂き、意欲的で明るく希望に満ちた一年を過ごす起点にして頂きたいと切に願うものであります。合掌




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