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大日乃光






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2014年01月08日大日乃光第2064号
多宝塔と『真如基金』発願は未来の為の良き種蒔き

平成二十六年は飛躍の年

新年あけましておめでとうございます。

今年は甲午(きのえうま)の年で、一般的には万物が盛大になって木の枝が伸びるような運気を持つ年と言われています。

また気学の方では「四緑木星」の年であります。この年は陰気な気を吹き払い、伸長・成熟の意味を持つ年と言われていて、活動的になり、信用が増し、遠方との交流、良く調う、などの良い方向性を持った年であるとされています。

昨年の安倍総理の再登場によって、昨年から日本全体に明るい兆しがはっきりと出てきましたが、今年は更に力強く、明るく、希望の持てる年になるに違いないと思ってます。

全国の信者の皆さんも、本誌を購読して頂いている友人知人の皆さんも、是非ともこのように「今年は良い年になる!」と強く念じて頂きたいと思います。

明日の光明を信じる坂村真民先生の詩

玉名出身の世界的な詩人、坂村真民先生の詩にこんな詩があります。

「鳥は飛ばねばならぬ」

 鳥は飛ばねばならぬ
 人は生きねばならぬ
 怒涛の海を
 飛びゆく鳥のように
 混沌の世を
 生きねばならぬ
 鳥は本能的に
 暗黒を突破すれば
 光明の島に着くことを知っている
 そのように人も
 一寸先は闇ではなく
 光であることを知らねばならぬ
 新しい年を迎えた日の朝
 わたしに与えられた命題
 鳥は飛ばねばならぬ
 人は生きねばならぬ

渡り鳥でさえも、自分の行く手に光明が待っていると信じて暗黒の空を飛んで行くのです。
今現在明るい兆しも希望もとても持てそうにないと思っておられる方こそ、先の真民詩をもう一度、心で読んでみて下さい。

各宗派で行われる大遠忌記念事業

さて、本年は皇円大菩薩様の龍身御入定から八四六年に当たります。四年後は八五〇年の大遠忌に相当します。各宗派の祖師のご命日の中で、五十年ごとに修されるのが一般的には大遠忌、または御遠忌と呼ばれています。

昨年は日本に戒律を伝えられた鑑真和上が亡くなられて千二百五十年の大遠忌の年でした。そこで、その記念に東大寺と唐招提寺の依頼を受けて、作曲家の山本純ノ介さんが交響曲を作曲され、昨年十月に東京で初演がありました。

また三年前は法然上人の八百年大遠忌であり、同じく親鸞聖人の七百五十年大遠忌でもありました。それぞれに何年も前から総本山を始め、全国の末寺と全国の檀信徒の皆さんによって様々な準備が進められていました。

また来年は、弘法大師空海上人様が高野山を開創されて千二百年に当ります。その記念行事として、高野山の壇上伽藍に中門と四天王像が再建される運びになっています。

このように各宗派ごとに、宗祖や祖師の大遠忌には様々な催しが行なわれたり、記念行事としてお堂が建立されたりしています。

五重塔は「慈悲」、多宝塔は「智慧」の象徴

昨年から少しお伝えしていたように、当山では多宝塔を本院に建立致します。



この写真は三十六年前の奥之院落慶法要に当たって、五重御堂に佛具を納めて頂いた東京の翠雲堂さんが奉納された「壇塔」としての多宝塔です。この小塔は、滋賀県の石山寺に現存する「石山寺型多宝塔」と呼ばれる多宝塔を模しています。全体に金箔が施してありますが、四年後に落成する多宝塔に金箔を貼る事はたぶんないでしょう。

そもそも多宝塔というものは、真言宗にとって、その教えのシンボルと言っても過言ではない程に、大切な塔なのです。

十七年前に建立した五重塔は佛法そのもののシンボルであり、真言密教の立場から言えば「胎蔵界」のシンボルに当たります。分かり易く一言で言えば女性原理を象徴し、「慈悲」や「愛」のシンボルと考えられます。一方多宝塔は「金剛界」のシンボルで、男性原理を表現し、「智慧」の象徴と考えて頂ければ当らずといえども遠からずです。

この多宝塔は弘法大師様によって考案された、日本独特な塔でもあります。お大師様が金剛界と胎蔵界を一体とする不二の法門を生み出されたのと同時に感得された、まさに真言密教のシンボルとしての塔でもあるのです。

三年前の南大門が当山中興の掉尾を飾る記念の門であったのに対して、皇円大菩薩様の八百五十年大遠忌記念の多宝塔は、未来に向けての方向性を指し示す建造物になるように感じています。

五重塔周辺の造園工事

この多宝塔の建立に先立つ、いま一つの大遠忌の準備の一環として、今年の六月大祭(御入定八四六年)の直後から五重塔周辺の造園工事に入ります。

施工して頂くのは三十七年前から十年掛かりで奥之院の修景と造園に務めて頂き、三年前
には南大門周辺の造園に務めて頂いた京都の植芳造園さんです。

奥之院の造園工事の時に三十代だった井上剛宏専務(当時)には、既に立派な後継者のご子息が二人おられ、お父様と同じく様々な造園工事で大いに力を付けておられます。今回の造園工事には若い力が更に加わって、さぞや素晴らしい境内に生まれ変わる事でしょう。

三十七年前に先代から奥之院の造園工事を依頼された時、井上さんは「後世に残る立派な庭にして下さい」との先代の言葉に身の引き締まる思いでした、と当時を述懐しておられました。今回も私は「平成を代表する庭園の一つとして、後世に残る庭造りをお願いします」と井上さんにお願いしております。

来年(平成二十七年)の春には第一期工事が終わります。私の心にはすでに完成した多宝塔と、それを取り囲む、別世界かと見紛うばかりの境内の景色がありありと姿を現しています。皆さんもどうぞ、その日を楽しみにして下さい。

『真如基金』の拡充は佛教界の将来への布石

そしていま一つの記念行事として、未来の素晴らしい人材を日本の佛教界に生み出すために『真如基金』を拡充致します。

『真如基金』とは、先代遷化の折り、葬儀・四十九日・一周忌・三回忌・七回忌・十三回忌と折々の法要は寺の行事として修しましたので、その時々の数千名の方々から頂戴した御霊前やお香料などの一部を、将来への基金としてプールしておりました。

この基金を『真如基金』と名付け、今後更に広く多くの人びとの助力と参加を仰ぎながら拡充していく予定です。

八百五十年大遠忌を機に、これから四年間、皆様に一口八百五十円で、この『真如基金』へのご協力をお願い申し上げます。

多宝塔建立、五智如来顕現、造園工事はお寺の景観と精神性の具現化として、粛々と着実に進めて参ります。

その代わりに未来のための人造り、世界に通用する人材育成のための『真如基金』充実のために、皆様にご参加ご協力を頂ければ有り難いと思っております。

「未来のための良き種を撒く」この一点が皇円大菩薩様と歴代貫主の皆様の本願であるに違いないとの信念で、以上の事を発願いたしました。

何卒、皆様のご理解とご参加、ご協力の程を心からお願い申し上げます。合掌



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