坂村真民詩集
故坂村真民先生の詩を生前に先生のお許しを得て掲載させていただいております。
「 旅しなくても 」

      

世界を見てまわったからといって

決して自分が大きくなるわけではない

自分を広くするためには

自分の心を解き放つことである

そうすれば旅しなくても

三千世界が展開し

無辺際の宇宙が

わが心の中に入ってくる

しんみんよ

小さい堂にいても

つねに耳目を開いて

万有と交流せよ

「 詩 」

      

鳥だって

魚だって

木だって

みんな

詩を持っていますよ

あの美しい装いを

見てごらん

虫けらなんていわれる

彼等でも

あの声をきいてごらん

神さまの使いのようなこえで

鳴いてるでしょう

宇宙一ぱいが

詩ですよ

「 祈り 」

      

五十億年の地球に

わたしは額をつけて祈り

わたしの願いを告げる

僅か七十七年しか

生きていないわたしが

五十億年も生きてきた地球に

ものを言うのであるから

少々の熱意とか

少々の勇猛心とかでは

通じそうもないが

誠意さえあれば

必ず聴いてくれると思い

祈っている

坂村真民プロフィール

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