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2013年10月04日大日乃光第2056号
中秋の名月とご先祖様と語らう観月会
中秋の名月に輝く五重塔と南大門 昨夜(九月十九日)は中秋の名月でした。本堂から南大門までの参道を逆に辿りながら、月光に照らされた五重塔、そして塔の上方で輝く金色の相輪を、しみじみと見上げました。光が相輪の受け花の所で乱反射して、声を上げたくなる程の美しさでした。 そのまま延命門をくぐると南大門までの参道は一直線に白く光り、その先の雄々しく屹立する二層の南大門。その途中で全ての参拝者を出迎えて頂いているようなお姿の、開山大僧正様の銅像。参詣者お一人お一人を洒水加持して頂いているそのお姿も、月光を受けて笑っておられるようでした。 南大門の傍(かたわら)に立つと、左側(東)に多聞天が黄金の宝塔を高々と捧げつつ、眼光鋭い視線を向けてきたような錯覚に陥りました。 紀野一義先生の三ヶ条 その時ふと、その感動を仲間の僧侶の方々、そして友人・知人に伝えたくなって、約六十人程の人々に以下の文章を電子メールで送りました。タイトルは「今宵は日本では中秋の名月です」でした。(以下、その本文) 同志の皆様へ、そして今生(こんじょう=今生きている現世)で巡り合った皆様へ。 こんばんは。今、九州のほぼ中心地のここ玉名では、先ほど地平線から紅に輝きながら鮮やかな満月が上りました。そんな中で境内を散策していると、青年時代に巡り合った紀野一義先生の三ケ条の文言が心に浮かびました。 一、心ひろびろとさわやかに生きん 一、真実を求めて一筋に生きん 一、大勢の人びとの幸せのために生きん 全てのものを平等に照らす満月は、まさにひろびろとした爽やかな心を私達に与えてくれます。そして天空に輝くその光は邪気を祓い、一筋に生きる勇気を与えてくれます。そして自分自身も広く遍く全てのご縁のある人々のお役に立たねばという思いに導いてくれるようです。 和歌に詠む中秋の名月 こんな思いに浸っていると、次々と三首の私歌が生まれました。駄作ですが以下に記してみます。 星々の 光を統べる 名月は 明日をも照らし 今宵輝く 我が思い 月に勝るか その紅を さらなる色に 染めでは置かじ おお空に 光り輝く 名月に 我もなりたや 人の世のため 皇円上人様の弟子の法然上人とほぼ同じ時代を生きられた明恵上人は、 あかあかや あかあかあかや あかあかや あかあかあかや あかあかや月 と深紅に染まる名月を詠まれました。先の私の歌と違って、深い感動を素直に表現しておられます。何とも心に沁み入る和歌ではありませんか! 慈しみの光と希望の光 明けて九月二十日は、十八日から始まっている当山の四度供養の一つ、秋の彼岸供養の中日(本当の中日は二十三日です)に当たります。 四度供養の日々はいつもより早く起床して、貫主堂の持佛の間に向います。今朝はまさに天空に輝く満月が煌々たる白光で廊下の板の間を照らしてくださっていました。 六時頃になって西の空を振り仰ぐと、赤い赤い月が慈しみの光を湛えて下さっているように感じられました。 程なくして祈祷と供養を終えて、いつものように執務室に移って東を見れば、今まさに太陽が顔を出す直前でした。そこには真っ赤な朝焼けの空がありました。ほぼ同じ時刻に月と太陽が共に赤く燃えていたのです。人がどんなに苦しい時でも、朝日は東から昇り、どんなに悲しい時でも月は西に沈みます。 それとは逆に湧き立つような希望に燃えている人に対しても、月は静かに沈んでいく姿を見せてくれますし、一日の希望を朝日と共に実感させてもくれます。素晴らしい光に包まれているこの世界に、今まさに生きている事を実感しながら、 南無日光菩薩 南無月光菩薩 南無地球菩薩 南無皇円大菩薩 と、思わず唱えていました。 早暁に職員総出で『大日乃光』の帯封糊付け 九月二十日の朝七時、寺内の職員総出で『大日乃光』二千五十五号を帯封付けして発送する作業が、いつも通りに終わりました。早い担当者は五時過ぎには作業を始めています。そして、本院の梵鐘が鳴る七時前には全ての帯封付けが終わりました。 いつもでしたらそのまま朝食なのですが、今日二十日は「一食布施」の日ですからご飯を炊きませんので、お洗米(生米を水で洗ったお供え)のお供えを、いつものように本堂と貫主堂の御本尊様にお供えします。 こうして今日も一日が始まるのです。ここまでは二十日の午前中に書きました。 蓮華院御廟は私にとって真如大僧正そのもの そして今は、昨夜の霊園での第二十一回目の「観月会」が職員総出の支えで無事、感激の内に終わった余韻の中でこれを書いています。 先代の直筆で「蓮華院御廟」と大書された霊園の入り口にある大きな門標は、これまで何十万の人びとを迎えて来た事でしょう。入り口からの正面には、蓮華宝塔が深い緑に包まれて佇んでいます。 蓮華院御廟は先代の最後の大仕事でした。平成四年九月十五日に、この霊園はオープンしました。先代の遷化から六十九日目に開創されたのです。 この第一回目の「観月会」は、その月の中秋の満月の日に開催しました。以来毎年「観月会」として開催し、本日で二十一回目の開催でした。 私にとっての蓮華院御廟は、何と言っても父であり先代貫主の真如大僧正の御廟(お墓)そのものなのです。何かに困った時、大きな決断をする直前など、一人で何度墓前にお参りしたか知れません。 この霊園に縁を結ばれている皆さんも、お盆やお彼岸にお参りされる以外にも、今は亡き父や母、祖父母との語らいの場とされているに違いありません。 四度供養としての供養を多くの信者の皆さんが申し込んで頂いておりますが、この様な霊界に直接届く供養と同様に、やはり一回でも多くお墓やお佛壇にお参りして頂きたいものであります。合掌
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