2013年09月11日大日乃光第2054号
悩みを持つ人々に寄り添う内観
悩みを持つ人々に寄り添う
三信条(反省・感謝・奉仕)の具体的な手段としての内観
(蓮華院誕生寺内観研修所 所長 大山真弘)
老若男女、全国から参加される内観
貫主堂前の百日紅が炎天下に紅の鮮やかな花を咲かせ続けております。猛暑の夏も収まり、ようやく少し涼しくなってまいりましたが、皆様方もお元気でお過ごしでしょうか?
今年の夏はいつまでも猛暑と豪雨が続き、今までの経験知が役立たないような気候となり、地球温暖化の実感を深くするこの頃です。
それでも、この猛暑のなか、先月も十名の方がお寺に泊り込んで一週間の集中内観をされました。遠くは北海道から沖縄まで、十二才から七十才の古希の方まで、中学生から大学教授や経営者の方まで、熱心に内観をされ、多くの気付きを
得て、明るい顔で帰っていかれました。また、Eメール内観者も増えており、嬉しい悲鳴をあげております。
三つのキーワードを掘り下げる
内観とは、三つの質問を使って自分自身を深く見詰め、人生を今までより楽に明るく生きられるようになる心理療法であり、自己探求法であり、悩み解決法です。三つの質問とは、
「してもらったこと」
「してあげたこと」
「迷惑や心配かけたこと」
の三つです。母親や父親や配偶者や、周りの人々を対象に、生まれた時から現在までをいくつかの時期に区切って、一人ずつこの問いかけをしながら、思い出し、調べていきます。そして、相手の側から、自分自身を見詰めてみて、色々な事に気付き、癒され、悩みや問題を解決し、自分自身で立ち直っていかれるのです。
この一週間の間に、一時間半に一回くらいの間隔で面接をして、内観者が調べたことを簡単に報告してもらいますが、批判や叱責などは一切致しません。面接者はあくまで内観者に寄り添う「聞き役」なのです。内観では、自分自身で気付い
たり発見してもらうことが非常に大事なのです。
人は、他人に注意されるより、自分自身で気付いたことは実行しようとしますので、内観の効果は長続きするのです。ですから、無理やり内観させられた人よりも、自分自身で内観に来られた方のほうが、大きな成果を得て帰っていかれます。
希望される方には、貫主様の「特別指導」も受けられます。それでは、中学生の内観体験感想文を紹介致します。
中学一年生の内観
僕は、お母さんとお父さんと双子の妹について内観しました。お母さんには、洗濯やご飯や旅行に連れて行ってもらったり、小学校に入ると勉強などを教えてもらったりしました。僕が小さい頃はおむつを換えてもらったり、いろいろと世話をしてくれていて、いろいろと迷惑をかけていたんだなと内観をして感じました。
お父さんには仕事などで疲れているのに遊んでもらったり、旅行に連れて行ってもらったりしました。迷惑をかけたことは、疲れていて寝ている時に起こしたりして、じゃましたりしました。色々とお世話をしてもらっているのに、全然してあげたことがないし、仕事とか頑張っているのに、じゃまするばかりで、全然お礼もしたりしていない事に気が付きました。
妹には一緒にゲームとかで遊んでもらったり、友達とどっか行った時に、お菓子とか、おみやげを時々持って帰って来てくれたりしました。でも、して返したことはなく、迷惑かけたことは、勉強や宿題をやっていたり何か集中しているとこに、ちょっかいを出したりしてました。
妹のおやつを取って、何もしてないとか、嘘をついたりしました。妹を不愉快にしていることに気が付きました。僕は迷惑かけたことはあっても、してあげた事がほとんどなかったのです。
これからは、母さんには、できるだけ迷惑かけず、そして迷惑かけたら、素直にあやまるようにします。そして言葉使いをよくするようにします。お父さんにもできるだけ迷惑をかけないようにして、風呂に入ってこいとかなんか言われたら、素直に聞くようにして、できるだけの手伝いをしたいです。妹にも迷惑をなるだけかけずに、なにかしてもらったら、お返ししたいと思いました。
隣の部屋で内観された大学教授の方は、小さい中学生が頑張っているんだからと、この子からエネルギーを貰ったそうです。続きまして、就職活動中の青年の内観体験感想文です。
就職活動
私が内観しに来た理由は、ついこの間まで通っていた職業訓練が終わり、就職という将来に対する不安がまず上げられます。そして、職業訓練で最初にかかげた目標、資格取得などが上手くいかず、今までも何かやろうとすると、すぐやめて
しまう怠惰な自分が嫌で仕方なかったことです。
自分にないものや頑張っている他人を見ると、嫉妬してしまう自分が嫌で嫌で、その事を少しでも変えたかったからです。それと一昨年に母を亡くしたこと、中学一年に父を亡くしていたことから、そのことに向き合いたかったからです。
そんな時、以前NHKのラジオ深夜便で聞いた、大山真弘先生の著書『お母さんにしてもらったことは何ですか?』を拝読し、大変興味を持っていました。蓮華院にお電話しましたところ、次の内観研修に参加できることになりましたので、正直嬉しかったです。
期待が大変大きい反面、不安や怖さもありました。著書で語られている方達は、感謝の気持ちがとても強くなったと書かれていますが、自分は本当にそんな気持ちになるのかと。それから、この何か漠然とした不安感が消えるのかと…。
ところが、いざ内観を始めてみると、何もかもとまどいました。大山先生は余計なことは一切おっしゃらず、たんたんとされていました。内観を続けるうちに内観とは視点を変え相手側から考えてみて、自分自身で色々と気付くことだと分かりました。ともすれば、私自身の弱音を吐いて、悩みを聞いてもらうような甘い考えがありました。今思うと、恥ずかしい気持ちで一杯です。
内観一日目は、本当に何も分からなかったです。してもらった事、お返しした事、迷惑をかけた事をただ考えるだけなのに、出てこない。出てきても単なる思い出というか、何も変化が無い。そんな感じで一日が過ぎました。
二日目は、本堂で皆さんと一緒に大きな声でお経を唱えると気分が爽快になり、よかったんですが、いざ内観になると、眠たくて眠たくて、全然集中できませんでした。そんな自分が嫌になり、こんなの意味あるのかと、自暴自棄になりました。先生にそのことを告げると、「だまされてもいいやと思って、やってみて下さい」と言われ、そのことを信じてやりました。しかし、睡魔がおそう。本当につらかったです。そして、母が亡くなるまでの事を面接の時話したら、悲しくて泣きました。しかし、この時は、単に当時を思い出して、ただ泣いた感じでした。
母の愛に気付いた
三日目ぐらいで、二回目の母の内観を始めた時ぐらいになって初めて、自分の中で起きた変化みたいなものに気付きました。「あぁ、これが内観なのか」という、少しですが実感がわきました。
自分が小さい時の母の内観をしていて、本当に私は愛されていたんだなという思いが、実感として確信したからです。それと同時に涙があふれました。そして、深く感謝しました。
それから、養育費の計算でびっくりして、自分がどれだけ愚かだったか、反省しても反省しきれなかったです。
また、家族の内観をしていって、自分が如何にみんなに支えられ生かされていたかよく分かりました。口では感謝していると今まで簡単に言っていたんですが、内観して、ほんのちょっとかも知れませんが、感謝の気持ちが心の底から湧いて
きて嬉しかったです。
内観中にテープで聞いた十五年間毎日内観をされていた女性の、草や木にも感謝の念がわいているという言葉には、とても感動しました。自分の内観は浅すぎて、まだまだです。今後も継続して、すべてのことに感謝して生きていきたいと思います。
また、一週間、朝昼晩と大変おいしい料理を作って頂きありがとうございました。
生かされている事実
また、別な方は祖父に毎年お年玉をもらった時、祖父の「今年も生きてお祝いできてよかった。ありがとう」という言葉を思い出しました。祖父の命の長くない事を思うと、祖父がどんな気持ちでこの言葉を言ったのかと、思わず涙した方もおられました。
このように、内観が進み、深くなると、してもらったこと(感謝)ばかりになる人と、迷惑・心配かけたことばかりになる人が出てきます。どちらも正しいと思います。どちらに重点をおくかだけの違いだからです。
全ての人は他の人からしてもらい続けているし、また同時に、迷惑や心配をかけ続けているのが、私達の生きている本当の姿なのかもしれません。
いずれにせよ、自分ひとりの力で生きているのではなく、全ての人、全ての物、全ての出来事によって生かされているのが、私達なのではないでしょうか。ですから、当山の『ちかいの詞』で「全てに感謝し」という文言があるのだと思います。
これからも寄り添う
NHKラジオ深夜便の放送以来、お陰様で全国各地から内観される方が来られるようになりました。また、女性の方も増え、年配者やうつ病の方も増えております。一日内観をしたあと、自宅で一ヶ月間Eメール内観される方も増えています。
それから、拙著『お母さんにしてもらったことは何ですか?』(サンマーク出版)もお陰様で第三刷まで発行されました。これも全て皇円大菩薩様と貫主様とお寺の皆様のお陰だと思っております。
これからも、悩んでいる方々に寄り添いながら、問題解決のお手伝いを続け、皇円大菩薩様とお寺のお役に立ちたいと思っておりますので、信者の皆様も是非一度お受けになられてみて下さい。
合 掌
※ホームページは、「蓮華院誕生寺」あるいは「蓮華院誕生寺内観研修所」でご検索下さい。たくさんの内観体験感想文がございます。Eメール naikan@rengein.jp
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