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大日乃光






大日乃光

2012年10月01日大日乃光第2023号
明るく充足した人生へと導く先祖追善護摩供養の功徳力

人生の節目に忍び寄る病
 
私にとって、今年は大きな節目の年となりました。五月十九日の誕生日で満六十歳の還暦を迎え、八月七日には当山の貫主拝命二十周年を迎えました。

この事に因んで、本誌八月二十一日号(二〇一九号)と九月一日号(二〇二〇号)に「貫主拝命二十周年を機に蓮華院中興の回顧と展望」と題して原稿を書いたのが、八月七日と十六日。しかしその頃は、迫りつつあった体調の変化に全く気づいていませんでした。

八月十八日に親戚の結婚式に出る直前、鏡を覗き込んだら右眉に一本白い眉毛が伸びていたので手で引き抜くと、異様な痛みに少々驚いたのですが、これが何の原因によるものなのかは全く意に介する事もありませんでした。

その後、東日本大震災被災地の、福島県いわき市からの十五名の少年少女に話をしたり、共に県知事への表敬訪問と空港への見送り。また古い知人の叙勲の祝賀会が八月二十九日。その後、少しずつ眉の辺りが腫れてきました。

三日もすると益々腫れ上がり、二十九日に特別指導をする頃には額から顎の方までピリピリする痛みが走りだしました。その頃は、かなり腫れ上がって〝男お岩さん?〟さながらでした。
 
僅か四日で完治した帯状疱疹
 
「これはおかしい…」と思い、八月三十日に皮膚科の病院を受診すると、「帯状疱疹です。入院して下さい」とのこと。私は、「入院は出来ません。何とか通院で治療できませんか?」とお願いしました。

すると、「何とか通院で治療しましょう。しかし眼球に菌が入っていると、失明する事もありますから、すぐに眼科に行って下さい!」との事。幸い目には転移していませんでしたので、医師の先生の言われる通りに安静にして薬をきっちりと服用しました。ただし病院から処方された痛み止めの薬は、ほとんど飲む必要がありませんでした。

四日後に再び受診する事になりましたが、その間ストレスになる事を避け、汗を流すような激しい動きを絶対しない事などを厳しく守りました。

その後、友人や知人から帯状疱疹の話をたて続けに聴きました。ある方の伯父さんは帯状疱疹で亡くなられた事や、古い知人からは自分自身が同じ病気で二ヶ月入院し、その時の痛みは何とも耐え難く、気が折れそうだったそうです。

九月一日からは月始めの分も合わせて三千件を超える祈祷が始まります。そんな中で九月の前半のスケジュールをいくつかキャンセルしたり先延ばしにしましたが、九月四日の二度目の診察の時には、首まで違和感があったものが全く痛みもなく、顔面の腫れもすっかり引いていたのです。

「ほぼ全快です。たった四日でこんなに治ったんですか!!しかしあと三日間はビタミン剤をしっかり飲んで下さい。そして引き続き安静に努めて下さい」との診断でした。
 
汗とストレスなく務めた対談・布教会・御縁日
 
そんな中で、いくつかのスケジュールをキャンセルしたために空いた日を使って、前号でお伝えしたように、上京して大臣や官僚の方々との対談が出来ました。そして九月九日の関西支部布教会も、支障なく務める事が出来ました。

十三日の月例御縁日法要の後の午後には熊本県文化懇話会、そして十五日には第九回の「魅力ある生き方を考える集い」でした。別掲の『四天王顕現』の出版記念講演として、大佛師今村九十九先生の講演と対談の集いは、盛会の内に開催する事が出来ました。

このように書いてくると、少しも安静していないように思われるかもしれませんが、汗をかく程の動きは一切していませんし、ストレスになる事もしていないつもりです。私は新しい出会いや人の集まる所に身を置くのは好きな方ですから、これもストレスにはなっていないはずです。
 
「先祖追善護摩供養」で、皇円大菩薩様に召喚される目覚め
 
ところで八月上旬から、私は妻と私で「先祖追善護摩供養」を六座(三十日間)続けています。それは三年前に妻の久美子が脳出血で倒れて以来、彼女のために「全快護摩祈祷」を、信者の皆さんと同じように祈祷料を添えて寺務所に申し込んで、自から早暁の祈祷で祈ってきました。

妻はお陰様ですっかり元気になりました。そこで八月からは、妻のための「全快祈祷」から、私と妻の二人連名で「先祖供養」に切り替えました。

今にして思えば、その頃から目覚まし時計を使う必要のない程に、さながら佛様に起こして頂くかのようにスッキリと目覚めるようになりました。ここ二ヶ月は三時前に起きることが何度もあります。早い日は午前零時二十九分に起こされた事もありました。

それは、自分と妻のための「先祖供養」と並んで、これまでの「八千枚護摩行」や「求聞持行」とは全く違う形式での、ある特殊な修行に入っているのも大きいと思います。それは一言で言いますと、〝無相行〟と言えるかもしれません。

〝無相行〟とは形式や作法を超越した、日々の生活の中での修行のことです。この新たな修行のことは、ある程度の成果が出た時に改めてお伝え致します。
 
「大宇宙大和楽」は、 真言密教の究極の世界観
 
このように、佛様からの呼び声で起床する日々を送っていて思い出したのは、故坂村真民先生の「大詩母霊から召喚されて起きる」という言葉です。

真民先生にとっての大詩母霊とは、私にとっては皇円大菩薩様であり、皇円大菩薩様のお働きをさらに背後で支えておられる大宇宙の大霊、つまり大日如来様なのです。

本院の木造五重塔の傍に「大宇宙大和楽」と大書された真民先生の詩碑(第五百九番碑)があります。これは十三年前、真民先生九十歳の折に、蓮華院御廟(霊園)の「二度とない人生だから」の詩碑(第五百十番碑)と同時に建立したものです。

この〝大宇宙は大和楽である〟との霊言は、まさに真民先生の言われている大詩母霊から頂かれたものなのであります。

この言葉は、我々真言行者の求める究極の世界観と同じもののように感じています。それはまさに宇宙の根本、また大生命の象徴である大日如来様の世界と同等のものです。
 
二項対立の現実世界を超える「三密」に従う生き方
 
しかし近年、世界では天変地異が続発し、民族間、国家間の紛争が年々増えている現実が目の前にあります。

戦争と平和、調和と混乱、信頼と不信、愛と憎悪…。この二つの対立するものを根っ子の深い所で支え成り立たせているものは何でしょうか?

それは私達一人びとりの心の持ち方(心・意)、日々の生活のあり方(身)、どんな言葉で何を話すか(語・口)、この三つの要素が深く関わっています。

この三つを真言密教では「身・口・意」の「三密」と言います。この三つ以外に人間の表現の仕方、生き方は有り得ません。

私の先の話のように、全快祈祷から追善護摩供養に変えてみようと心で思いました(「意密」)。そして具体的に供養料を供えて申し込みました(「身密」)。こうしてそれらの経緯をお伝えするために、今これを書いています(「口密」)。

この三つに何一つ迷いがなく、先祖供養を自ら行なってすでに二ヶ月になろうとしています。そんな中で私自身の生活が変わり、私の心のステージや社会的な役割の質が変わりつつあることを実感する日々を送っています。

これこそまさに、先祖供養の功徳に違いないと確信して、日々を有り難く充実して送っているこの頃であります。  合 掌



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