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2013年12月06日大日乃光第2062号
「八千枚護摩」と「求聞持」御宝号壱千万遍読誦の大功徳力

当山貫主拝命の重責から「八千枚護摩行」を始める

この原稿を書いているのはまだ十一月の末ですが、本誌がお手元に届く頃は、今回で二十二回目となる「八千枚護摩行」前行の最中のはずです。

そもそもこの「八千枚護摩行」を始めたのは、先代貫主の突然の遷化(せんげ=高僧が亡くなること)により、思いがけなくも早くに当山貫主という重責を担う次第となりました。

そんな中で「今の自分では、とても蓮華院の貫主は務まらない。何としても、もっと修行を積まなければ!!」と思った事が大きなきっかけでした。

大いなる意志に衝き動かされた「三年籠山」宣言

平成四年七月八日の夕刻、先代の真如大僧正様が遷化されました。その夜の仮通夜で、私は何者かに背後から押されるようにして「私はこれからの三年間、お寺の用事以外では寺の境内から一歩も外に出ません!!」と言わされてしまいました。

それまでの私は様々な会合や集まりに先代の名代として出席したり、マチづくり、地域興しの会に参加したり、或いは自ら蓮華院を核とした地域づくりの会を組織して「八葉会」と名付け、毎月八日に会合を続けるなど、対外的な諸々の活動をしていました。

先代が遷化なされた日は、奇しくもその「八葉会」の定例会の日でしたから、「八葉会」の仲間にも仮通夜に出席して頂きました。ですからお弟子さんや親族と共に、マチづくりの仲間の前で先の発言をしたのです。

それまでは外に出る機会があまりにも多く、学ぶ事も多く、祈祷寺の住職としては修行が足りていないと痛感していた事も手伝って、「三年籠山」を決めて発言したのです。しかし今思えば、これは自らの意志で言ったのではなく、やはり大いなるみ佛様のご意志に衝き動かされて言わされたとしか思えません。

新住職就任の辞令と共に「八千枚護摩」と「求聞持」発願

そんな中で、総本山西大寺を中心とする真言律宗では、新住職就任に関する規約が変更されていました。

それは、新たに住職となる者は必ず西大寺に登拝し、宗祖興正菩薩叡尊上人の寿像(生前の姿をとどめた像)の前で、管長猊下から直々に住職の辞令を受ける事になっていたのです。

実質的には先代遷化の少し前から、全国の信者の皆さんのための毎朝の祈祷を先代に代わって務めていましたし、信者さんからの様々な「お尋ね」も名代として行なっていたのです。

しかし先の規約に従って、平成四年九月十八日、意を決して奈良の西大寺へ日帰りで登拝する事にしました。その日はこれまた奇しくも、その後「八千枚護摩」と「求聞持法」を伝授して頂いた生駒の観音寺のご住職、田原亮演師の「八千枚護摩」の結願の日でもありました。

その事を事前に知った私は、その日に西大寺で住職の辞令を拝受し、その足で観音寺に向かいました。堂内を圧する護摩の炎、多くの助法僧の大音声、熱心な信者の皆さんの真剣な祈り…。初めて拝した「八千枚護摩行」の熱祷でした。

その後、田原師には二日間に亘り、一対一で懇切丁寧に「八千枚護摩行法」を伝授して頂きました。

独自に感得した「皇円大菩薩八千枚護摩法」

その年は十二月二十日が日曜日でしたので、その日に結願を迎えるべく、十二月八日の成道会(釈尊が悟りを開かれた日)から一日に二座の護摩行を修する日を織り交ぜながら、開山上人様の十六年目の祥月命日の日に、第一回目の「八千枚護摩行」を成満したのでした。

この年を含めた三回は、不動明王を本尊とする完全に伝統を継承した形での「八千枚護摩」でした。

三年目(平成七年)の籠山明けには、第一回目の「虚空蔵菩薩求聞持法」を百ヶ日で修しました。その中で何とも有り難い事に皇円大菩薩様の秘印を感得し、道場観(その佛様のお住みになる世界を冥想で描くこと)も授かりました。

それで、四回目の「八千枚護摩」からは皇円大菩薩様を本尊とした「皇円大菩薩八千枚護摩行法」で修するようになりました。全ての佛・菩薩には供養法と共に護摩法があるのですが、皇円大菩薩供養法と護摩法は、私自身の感得による独自のものであります。

その後、八回修した「求聞持法」も三回までは虚空蔵菩薩を本尊とする伝統的な「求聞持法」ですが、それ以降の五回は「皇円大菩薩求聞持法」として、日蝕か月蝕の日時に百万遍目を唱えるようになりました。

「八千枚護摩」では毎日五千遍の御宝号を二十日間、「求聞持」では毎日一万遍の御宝号を百日間、または毎日二万遍の御宝号を五十日間唱えてきました。

御宝号読誦が導く現世利益の功徳力

そんな中で実修したのは、先代の真如大僧正様がよく言っておられた「佛様と恋愛するように、いつも佛様を身近に感じなさい」の言葉通り、歩く時も、食事中も、一休みしている時も、常にいつでもどこでも、心の中で御宝号を唱えている自分が居ました。

そんな行中に数々のご指示や良きアイデアが突然閃き、また「この人と会いたいなー」と思っていたら、さも偶然のように巡り会ったりする事が頻繁に起るようになりました。

これは私自身、新たな人との出会いが大好きな人間なので、このような事が起るのかもしれません。しかしその背後に御本尊皇円大菩薩様、そして開山大僧正様の絶妙な「おはからい」の力が厳然と働いているとしか思えない事が何度もありました。

こんな事が度々重なってからというもの、「特別指導」の時などに、大きな壁に阻まれている人や、何としても願いを叶えたいと思っている人に対して「一日に三千遍以上、場合によっては一万遍くらい御宝号を唱えてごらん」とアドバイスする事があります。

「願い事は皆な、叶わねばなりません!!そのためには佛様のみ心に、適わねばなりません!!」とは開山大僧正様の口癖でした。皆さんも本当に叶えたい願いのある時や、大きな苦難に対峙している時は、心を虚しくしてひたすら皇円大菩薩様の御宝号を唱えてみて下さい。

信じて行動すれば願いは叶い運命は切り開ける

「そんな事は信じられない」と思う人こそ、ご自身で一度、千遍、三千遍と唱えてみて下さい。これは、私自身がこれまで「八千枚護摩」や「求聞持」で一千万遍以上唱えてきた結果を踏まえて言っている事なのです。

ご自身で実際に唱えて良き成果、良き結果を身を以て体験してみて下さい。真言宗の中興の祖と言われる覺鑁上人は「不信の者は、自ら修して知れ」という言葉を遺しておられます。

「八千枚護摩」や「求聞持」といった、僧侶の専門的な修行でなくても、皆さんの日常生活の中で、小さな事であっても毎日倦まず弛まず行ない続けた事は、必ず大きな成果を現します。

あと二十日間で新年を迎えます。「年が改まってから始めよう」ではなく、思い立った今、この時から何かを始める事が大切です。功徳を積む事や、自らを高めよう、願いを叶えようとする時は「今から、ここから始める」その心意気を習慣化してしまう事に尽きるのです。

何度も挫折して良いのです。
また始めれば良いのです。
何かを始める事からしか、人生も運命も変わらないのですから。

皆様の奮起と精進を切にお祈り申し上げます。
合掌



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