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大日乃光






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2013年12月25日大日乃光第2063号
『人生観だけでなく、人生そのものを変える内観と三信条』

人生を変える内観

古来人生を変えるには四つの方法があると言われています。

まず、付き合う人々を変えるということです。

次に、場所を変える。住まいや職場を変えるということです。

そして、時間を変える。今までより早く寝て、早く起きる。

最後に、心を変える。この心を変える効果的な一つの方法に心理療法「内観」があります。

まず始めに、内観で心のあり方が劇的に変わるような素晴らしい体験をされた方の感想文を紹介させて頂きます。

私の人生はこう変わった!!

「人生観どころではなく、人生そのものが変わった」これが七日間の集中内観を終えた直後の私の率直な感想です。

私は現在不登校児童の支援をしておりますが、私自身が幼少期より、生き辛さを抱えているアダルトチャイルドでした。私が育った家庭はアルコールと暴力の問題を抱え、その害が子供である私達にも及んでいました。

そんな家庭の中で育った私が誤って身につけた信念は、次のようなものでした。
「私は愛されていない」「私は必要のない人間」「私は無能のくず」
これらの間違った信念に従って生きてしまった結果、私は、自分だけでなく、周りの方々も粗末に扱う人間になってしまいました。

特に周りの方々を傷つけることの多さは尋常ではありませんでした。そんな私を見たある方がおっしゃいました。
『君は口から斧が飛び出している。口を開くたびに、周りの心を切り刻んでいるんだよ』と。私はハッとしました。確かに私は言いたい事は何でも口にし、数え切れないほどの人々を傷つけてきていました。

さて、六泊七日の集中内観に入ってみた訳ですが、いくら過去を回想しても、ありきたりの記憶しか浮かばず、なんとも手ごたえが感じられません。正直この時は少し不安が頭をかすめましたが、最終日に初めて深い内観に入る方もいると、本で読んでいたため、気を取り直して再開しました。

父への内観

すると、どうでしょう。決して好意的な感情を持っていなかった亡き父の内観に入った時、いかに自分が父から愛されて育ってきたかという事実が、次から次に出てくるのです。その事実の蓄積が、私の父への負の思いを氷解させました。

突然、コントロールできない強い感情が沸き起こり、それは喜びと申し訳なさとして、私の胸を貫きました。私は、一人屏風の中で、激しく泣きじゃくっていました。

以前は殺してしまいたいほど恨んでいた父に対して、実は深く愛されていたのだという喜びを感じ、圧倒される思いでした。その瞬間少し気が変になりそうな感覚に襲われました。しかし、不思議にも、私はそれ以上取り乱すことなく、徐々に落ち着いていきました。

その理由は、私を囲っている屏風のお陰だったと思います。泣きじゃくっているその瞬間、何故か屏風にハグされているような安心感を持ったのです。まるで幼い頃、母親に抱っこされていたような不思議な感覚。屏風には、こんな力もあるんだなあと、大変驚きました。

※内観では、屏風の中に座って内観します。これは内観者の気が散らないためと、内観者を外部から守るためのものです。

心の温泉

父に続き、妻に対する内観、義父、嘘と盗みについて、母二回目、妻二回目、息子、我が師と、内観をさせて頂きました。関係が近しい方は無事内観が深まり、大いなる感謝と喜びと申し訳なさに包まれて、まるで心が温泉につかっているような、何とも幸せな気分になりました。

私の予想をはるかに上回る内観の効果に満足し、残りの内観は仲の良い姉で行おうかと思った矢先、面接の先生がおっしゃいました。『憎い人、上手くいってない方に対する内観をされるといいですよ』と。

実は忘れていた振りをしてこれまで生きてきましたが、私は現在ほぼ絶縁状態の兄をずっと恨みに思っていました。正確に言えば、恨んでいることに気付かない振りをして生きてきました。兄のことを思い出すと動揺してしまうからです。

しかし、折角頂いた先生の言葉に後押しされ、思い切って兄の内観に取り組んでみました。すると何と、私が如何に兄から愛され、大切にされていたかという事実が次々噴出してきたのです。

そしてまた、私は大いなる至福と申し訳なさに包まれました。ずっと嫌悪してきた兄が、実はこれほど愛しい存在だったなんて想像だにすることが、これまで出来なかったのですから。

互いに笑い合う新しい家族

家族の内観を一通り終えた私の胸は、言葉では形容しがたいほどの幸福感で、ポカポカと温かくなっていました。

これまでの私の中の家族像は、皆がバラバラで互いに背中を向け合っている、というものでした。それが内観を終えたら、私の心の中にある家族写真は、五人全員が寄り添いあって笑顔で写っている、というものに変わっています。

この変わり様は一体何なのでしょう。人生観どころか、まさに人生そのものが百八十度変わったほどの変化をもたらしてくれたのです。

内観を終え、生まれて初めて、こう思いました。
『この家族に生まれてよかった』
『私は自分の家族が心から誇らしい』
『私はみんなに生かされているんだ』と。

これまでの『ダメ家族の中、一人頑張る私!』と、傲慢そのものだったことは、もう今日でおしまいです。

最後に、人生最良とも言える時間をくださった蓮華院の皆様に、心より感謝申し上げます。本当に本当にありがとうございました。

感謝から変わる人生

先月十六日に千葉工業大学でダライ・ラマ法王猊下がご講演されました。その中で、「物事に絶対という事はない」と仰ったそうです。「絶対正しい」とか、「こうでなければならない」とか、そういうことはないということです。

つまり、「佛法は相対性理論的」なのです。ケース・バイ・ケースによって、正しいとか正しくない事が違うということです。

ところが、人間は、「私が正しい」「あいつは間違っている」「これは問題だ」「問題ではない」「好きだ」「嫌いだ」「善だ」「悪だ」…と、自分の作り出した考えや、枠組みや、感情に囚われて、自分自身で問題や悩みを作り出し、苦しんでいる事が多いのです。

自分の思い通りにならないことを「苦」と言います。問題や悩みは、全て自分の思い通りにしようという「欲」から生み出されるものです。

ですから、欲や執着を捨てて、いったん全てを受け入れてみましょう。非常に楽になることと思います。

そして、自分で何とかコントロールできるものと、自分ではどうしてもコントロールできないものを見極めてください。それを「明(諦)らめる」と言います。

そして、自分の意志や思いでコントロールできるものだけに集中しましょう。そうすることによって、問題や悩みは少なくなることでしょう。

特に、憎しみや恨みなどのマイナスエネルギーは人を不幸にします。感謝と許すことがあなたを幸せに導くプラスのエネルギーです。内観をすると感謝することが自然と増えていき、幸せを実感することでしょう。

当山の先代貫主の真如大僧正様は、「自分に都合の良い事だけ感謝するのは、本当の感謝ではない」と、よくおっしゃっていました。

また、現貫主様は、「全てに感謝出来た時、人は本当の生き甲斐と、自分の使命がはっきりと見えてくる」とおっしゃっています。

反省・感謝・奉仕の当山の三信条は、人が生まれ変わり、新たな生き方を示す指針であると、しみじみと感じる今日この頃であります。合掌



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