2013年03月01日大日乃光2036号
御本尊皇円大菩薩様に導かれるミャンマー/ビルマご遺骨帰國運動
少しずつ春の訪れを実感する今日この頃です。
そんな中で去る二月十五日、宗務長の光祐はインド・ダラム・サラにあるチベット亡命政府との打ち合わせを、アルティック(れんげ国際ボランティア会=ARTIC)専務理事の立場と、当山の宗務長としての立場の二つの役割を存分に果たして帰国しました。詳しい事は次の本誌に掲載する予定です。
亡き友の御霊に導かれた内閣総理大臣補佐官との会談
その同じ二月十五日、私は総理大臣官邸に居ました。以前から何度かお伝えしている「ミャンマー/ビルマご遺骨帰國運動」を政府の中枢部に直接報告し、加えて大切な事を依頼するために、三人の同志と共に内閣総理大臣補佐官室を訪問しました。
そもそも、総理補佐官と会見するようになった経緯を、以下にお話しします。私の二十五年来の親友が、一昨年六十歳の還暦を目前にして亡くなりました。私より二歳年長の彼には、立派なご子息がおられます。彼とその仲間が日本会議という愛国的な団体を立ち上げていたので、彼はその長男さんに、「学生時代からつまらんバイトをするより、もっと意味のある時間の使い方をしなさい!」と、その事務局のお手伝いをするようご子息に指示しておられました。私はその事を十年以上前から伺っていました。
一月のある日、その長男さんが、初めて当山にお参りに来られたのです。その時、私はその長男さんに、「昨年から国民運動として、ビルマからの旧日本軍兵士のご遺骨のご帰國運動をしているのだけれども、日本会議にも応援して欲しいと思っています。貴君の知
り合いの方で日本会議の中心的な方がおられたら、その方を紹介して下さい」
と伝えました。すると早速、日本会議事務局のSさんを紹介して頂きました。
私がSさんと連絡を取り、上京の日程を伝えると、Sさんが総理補佐官の衛藤晟一参議院議員との会見を設定して下さったのです。そして、私達は三つの事を衛藤総理補佐官に伝えました。
ミャンマー内戦の終息に向けて日本政府に具体的な行動を促す
一つは、これまでのご遺骨帰國運動が始まるきっかけを創り出したのは、井本勝幸師の働きによるものである事。井本師の活躍でビルマ少数民族の間に大同団結が出来た事と、その過程で旧日本軍兵士のご遺骨の調査のために、ビルマ少数民族のリーダー達による全面的な協力が得られるようになった事。そしてそのために、全国の有志の僧侶で協力し合って調査費を募金している事などを、まず衛藤補佐官に伝えました。
去る一月三十一日、私達は厚生労働省の記者クラブで共同記者会見を開きました。この会見にはビルマの少数民族代表として、クン・オッカーUNFC(ビルマ統一民族連邦評議会)第二書記長にもわざわざ来日して頂きました。
この席で、オッカー氏が、「井本師のお陰で我々は歴史的な団結をなしとげ、そのご恩に報いるために旧日本軍兵士のご遺骨帰國のために調査を始めました。この調査を円滑に進めるために、ミャンマー全体の平和のために、是非とも日本政府からの応援を頂きたい!」
との発言をされていたことも、総理補佐官に伝えました。
現在(二月十七日)もミャンマー政府軍がミャンマー北部のカチン州都を空爆していて、カチン州では数千人の死者と数万人もの避難民が食料さえも乏しい苦難の日々を送っているのです。
そんな中で井本師達は、少数民族地域に食料や医療品の配布を続けて頂いています。ですから私達は衛藤補佐官に、「少数民族支配地域でのご遺骨調査を安全に出来るように、ミャンマー政府に対して、日本政府から公式な外交ルートを通じて承認するよう伝えて欲しい」という事。さらにはもっと積極的に、「ミャンマー政府と少数民族の連合体との完全な和平に向けての調停に、日本政府が乗り出して欲しい」旨を伝えました。
不思議な力に導かれ、成功裡に終わった会談
当初の予定より少し遅く会見が始まった関係で、そこまで伝えた時点で衛藤補佐官は中座されました。それはパラオ共和国大統領が安部総理を表敬訪問されたので、そちらに同席しなければならなかった事を直後に知りました。
しばらくして、パラオ大統領を厚生労働省にご案内する直前の僅かな時間に衛藤補佐官が
戻って来られて、こう言われました。「パラオの大統領から安倍総理に、パラオに残る七千柱もの旧日本兵のご遺骨を、パラオ政府が全面的に協力して日本に帰国できるよう努力する旨を伝えられました」と。何という同時性でしょう。私達が求めていた事を、パラオの大統領が同じ総理官邸の一階上の部屋で話しておられたとは!!
続けて衛藤補佐官は、かつて小泉政権時代に安倍官房副長官と衛藤議員と共に外務官僚として同志的に北朝鮮の拉致問題に深く関わって来られた外務審議官に、私達の訴えた日本政府からのミャンマー政府への働きかけについても伝えた事まで話して頂きました。
さらには一両日中にも、安倍総理に私達の依頼した事を確実に伝えますとの力強い言葉を伝えて下さいました。以上を私達に伝えた後、衛藤補佐官は大事な公務に飛び出して行かれました。
もし予定通りの時間に会見が始まっていたら、衛藤補佐官はパラオ大統領の話を私達の訴えの後で聞かれた事になり、このような具体的な対応までには至らなかったかもしれません。それを思えば何か不思議な力が背後で働いているように感じました。
日本がこれまで外交ではあまり大きな成果を挙げていないように感じていた私は、ひょっとすると戦後初めての外交的成果が、ミャンマー国内の和平の仲介で成し遂げられるのではないかという、期待を抱くに十分な手応えを感じる事が出来ました。
実現される、御本尊様の〝御霊示〟
当山の場合は、御本尊皇円大菩薩様から歴代貫主に〝御霊告〟や〝御霊示〟という形で、明確な御指示があり、それに従ってその実現に向けて、弟子の皆さんや職員の皆と一心に努力し続ければ、必ずやその御指示が実現出来るという実感を、この二十年で感じ続けています。
具体的には先々代の時代に、皇円大菩薩御入定八百年大遠忌を機に、奥之院開創が発願されたのは明確な御本尊様の御意志でした。それから十年後の先代の時代に、奥之院は落成しました。そして二十五年前に先代が同じく御本尊様から五重塔建立の御指示を頂かれ、その十年後には本院に五重塔が落慶しました。そして私の代となり、十二年前には御本尊様の御意志に従って南大門建立を発願し、同じく十年後の一昨年、再建が叶いました。
加えて八年前にはこの南大門に護国の佛である四天王をお祀りすることを御霊示なされ、南大門と同じく四天王を開眼入魂して以来、国家的な事柄に私が関わらされていると感じています。これも、やはり背後に御本尊皇円大菩薩様の大いなる御意志が働いており、私はその御意志に導かれながら動かされている事を明確に実感しています。
そもそも七十年前の旧日本軍兵士のご帰國の運動は、一寺院・一宗派の枠を超えた国家・国民の問題です。この大きな仕事になぜ私が関わるようになったのか、今は充分には解りませんので、信者の皆さん方にも、充分にはご理解して頂けないかもしれません。
〝善き友を持つ事は道の全て〟
昨年九月から、このご遺骨帰國運動のために何度も出張していますが、その度ごとに、有り難い巡り合いや思いもよらぬ応援などが重なり、組織が出来て以来三ヶ月で政府との関係まで出来て、具体的にここまでの広がりが出来ましたのは、私達の宗派を超えた仲間の協力と、同志としての結束力の賜であります。
お釈迦様は「善き友を持つ事は道の全てなり」との金言を残しておられます(『雑阿含経』)。
善き佛道の友、善き仕事のための友を、このご遺骨帰國運動の中で得た事は、これからの私の人生の大切な宝であります。
これから新たな学級や学校、そして職場を得て、人生を雄々しく歩み出される若い人びとにお伝えしたい事は、友人や仲間を大切にして、新しい出会いをワクワクした心持ちで迎えて欲しいという事です。このように、日々を前向きに過ごして頂きたいということであります。合掌
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