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大日乃光






大日乃光

2012年12月05日大日乃光第2028号
佛意に適う真剣な祈りで行動し道を開こう

*還暦の記念植樹と「百年考」*
 
いよいよ今年も残すところ一ケ月となりました。私個人としては、本年還暦を迎えましたので、地元の小学校の同級生の皆さんと、地元の氏神様の鎮座まします四十九池神社の境内に楠の木を二本、記念植樹しました。今年一月二日のことでした。

先代真如大僧正様は、
一日の計は朝にあり
一年の計は元旦にあり
十年の計は樹を植うるにあり
百年の計は子を教うるにあり

と、二十三年前に始められた「子供の詩コンクール」のために、先の文を石碑として奥之院の一角に建立されました。

私達同級生は七十歳の古希、八十歳の傘寿、九十歳の卒寿、百歳の百寿と、少なくとも十年に一度はこの木のそばに集い続ける事になると思います。その意味でも「十年の計は樹を植うるにあり」をこれから何度か実感する事でしょう。
 
*巡り会いを生む信念と行動*
 
そして本年は、近い将来「教育機関を創る」と宣言しました。(先の野田総理のような「近いうち」にはならないとは思いますが)このように思い切って宣言してしまいますと、次々とそれに相応しい人びととの巡り合いが始まりました。やはり信じて念じ、願いを立てて行動を始めれば、必ずそれにふさわしい智慧を授かり、新たなご縁も生まれる事を実感しています。

ある青年とは初めて巡り合いましたが、約二時間の歓談の中で、ドイツでの教師の仕事を終えて近い内に玉名に遷り住んで下さる事になりそうです。また別の青年には、私が本誌に書いた文章の中から、広く世界に発信すべき内容の場合には英文に翻訳してもらい、当寺のホームページに掲載しています。すでに二ヶ月前から始めました。これも私が数年前から念じ続けて来た事でした。

また来年は、皇円大菩薩様御入定八百五十年の大遠忌の五年前になりますので、
久々に信者の皆様と皇円大菩薩様にまつわる有縁の地を巡拝することにしました。
 
*二年間念じ続けた大願成就と安全*
 
それ以外にも私が二年間、真剣に念じ続けてきたことがあります。それは本誌九月二十一日号でお伝えした井本勝幸さんの事です。彼は二年前の十一月、単身ビルマ少数民族の支配地域に乗り込んで、一年あまりで十一の少数民族(部族)の統合機関を創りあげました。

そして今年の夏にはミャンマー政府との直接交渉によって、外国や外国のNGOによる人道支援をミャンマー政府に認めさせたのです。この間、想像を絶する身の危険にさらされながらの日々だった事でしょう。この事は容易に想像できます。ですから私は毎朝の祈祷で、彼の無事と大願成就を現在も真剣に祈り続けています。
 
*異国に眠る戦友を見守る旧日本兵*
 
そんな中で、彼は七十六年前に終結した大東亜戦争の旧日本軍にまつわる戦跡に、度々巡りあったそうです。ある地域では地元の人びとがお寺の一角に、旧日本兵を弔うための供養の場が営まれ、毎日お花がお供えされ、お香が手向けられていたそうです。

そしてある民族のリーダーから聞いた事として、井本さんは国際電話でこんなエピソードを話して下さいました。既に九十七歳になる旧日本兵のお爺さんがおられて、その方が井本さんが少数民族地域に出入りされている事を伝え聞いて、こんな事を訴えておられるというの
です。

「ワシは六十年以上戦友のお墓を守って来た。いつか日本人が来てくれて、戦友達の遺骨を祖国に連れ帰ってくれるのを待っていた。聞けば日本人のお坊さんが近くに来ていたそうな。ワシの目の黒いうちに多くの戦友達を帰国させてくれ!!」と…
 
*本堂で祀られる二つの位牌*
 
この事を聞いた途端、私はこれまで六十数年間、常に本堂のご本尊皇円大菩薩様の一番近い場所にある二つの牌の事を思いました。

これは先々代の開山上人様が、先の大戦の直後から、三百万人に上る国内の犠牲者、そして世界では二千万人を超える第二次世界大戦の犠牲者の供養のためのものです。そして今一つの牌は、世界の平和を願って造られたのです。この二つの牌には「 戦時犠牲者萬霊位」と「 世界平和記念牌」と書かれています。

先々代そして先代も私も、毎月のご縁日、月二回の準ご縁日に、信者の皆さんと一緒に法要を努めてきました。また二十年前から、この二つの牌の間近で、八千枚護摩行の前行として、これまで四百座の護摩供養を修してきました。今年も十二月三日から八千枚護摩行の前行として、四百一座目の護摩行に入ります。

このように、当山は戦後間もなくから、先の大戦で犠牲になられた無数の国内外の方々を供養すると同時に、世界の平和に向けた祈りと実践を続けて参りました。そんな寺の貫主として、先のような旧日本兵の心の叫びを無視する事など到底出来ません。

早速、去る九月二十九日に、同志の僧侶の方々に相談しました。そして十月二十五日にはもっと多くの仲間の皆さんと共に、一時帰国していた井本さんの話を伺い、国民運動に繋げるための組織を新たに立ち上げる事になりました。以下にその運動のための趣意書を掲載します。
 
*ミャンマー(ビルマ)ご遺骨帰国運動趣意書(案)*

本年は先の大戦の後、我が国が国際社会に復帰して六十年という記念すべき年に当たります。そうした歳月を経た今も、戦場に散った旧日本軍の方々の多数のご遺骨が、祖国にお帰りになることも叶わず、中国、北朝鮮、ウズベキスタン、そしてミャンマー(ビルマ)少数民族支配地域に眠っておられます。

とりわけミャンマー(ビルマ)の少数民族支配地域には、厚生労働省の推測によると四万五千有余のご遺骨が帰国の日を待っていますが、従来の内戦が大きな障害となって、帰還も調査も叶わず時が流れてまいりました。

現状においても、日本国政府が正式に調査・探索を開始するためには、ミャンマー(ビルマ)国内の完全な和平の実現を待たなくてはなりません。一方で、時間の経過とともに、遺骨の
保存状況は変化(風化)しております。さらには終戦後に現地に留まった高齢の日本人生存者の情報もあり、少数民族支配地域の遺骨調査と捜索は一刻を争う状況であるといえます。

しかし、ご承知のようにミャンマー(ビルマ)は近年急速に民主化と和平が進展し、少数民族支配地域で和平のために活動している井本勝幸氏によりますと、少数民族支配地域においても、民間レベルでのご遺骨の事前調査は可能な状況になっており、ミャンマー政府も一定の理解を示しています。まさにミャンマー(ビルマ)におけるご遺骨は帰国の機縁を迎えつつあると言えるでしょう。

このような機を傍観することなく、祖国のために命を落とした同胞のご遺骨を迎えて供養をすべく、ここに広く国民の皆様に「ミャンマー(ビルマ)ご遺骨ご帰国運動」の趣旨のご理解とご協力をお願いする次第であります。

ミャンマー(ビルマ)の民主化の進展を受け、我が国においても経済投資の機運が高まっていますが、私どもの取り組みも、必ず日本人とミャンマー(ビルマ)の人々との深い友情と信頼の醸成に寄与するものと確信します。何卒、物心両面からなる多大なるご支援とご協力をお願いいたします。合 掌
 
*佛意に沿う熱き祈りを*
 
これから総選挙になりますが、この国民運動としての組織を立ち上げるために、今月二十三日までの八千枚護摩行の中で祈りつつ行動したいと思っております。皆さんもそれぞれの道を切り拓くために、真剣な祈りを御本尊皇円大菩薩様に捧げて下さい。

祈りを捧げるということは、その祈りが真剣であればあるほど、具体的な行動に繋がり、力が漲ってくるはずです。行動力が向上しなければ、その祈りがまだ本物ではないか、若しくは祈りの内容そのものが佛義に適っていないのかもしれません。

清らかな願い、世のため人のためになる願いは、必ず成就しなければなりません。その願いを叶えるために、寒さに向かう中でも寒気に負けない熱い祈りの日々をお送り下さい。
                                                 合 掌



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