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大日乃光






大日乃光

2012年02月01日大日乃光2000号
『生涯の目標設定が未来からの光を生む』(1)

三千号発行を目指す『大日乃光』

 今回で本誌はなんと、ちょうど二千号になりました。これまでの歴史を振り返れば感慨もひとしおです。

 

 ところで天台宗の大切な教えに「一念三千」という言葉があります。これは人の一瞬の思いの中に三千の世界があるという考え方です。幕末の志士、高杉晋作の「三千世界の烏を殺し、主と添寝がしてみたい」という都々逸に出てくる三千世界は、この「一念三千」のことです。

 佛教ではこの三千という数を大切にしますので、仮に本誌が三千号まで発行する頃を想像してみますと、私は既に九十歳を超えているはずです。
私はこの事を考えついてすぐに、私自身が計画している九十六歳までの生涯計画表の中の、西暦二〇四四年の所に「『大日乃光』三千号発行」と書き入れました。

 

「生涯計画表」の六大項目

 

 この「生涯計画表」というのは、もう十年以上前から書き続けてきた、未来に向けての六項目に亘る目標です。
 

 一番右側に元号の平成年次を書き、次に西暦年数を書き入れ、併せて自分の年齢を書き記します。そしていよいよ六つの生涯目標のそれぞれの分野を書き記します。第一に修行の予定表、次にお寺の事。そして国際協力、文化活動、教育関連、家族の事と並べます。
 

 修行については何年に七回目、八回目の「求聞持行」を行うとか、それ以外にどんな修行を行うかなど、予定を決めたらすぐに書き入れます。
 

 次のお寺の項目には、例えば平成三十年が皇円大菩薩様の八百五十年大遠忌法要、四十年が奥之院開創五十周年という風に、大きな出来事を書き込みます。
 

 その他は、前号で「教育機関の開設」をお伝えしましたが、その創設を平成三十四年に一応書き込みました。

 

生涯計画は四年に一度の更新

 

 私にとって、この「生涯計画表」は「一年の計」どころではない、九十六歳までの人生設計なのです。そして予定表を一目で見られるこの表は、四年に一度、書き直す事にしております。なぜ四年に一度なのかの経緯は、私が貫主を拝命した頃に遡ります。
 

 私が副住職の頃は、対外的に飛び回る事が多かったので、常に一年分の手帳を持ち歩いていました。しかし四十歳で貫主を拝命して以来三年間は全く外出しませんでしたので、三年分のスケジュールが書き込める卓上スケジュール帳を使う事を始めました。

 最初の三年間は、そのスケジュール帳を三年分、最後まで使ったのですが、次の三年スケジュール帳は二年分しか使いませんでした。なぜかと言えば、三年分しか書けないスケジュール帳を最後まで使うと、次の年の予定が書き込めないからです。そこで二年が過ぎたら新たな三年帳を使う事にしていました。

 

 この三年スケジュール帳も、十二、三年前からは、「五年スケジュール帳」に替えました。その五年帳を使い始めると、五年先までの予定を書き込むようになったのです。

 そして十年ほど前のある日、その五年スケジュール帳の後ろの方に付録で付いてくる自由に書き込める部分に、九十六歳までの予定表を書き始めたのでした。最初は三つの分野だけの予定表でしたが、それが四年おきに少しずつ増えてゆき、現在は六つの分野の予定表になったのです。

 

先代と先々代の九十六年で果たされた、中興の使命
 

 

 この生涯計画表がどうして九十六歳までかと申しますと、皇円大菩薩様の世寿(人間としての寿命)が九十六歳だったからです。

 これは先代真如大僧正様から直接伺った話ですが「是真大僧正(開山上人)は九十六歳まで生きたい!
と言っておられた。そうすると、その頃お前(私の事)が四十歳になる。そうなれば私の出る幕がなくなるので、それは助かるなーと思っていた」というものでした。

 

 実際には開山大僧正様は八十二歳で御入定されましたので、その後の十四年間、真如大僧正様が貫主を務めて頂き、私が中興三世の貫主を拝命したのは四十歳でしたから、開山大僧正様の九十六歳まで生きたいという願いは、真如大僧正様とお二人で併せて九十六歳という事になったのでした。

 

人生目標は明確に、優先順位を定め、達成の期限を決める

 

 話が少し脇にそれましたが、私が何をお伝えしたいのかと言えば、正月に一年の計を立てるのと共に、ある年齢に達すれば、人は生涯の目標や予定を少しでも明確に確立した方が活き活きと生きられるという事をお伝えしたかったのです。
 

 ただ漠然と「何々をしたい」「これこれを達成したい」…というのではなく、おおよそ「何年までに何々を成し遂げる」「何年以内にこれこれを成就する」というように、明確な達成の期限を決めることがとても大事です。期限を決めない目標では、目標とは言えません。単なる願望にしかならないのです。


 そして次に大切な事は、自分の人生をどんな分野に分けるか、その中でどの項目を最も大事にするかという風に、人生目標の分野を明確にします。その中でどの分野を最も大切にするかという優先順位を設定する事も大事です。

 

御霊示される蓮華院貫主の使命


 ここまでは信仰や修行とは全く関係のない、人生目標の決め方についての基本的な知識の話です。私が設定した人生分野の中に、〝修行〟という項目がある事について、少し説明します。

 

 昨年の八千枚護摩行中に「十三佛霊場の開設」を御霊示された事は前号でお伝えしました。私の場合は人生目標を自分の考えだけで決めるのではなく、様々な修行中に御本尊皇円大菩薩様から御霊示で与えられる目標があるのです。私にとっての修行は、自分自身に目標を示して頂く貴重な期間になっているのです。


 開山大僧正様の蓮華院中興と、奥之院開創の発願。真如大僧正様にとっての奥之院落慶と、本院五重塔の発願。これらは全て皇円大菩薩様から歴代の貫主に与えられた目標であり、使命であったのです。与えられた使命の達成までに、いかに社会の状況が変わろうと、国際情勢が変わろうとも、ただひたすら与えられた目標に向かって歩み続けられた先代、先々代の生き方こそが、私にとっての大きな燈明であり、目標でもあるのです。(続く)
 

 

 




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