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大日乃光






大日乃光

2013年10月29日大日乃光第2059号
水に希望を灯す市民の祭典、炎に祈りを込める柴燈大護摩祈祷

奥之院の秋の大祭を前に春の大梵鐘祭りを振り返る

いよいよ奥之院開創三十五周年記念大法要、即ち奥之院大祭の日が近づいて参りました。信者さん方の中には航空券や新幹線の切符の手配を終えて、大祭を心待ちにしておられる方も多いと思います。

〝奥之院の秋の大祭〟と地元の方々は言い習わしておられますが、奥之院では八年前までの二十七年間、「大梵鐘まつり」として春の大祭も開催していました。この春の大祭の目的は、地元の玉名市内や熊本県内、更には九州北部の方々の触れ合いのお祭りとして、また地元の若年リーダーの人材の層を広げること、さらには地元の様々なマチづくり、人づくりの団体の活性化などを目的として開催していました。

奥之院が育んだ子供達

いま一つは地元玉名の人々に、奥之院に対する親しみを育んで頂く事も大きな目的でありました。そのために、昭和五十四年の第一回大梵鐘まつりから平成十六年まで「赤ちゃん土俵入り」を開催してきました。その頃参加された赤ちゃん達も、既に三十代半ばから十歳ぐらいまで、延べ二千五百人を超えているはずです。

また、同時に開催していた子供スケッチ大会(後に親子スケッチ大会と改称)は、毎回二千人に迫る参加者でしたから、延べ三十万人を優に超える子供達が参加した事になります。

広い境内に所狭しとキャンバスを広げた子供達が、思い思いにクレヨンやクレパスを手にした姿は、今でも微笑ましく思い出されます。その他にも写真コンテスト、宝探し大会なども行いました。

奥之院境内の彩りは春の大祭の余韻

当時若かった私達は、その他にも「こんなこともやってみたい!」と様々な企画を考え出しました。その中でも今でもやってみたいと思っているのは、春ならばサツキやツツジ、シャクナゲ、ボタンなど、秋ならばキクやシクラメンなどの鉢植えで、境内をいっぱいにしてみたいという夢でした。

この夢は奥之院の境内の南側、桜ヶ池女池のそばに植えられた八百本のシャクナゲ群となって、また二月から三月にかけての「玉名盆梅展」として、一部実現しています。

当初の目的の一つであった「地元の人々の触れ合いの祭り」については、奥之院が玉名市街から六~七キロほども離れているので歩いての参加が難しく、なかなか思い描いた通りにはいきませんでした。また市民の方々が出掛けて行く行楽地も増え、五月三日の春の大祭はゴールデンウイーク三連休の中ですっかり埋没しつつありました。

その後の活動の礎となった法王猊下ご来山の遺産

そんな中、八年前にダライ・ラマ法王猊下が御来山頂くという大きな催しがありました。約三十名の中心的なリーダーと三十六名の全職員、そして二百人のボランティアで、四月十日から十四日までの全ての催しが無魔成満しました。

この大イベントの直後の五月三日の大祭の準備はとても出来そうにないという判断で、その年を以て、五月大祭はその役割を終えたのでした。

ダライ・ラマ法王猊下の御来山の際には、延べ九千二百人の人々が猊下の御講演や御法話を直接聴き、その暖かいお人柄に接する事が出来ましたが、その諸準備のために、それまで培ってきた友人知人のネットワークと共に、マチづくりや大梵鐘まつりを行なってきた経験が存分に活かされました。

このように格段に大掛かりな催しを通じて寺内の職員も貴重な経験を積み、一回りも二回りも大きくなった職員が何人も出て来たのです。

そして一昨年の南大門の落慶を機に、その翌年から今度は地元の人々に近い本院で、「南大門春まつり」を二回開催しました。一時中断していた「赤ちゃん土俵入り」も復活し、新たな楽しい催しも始まりました。

盟友が灯した熊本市民の誇り

私が以前から注目してきた地域の触れ合いのお祭りとして、第十回目を迎える熊本市内の「みずあかり」という催しがあります。今年は十月十二、十三日の両日に開催されました。

この催しの中心的な役割を務めている人物は、言わば同志とも言える盟友の石原靖也さんです。その石原さんが「みずあかり」の公式サイトにこの祭りの目的として、こんな言葉を掲載しておられます。

①ここに暮す人々に、これ以上のない故郷の「誇り」を抱いていただくこと。
②ここに暮す人々の「希望の灯り」となること。
③この地に暮す責任とこの地の豊かさに貢献する、「暮らし人(くらしびと)」となること。

「みずあかり」とはそんな市民の力を育む為の現場だと思っています。単なる住民としてこの地に籍をおくのでなく、自立した市民「暮らし人」として、「自らが汗をかき、この故郷の創造者の一人となることを目指す」

そんな「暮らし人」を一人でも育み、一センチでも市民力を高める。行政と市民力が固い絆で結び合い、互いの力を発揮しあう姿こそ、この故郷を元気な姿に導く新しい地域の形だと信じています。

そしてこの新しい形こそがこの国の復活の力の基となる!
決して大げさではなく、私はそう確信しています。
その未来は、自らの小さな一灯により始まるのです。
「一隅を照らす市民力」全てはここから始まるのです。
    みずあかり実行委員会委員長 石原靖也

この「みずあかり」は県や市から一切の補助金を受けず、そして大口の募金も受けず、まさに市民力、企画力を結集してこれまで十回開催されてきました。

今年は十五万~十七万人の人々がこの祭りを楽しみました。数百名のボランティアと三十数名の中心的なスタッフによって、半年前から準備が進められてきたそうです。

昨年は総務省主催の第十六回ふるさとイベント大賞で総務大臣賞(大賞)を受賞、日本一の「ふるさとイベント」に認定されたのです。中心的な役割を果たす人達は「将来は世界的な催しとしたい」と意気盛んです。

宗教的な祭礼、祭典が、フェスティバル(祭り)の語源

ここまで書いてきて、当山の大祭に心が向きました。寺院の祭りですから当然ですが、来たる十一月三日の奥之院大祭も行政からの補助金は当然の事として受けていませんし、まさに地元の人々の暖かい支えの下に毎年開催されてきたのです。

「みずあかり」は七十万都市の熊本市で十七万人の来場ですが、玉名市はちょうど十分の一の七万人の小都市です。それでも二万から三万人の人々が一日で来山し、お参りしておられます。そう考えれば「ふるさとイベント大賞」に匹敵する大祭と申しましても過言ではないと思います。

このイベントという言葉は随分以前から使われていますが、そこには宗教性がほとんど入っていません。宗教性の入らない祭りは、本来祭りとは言えません。

先の「みずあかり」では宮司様が点火式に来られて神事が行なわれ、水を入れた筒に和蝋燭を立てて、その背後に多くの人々が願い事や自分の信条などを書いて、約四百年の樹齢の楠の霊木に供えられます。ですからこの「みずあかり」は「熊本暮らし人祭り」として立派なお祭りとなっているのです。

炎の祈り、奥之院大祭

一方当山の大祭は、同じ炎の祀りである柴燈大護摩祈祷を中心に、まさに祈りのための祈りそのものの大祭です。

どうか皆さんも一人びとりの自立した信仰者として、御本尊皇円大菩薩様にしっかりと向き合って下さい。そしてそれぞれの故郷で、町で、村で、地域で、小さくとも自ら光を放つ灯火(ともしび)となって下さい。

そのために皇円大菩薩様の大いなる光、絶大なる御霊力を、来たる奥之院大祭でその身に受けとめて下さい。そしてその御霊光を自分の中だけに留めることなく、その一部分でも周りに反射して下さい。

その光が各家庭を、ふるさとを、広くは日本を明るく力強くたおやかにしてくれるのです。お参りされるお方はどうか一人でも多くのご友人知人や親族のお方をお誘い合わせの上、お参り下さい。合掌



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