ホーム > 大日乃光 > 大日乃光一覧

大日乃光






大日乃光

2012年02月11日大日乃光2001号
「一食布施」の実践は蓮華院信仰の基礎(1)

「スーパーサンガ」で二つの提案
 

 立春が過ぎ、節分も過ぎましたが、まだまだ寒い日が続きます。皆様お元気でしょうか?
 

 さて、先月の中頃、私は今年初めての出張をしました。総本山西大寺の会議と、いま一つは四年前に私自身が発起人となって設立したチベット支援のための「宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会」(略称スーパーサンガ。さらに略してSSと仲間で言い習わしている全国組織の会)の役員会でした。
 

 このスーパーサンガの役員会で、私は二つの事を提案しました。一つは現在全国に四つある支部(関東、関西、広島、九州)のそれぞれの活動に加え、全国の会員が集う全国結集(ケツジュウ=僧侶が集まって大切な事を決める集い)を提案しました。その結果、関西支部の担当で、九月に大阪で開催する事が決まりました。
 

 いま一つは、当山で先代貫主真如大僧正様が提唱されて以来、三十一年間続けてきた「一食布施」のように、自ら決めた日に一食を断食して、その経費をスーパーサンガに寄付して頂く事を提案しました。


宗派を超えて広がる「一食布施」
 

 この「一食布施」は、当山の国際協力の源流ともいえる実践を伴った行動となっています。真如大僧正様は、この「一食布施」と共に随時の募金などを併せて「慈悲行」と名付けられました。全国の信者の皆さんの、この様な浄財が基礎となって、れんげ国際ボランティア会(ARTIC=アルティック)を通じて三十一年間の国際協力の活動が続いてきました。
 

 こんな説明をしますと、誰一人反対する人はなく、皆さん一様にうなずきながら聞いておられました。そしてチベット人にとって大切な日である三月十日(チベット民族蜂起記念日)に因んで、毎月十日に一食を食べず、チベット支援のための寄付に当てる事を、この会で提唱する事が決まりました。
 

 信者の皆さん方は、これまで通りに毎月八日と二十日に「一食布施」を実践して頂ければ、それでよいと思います。

 

五重塔建立とマンダラプロジエクト


 
 先の会議の席上で、当山のチベット支援のこれまでの歴史と実績を少しお伝えしまた。新しい信者さん方も増えましたので、その内容を改めて少し詳しくお伝え致します。
 

 チベット難民を支援するようになったそもそものきっかけは、十五年まえに落慶した本院の五重塔の建立に起因します。昭和六十二年、先代貫主真如大僧正様が皇円大菩薩様の御霊示によって、純木造の五重塔を本院に建立する事を発願されました。
 

 この発願を受けて、私は早速五重塔用材の手配を始め、約八百本の青森ヒバを手配し、水乾燥のために奥之院の桜ヶ池女池に漬けました。その後、自然天日乾燥のために奥之院の境内に積み上げた頃、発願主の真如大僧正様は遷化されました。
 

 先代は、用材の手配と建築業者の決定を下された以外には、特別な方針を出しておられませんでした。そこで私は平成四年の七月以降、三年籠山(お寺から外出しないこと)中に三つの方針を御本尊様からお示し頂いたのです。
 

 その中の一つに「日本に伝わっていない世界の佛教国から様々な伝統文化を摂り入れる」というものがありました。試行錯誤の末、先代の同級生の故高田仁覚高野山大学名誉教授(元同大学密教文化研究所所長)から、ダライ・ラマ法王日本代表部事務所の初代代表であったペマ・ギャルポ博士をご紹介して頂きました。
 

 このぺ》先生のお世話で、チベットから亡命されている転生活佛に認定されている、チベット佛教ニンマ派のコーチャン・リンポーチェ帥をご紹介頂きました。リンポーチェ師にほ何度も当山にお越し頂く中、五重塔一層をチベット佛教のマンダラ(五点)とタンカ(佛画十二点)で荘厳する「チベット・マンダラ・プロジェクト」が始まりました。
 

 その頃、チベットから亡命された僧侶の皆さんが、チベット本土から少しずつ手分けして命懸けで持ち出された『テルチェン・カブーン』(十八巻)という経典の編集が終わっていたのですが、その印刷の費用で困っておられました。
 

 そこでマンダラとタンカをチベット佛教の画僧に描いて頂く代わりに、私達は『テルチェン・カブーン』の印刷費を応援する事になったのです。言わば国境を越えた宗教協力としての「マンダラプロジェクト」であり、五重塔建立を縁としてチベヅト佛教とのご縁が始まったのでした。
 




お申し込みはこちら 大日新聞(月3回発行)を購読されたい方は、
右の「お申し込みはこちら」からお申し込みいただくか、
郵送料(年1,500円)を添えて下記宛お申し込みください。
お問い合わせ 〒865-8533 熊本県玉名市築地玉名局私書箱第5号蓮華院誕生寺
TEL:0968-72-3300