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2013年08月24日大日乃光第2052号
ミャンマー少数民族支配地域に残された日本人戦没者のご遺骨の帰還を(1)

(日本会議『日本の息吹』八月号より転載)

「ミャンマー/ビルマご遺骨帰國運動」
共同代表 小島 知広 安詳寺住職
幹事   川原 英照 蓮華院誕生寺貫主
事務局長 柳下 純悠 観音寺住職

『ミャンマー少数民族支配地域に残された日本人戦没者のご遺骨の帰還を』(1)

大東亜戦争終戦から六十八年、サンフランシスコ講和条約で独立を回復してより六十一年の歳月が流れた。しかし、いまなお、戦時中のまま時間が止まった場所がある。海外や島嶼で散華され、いまなお祖国への帰還が叶わない日本人戦没者のご遺骨が残された場所である。

厚生労働省によれば、昭和二十七年度から平成二十四年度までに、海外戦没者二百四十万人(硫黄島、沖縄を含む)のうち約百二十七万柱のご遺骨の祖国帰還を果たしているが、約百十三万柱は今なお残されたままだ。

帰還を阻むものは長い歳月の間の周辺環境の変化などがあるが、中には政治決断で前進できるものもある。例えば国内の激戦地だった硫黄島は米国から返還後の昭和四十三年から自衛隊の協力なども得て遺骨返還事業が始まったが、戦没者約二万二千柱のうち約半数のご遺骨が未だ残されている。米軍占領中に造られた滑走路の下にも眠っているとされており、通常の方法では収容が困難だったからだ。

しかし安倍政権は今年三月、「硫黄島からの遺骨帰還推進に関する関係省庁
会議」(議長=衛藤晟一総理補佐官)を設置、四月には安倍総理以下閣僚等が硫黄島を訪問し、ご遺骨収容の活動を始める見通しだ。

もうひとつ、戦後久しく手をつけられなかった場所で、最近ご遺骨帰還への動きが出てきたところがある。ミャンマーの少数民族支配地域だ。ミャンマー(当時ビルマ)では、約十三万七千柱の日本人が散華された。

そのうち約四万五千柱は未帰還で、その多くはミャンマー中央政府の支配が及ばない少数民族統治地域に取り残されていると見られている。中央政府と少数民族との内戦が長く続いてきたためだ。

しかし今、その内戦が終息の兆しを見せており、少数民族統治地域でのご遺骨帰還に向けた動きが始まったのだ。

そのために昨年末、日本で設立された民間団体「ミャンマー/ビルマご遺骨帰國運動」の小島知広共同代表(もうひとりの代表は常林寺住職の林秀穎氏)、川原英照幹事、柳下純悠事務局長にお話を伺った(以下、「帰國運動」事務局と記す)。

動き始めた和平

―改めて活動の概要を。
「帰國運動」事務局 目的は、ミャンマーの少数民族統治地域における日本人戦没者のご遺骨の分布箇所を、現地での網羅的な聴き取り調査によって確定することです。その結果を日本政府に引渡し、政府による今後のご遺骨収容活動のための基礎資料とします。

―日本政府が直接手掛けることはできないのですか。

「帰國運動」事務局 日本政府は、ミャンマー中央政府統治地域においては、これまで何度もご遺骨収容を事業を行い、九万柱以上の帰還を実現しました。ミャンマー中央政府の支配が及ばない少数民族統治地域にも多くのご遺骨が眠っていることが指摘されてはいましたが、長引く内戦のため、これまで情報を集めることが出来ませんでした。

現行の法令では、具体的なご遺骨の所在箇所が特定されない段階で日本政府が調査を実施したり、調査資金を拠出することはできないことになっています。そこでまずは民間でその調査の先鞭をつけるほか方策がないのです。

―しかも民間での調査も内戦のため難しかったわけですね。

「帰國運動」事務局 そうです。しかし今、千載一遇のチャンスが巡ってきました。現地で和平のために尽力してきた我々の同志、井本勝幸師の働きかけにより、十一の主要な少数民族自治組織の連合体「統一民族連邦評議会」
(UNFC)が結成されました。これは画期的なことです。そして昨年十一月、
UNFCと我々との間で、旧日本軍のご遺骨の調査に関して全面的に協力する旨の覚書が正式に交わされたのです。

なお、UNFCの協力を得て実際の調査をするのは、現地で民生支援を行っている「タイ日教育開発財団」(海老原智治所長)で、我々の組織は彼らの後方支援としての資金集めや、日本国内の関係各方面との連絡調整係を担っています。



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