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大日乃光






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2018年12月29日大日乃光第2228号
国家百年の大計を家庭や地域社会から創めよう

平成三十一年は守成の年
 
全国の信者の皆様、そしてご縁により本誌を講読されている皆様、新年明けましておめでとうございます。
 
かつて私達は新年にあたっては、家族一同で地域や国を挙げて、新年を輝かしい気持ちで迎えていた様に思います。そこには新たな年の始まりに、未来へと向かう前向きな何かワクワクする様な希望を持って、迎えていた方が多かったのではないでしょうか。あの頃の様な希望や夢を今一度思い起こして、明るく希望に満ちた心構えで家族一同で新年を迎えたいものです。
 
さて、本年の亥の年は土中に落ちた種が土に埋まり次の世代に繋がっていく意味と、今の繁栄している状態を維持するように守りに徹した方が良い、という意味もあります。
 
かつて先代の真如大僧正様は正月に当たり、
 
一日の計は朝(あした)にあり
一年の計は元旦にあり
十年の計は木を植うるにあり
百年の計は子を教うるにあり
 
と、よく言われていました。国家百年の基(もと)は家庭教育、学校教育、社会教育などの教育に待たなければならないという意味を含んでいたのだと思います。
 
明治維新より百五十年後に、日本の独立自尊を再考する
 

昨年は明治維新から百五十年でしたが、私達がその意味や意義を充分に検討したり、その精神を生かす様な世の中の動きは余りありませんでした。
 
その意味を敢えて私なりに解釈しますと、当時の弱肉強食の世界に日本民族が相当不利な中を必死に漕ぎ出し、国家の独立と民族のあり方を立派に守り抜いた百五十年だった様に思います。しかし残念ながら、七十四年前の敗戦によって、その独自性と自立を大きく損なわれながらも奇跡的な経済復興を成し遂げて、かろうじてその独立を守ってきたと言えるでしょう。
 
今の我が国の現状に対して、人それぞれに意見や感想は異なって当然ですが、国に対する意識はいかに違っても、難民問題などに長年取り組んできた経験から一つ言えることは「一人一人の国民の人権を最終的に保証するのはあくまで国家である」ということです。
 
平和な日本では関心が薄い祖国を奪われた民族の悲哀
 
私の知人のある方は五十数年前にチベットからインドに亡命し、ついで十二歳で日本に来られました。この方が先日ある雑誌で、「このままでは近い将来、日本は他国に併呑されてしまうかもしれない。他国に侵略された国民がいかに悲惨な暮らしを余儀なくされるか、私は身をもって痛感しています。日本の方々はその事にもっと心を致して欲しい」と述べておられました。
 
私達は平和な日常生活の中で、以上の事を殆ど意識する必要がありません。一方で、近年国際的な難民問題や移民の受け入れなどについて多くの問題が浮かび上がってきました。
 
昨年十一月に二年ぶりに来日され、各地で法話や講演をされたダライ・ラマ法王猊下が実は難民である事を知っている人がどのくらいおられるかを考えると、この難民問題を私達が日頃いかに感じる事なく過ごしているかが分かります。
 
不自然な愛国心の欠如
 
そして現在でも「愛国心」「祖国愛」という言葉に拒否感を持つ方が多くおられます。この感情がどこから来るのかを考える前に、世界中の殆どの人々は「国を愛する」事に何のためらいもなく、当然の事として受け入れています。
 
なぜ日本人の中に「愛国心」を忌避する人が相当数おられるのか?その理由はすぐにいくつか挙げられますが、敢えてそれには触れません。
 
その代わりに「貴方は故郷が好きですか?」「貴方は自分の母校が好きですか?」「貴方は自分の両親や家族が好きですか?」という問いかけをした時に、「自分はそれらが嫌いです!」と答える人はかなり少ないはずです。そして「嫌い」と答えた人の多くは、あまり幸せではないのでは?その人の心には何か傷があるのではないか?と思われます。
 
家族を愛し、故郷を愛し、そして祖国を愛するそれらの心はひとつながりに繋がっているのが普通です。国に対してだけ「愛せない」のは、人間としての自然な反応ではないと思われます。少なくともこの百五十年の中で、愛国心に関することは先の敗戦を境にした、私達の心のあり方の大きな変化の一つです。
 
新たな流れを生むネットの普及
 
最近では分からない事をネットで検索するのが流行っています。そこで「WGIP」や「プレスコード」を検索してみて下さい。私達が心の中になぜ愛国心を持てないのか、その理由の一端が分かるかもしれません。以上を調べて家族皆で話し合ってみて下さい。
 
また近年は先の大戦の原因や、なぜ日本は世界を相手に戦わなければならなかったのか?その結果大変な痛手を被ったが、先の大戦は世界にどんな影響を与えたのか?などを日本人の立場で、日本の歴史に則って肯定的に書かれた書籍がずいぶん増えました。
 
これらを読んで愛国心や祖国への愛着を持つ若い人々が、近年はかなり増えてきた様に思います。愛国心を持てず、国の歴史に否定的な人々の中に六十代以上の人が多いのは、同世代の私からすると何とも寂しい限りです。
 
知ることは、愛することへの近道
 
今一つ、故郷愛については、かつて細川護熙さんが熊本県知事だった頃「日本一づくり運動」を提唱されました。その中で、私は自分の故郷玉名の日本一を調べたり、玉名の輝かしい歴史を調べるうちに「玉名に生まれ、玉名で生きていてよかった!」としみじみと感じるようになりました。
 
故郷愛を育てるには、何と言っても自分自身の故郷の歴史や文化を知る事、学ぶことから始まる事を実感しました。これと同じように、私達は世界に誇れる「世界一の日本」を少しずつでも知ること、日本の歴史が肯定的に書かれた歴史書を一冊でも多く読むこと、日本が世界に果たした良い影響を知ることなどにつきます。
 
ご先祖様を大切にする姿勢で次世代に伝えたい民族の誇り
 
私達の良き伝統として、先祖に感謝し先祖を誇りに思い、先祖を大切にすることが挙げられます。この先祖への思いの延長線上に、地域の歴史や国の歴史を位置付けた時、私達は自然な感情を伴って「故郷愛」や「愛国心」を育てることができるはずなのです。
 
先祖への感謝の思いが私達を謙虚にし、先祖への報恩の心が私達に使命感を与えるように、日本民族の歴史を知ることによって次の世代への責任感と使命感が育まれるのではないでしょうか?
 
新年を迎えるにあたって、ご先祖様から受け継いだ良き習慣や生活文化をしっかりと見つめ直し、更には子や孫達にいかにそれらを引き継いで頂くかに思いを致しましょう。
 
そしてその中から、一人一人が真摯に生きる姿勢を通して、家庭の中で、地域社会の中で次の世代を引き継ぐ子や孫達に確かな家庭を、確かな社会を伝えて行く事が「国家百年の計」に繋がるに違いありません。この目標に向かって、新たな年を皆様と共に明るく雄々しく歩み始めたいと念願致します。合掌




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