2014年12月08日大日乃光第2094号
英霊のご遺骨帰国に向けて八千枚護摩行で真の和平を祈る
二十三回目となる「八千枚護摩行」に臨んで
今年もいよいよ残すところ、あと一ヶ月となりました。
今月三日から私にとって、二十三回目となる「八千枚護摩行」の前行に入ります。もはや恒例となったこの修行ですが、二十三日の結願までにどのような行の成果が得られるか、楽しみにしています。
また今回は、ご本尊様からどのような啓示(「御霊告」や「御霊示」)を頂けるのかも楽しみの一つです。
ミャンマーのご遺骨帰国に道筋を開いた首脳会談
さて、先月の安倍総理大臣とミャンマーのテイン・セイン大統領との会談によって、二年前から同志の皆様と始めた「ミャンマー/ビルマご遺骨帰國運動」の初期の目的の道筋ができました。
新聞報道によれば、ミャンマー国内の少数民族支配地域に残された旧日本軍兵士のご遺骨帰国について、安部総理大臣がテイン・セイン大統領に協力を要請されました。そしてテイン・セイン大統領は、それを快く了承されたという事です。この事によって、厚生労働省の援護局がミャンマーの担当部署と具体的な打ち合わせを始めました。
去る十一月十三日に、厚労省社会援護局の担当室長補佐の方に直接電話で現状を伺いました。その時の、室長補佐によれば、「本年度中に必ずご遺骨の発掘に取り掛かる」という答えでした。
そのご遺骨の眠る場所を、現地の仲間が今年の八月から何箇所も調査をして、具体的な緯度と経度を明示して、在ミャンマー日本大使館を経て厚労省と外務相に報告していたのです。それらの場所は少数民族と政府との間で戦闘が続いていたため、これまで全く調査されて来なかった地域なのです。これらの少数民族支配地域では、厚労省の資料によれば四万五千六百十柱もの膨大な数のご遺骨が打ち棄てられたままとなっていたのです。
六十九年もの間、ご帰国を待ち望まれている英霊のご遺骨
昭和二十年の終戦以来、わが国には法律的には軍隊が存在しません。一方でアメリカは、それ以降も世界中に軍隊を派遣して来ました。
昨年の事でしたが、ある新聞記事によれば、ミャンマーの少数民族支配地域の中で最も激しい戦闘が繰り広げられているカチン州に、ベトナム戦争で戦死したアメリカ兵のご遺骨が現存することを知ったアメリカ軍は、そのご遺骨の帰還のためにカチンのジャングルの奥深くに分け入って、そのご遺骨を持ち帰ったと報道されていました。
日本では終戦以来六十九年もの間、日本遺族会などの献身的な働き掛けで数十万の旧日本軍兵士と軍属の方々のご遺骨が、海外から帰ってきておられます。
しかし海底に眠る英霊のご遺骨は、技術的な問題もあって、ほとんどが「水漬(みづ)く屍(かばね)」のままとなっています。一方、中国東北部と北朝鮮、そしてこのミャンマーの少数民族支配地域からは、これまでほとんどのご遺骨のご帰還が叶わず、虚しく年月が過ぎ去りました。さながら「草生(くさむ)す屍」として、彼の地で眠り続けてこられたのです。
ご遺族の方々が年々高齢化されていく一方で、多くの日本人がこの事を真剣に考える事もなく、平和と繁栄の中で過ごしてきました。
ご遺骨箱の小石に見るご遺族の悲しみ
そんな中で、今年八月十一日発行の本誌(二〇八四号)に掲載した、ジャーナリストの恵隆之介さんと十月十八日に再会しました。
ある会合に私がお誘いした事で、お会い出来ました。恵さんと別れる直前、彼は別の友人に「私の伯父二人もビルマ戦線で亡くなり、ご遺骨は未だに帰っていません」と話しておられたそうです。後でそのことを知った私は、沖縄の恵隆之介さんに電話で確認してみました。
すると、その未だミャンマーからご遺骨が帰っておられない方の娘さんが、恵さんの伯母様であるとの事でした。
その方は福岡県の久留米市から軍医としてインパール作戦に従軍された新垣敏松さんです。久留米の菩提寺には、その方のご遺骨箱が収められているそうですが、恵さんが伯母様と共に何回忌かのお参りでその寺を訪ねた際にご遺骨箱をそっと開けてみたら、そこには小石が一つ入っていただけだったそうです。
この様にご遺骨が帰っておられない方は、日本全国にまだ何十万人も居られる訳です。恵さんの伯母様にすれば、実の父親のご遺骨も無い事は、どれ程口惜しく悲しいことでしょう。
三年八ヶ月前の東日本大震災で、未だにご遺体が解らないままのご遺族の事を想像してみれば、この悲しみの深さが少しは分かるでしょう。七十年前に国の命令(軍の命令)で戦地に赴き、尊い命を捧げて亡くなられた方々を夫や父に持ち、ご遺骨の無いお墓にお参りしてこられた多くのご遺族の方々の、長い長い悲しみの日々はいかばかりでしょうか?
信者の皆様の平穏とミャンマーの真の和平を祈る
国家の命令で全国津々浦々から兵士として招集された方の中から二百万人が亡くなり、それぞれのご遺族はそれなりに遺族年金を受けてはおられますが、ご遺骨も無い現状を「放置」とは申しませんが、「やむなく」と言うべきか?「不甲斐ない」と言うべきか?このような状態で七十年も打ち過ぎてしまったのは、やはり国家の責任です。
その事を充分に認識されている安倍総理によって、ビルマのご遺骨が帰国される事になったのは嬉しい限りです。しかし、まだ戦闘の続いている地域からのご遺骨の帰国は叶いません。
その意味でも、私達はミャンマーに「真の和平」が達成される事を祈るだけです。その一方で、現地でミャンマー政府と少数民族の双方の立場を充分理解して活躍している井本勝幸さんの行動力には頭が下がる思いです。これからも私の出来る範囲で彼を支えていきたいと、思いを新たにしている今日この頃であります。
今年の「八千枚護摩行」では、ミャンマーに真の和平が訪れるよう、深く真剣に祈ってまいりたいと思います。合わせて全国の信者の皆様のお一人お一人、そしてそれぞれの家庭が平穏で幸福でありますように、祈りの日々を積み重ねて参ります。合掌
大日新聞(月3回発行)を購読されたい方は、
右の「お申し込みはこちら」からお申し込みいただくか、
郵送料(年1,500円)を添えて下記宛お申し込みください。
お問い合わせ |
〒865-8533 熊本県玉名市築地玉名局私書箱第5号蓮華院誕生寺 TEL:0968-72-3300 |