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大日乃光






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2015年05月25日大日乃光第2109号
皇円大菩薩様御遠忌法要は衆生済度の御誓願が結実した日

桃の節句と端午の節句、そして子供の日
 
大空を悠々と泳いでいた鯉のぼりも、もう姿を見ることがなくなりました。この鯉のぼりも少子化の影響か、その数はあまり多くありませんでした。
 
去る五月五日は「こどもの日」となっています。かつては三月三日が「桃の節句」で女の子のお祝い、そして五月五日は「端午の節句」として男の子のお祝いでした。いつの頃から一緒にお祝いするようになったのか分かりませんが、昔のように女の子の日・男の子の日と分けて、別々にお祝いしていた頃の方がはるかに熱心で、多くの雛飾りや多くの鯉のぼりが泳いでいたように感じるのは私だけでしょうか。
 
本堂を埋め尽くした百人余の赤ちゃん
 
さて、去る四月二十九日の「南大門春まつり」の中心的な催しは、「赤ちゃん土俵入り」でした。近郊近在、そして全国からの信者さんの赤ちゃん達約百名が、まず保護者と一緒に本堂に集まります。
 
日頃は私語の一つも聞こえない、笑い声もあまり聞こえない、お経の声だけしか聞こえない本堂です。その本堂に元気な赤ちゃんの泣き声が満ち満ちていました。さながら臨時託児所になったような、本堂の賑やかさでした。
 
健康祈願の法要に引き続き、行列を組んで南大門までの約二百メートルの参道を進みます。その後、南大門での赤ちゃん達の健康祈願の土俵入りが、華やかに賑々しく厳修されました。赤ちゃん本人は覚えていないでしょうが、父や母、祖父や祖母の皆さんにとっては忘れ難い家族の催しとなったことでしょう。
 
皇円大菩薩様の生誕の地で赤ちゃん土俵入り
 
そもそもこの「赤ちゃん土俵入り」は、地域の融和を目的とする「大梵鐘まつり」の一環として昭和五十四年から三十年近く、奥之院の仁王門の前で、大仁王尊に向かって行っていました。
 
その後、本院に南大門が再建されてからは、日本一の大四天王尊に見守られながら、そして何と言ってもこの地でお生まれになった皇円大菩薩様の御加護を頂く中で、身体健全、知能啓発、福徳円満のための「赤ちゃん土俵入り」として行っているのです。
 
マチ興しに南大門を活用
 
この日を迎えるまでに、実行委員会の中心メンバーの方々には十回も集まって、会議をして頂きました。それ以外の実行委員の方々にも三回以上寺に足を運んで頂き、様々な打ち合わせをして頂きました。
 
その最後の会合の時、私は皆様に、『本年は、天下の霊場高野山の開創千二百年の大法要が行われています。もし、弘法大師が和歌山県の〝あの地〟を修行場所に定められなければ、あの高野山の地は単なる山林に過ぎません。それと同じように、この地に皇円大菩薩様が御誕生にならなければ、現在ここに蓮華院誕生寺も無ければ、南大門も無いのです。そして、皆さんがここに集う事もなかったはずです。
どうか皆さん!!この寺を、そして南大門を地域興し、マチづくりの題材として存分に活用してください』といったような話を致しました。多くの方々がうなづきながら聞いて下さいました。
 
衆生済度の御誓願が結実する六月十二日・十三日
 
あと二十日余りで「皇円大菩薩様御入定八百四十七年御遠忌大法要」です。
 
六月十二日の奥之院ではその前行としての「功徳行」に始まり、「龍火くだり」を経て本院での大護摩祈祷、御遠忌法要が夜を徹して厳修されます。
 
この御遠忌法要は、先の「南大門春まつり」とは打って変わって、全国の信者の皆さんのための信仰の発露、信心の結集としての法要であります。蓮華院にとって、そしてまた信者の皆様にとっても最も意義深い法要なのです。
 
それは、御本尊皇円大菩薩様の衆生済度の御誓願が結実した日でもあります。つまり皇円大菩薩様が「末世の衆生を救いたい!」という大誓願を以て、その身を龍神に化身された特別な日なのであります。
 
悪条件でのお礼参りにこそ、大きな『功徳』がある
 
この日こそは、皇円大菩薩様の大慈大悲の御心が最も高まった日であり、最も功徳のある日であり、そして最もご利益を頂ける日であります。そしてまた、お礼参りに最も相応しい日でもあるのです。
 
この六月十二から十三日は、十一月三日の「奥之院大祭」や、先の四月二十九日の「南大門春まつり」のような「祭日」ではありません。しかも梅雨前の天候不順な日です。このように、必ずしも条件の良くない中での大法要です。
 
そんな中でのお参りやお礼参りだからこそ、なお一層大きな功徳と意義のあるお参りになるのであります。この日にお参りされる事は、その他の十三日ご縁日を全て合わせたよりも、はるかに「功徳」があり、「ご利益」のある祥月ご縁日なのであります。
 
「功徳行」は福徳のモト
 
ここまで「功徳」という言葉を何度も使ってきました。また前行として行う修行も「功徳行」と名付けられています。
 
そもそもこの〝功徳〟という言葉はどのような意味なのかを、ここで少し説明いたします。
 
(1)優れた徳性、良い性質、価値ある特質。つまり、善を積んで得られる福徳の事。
 
(2)幸運の原因、福祉のもとになる良き行い、優れた結果をもたらす能力。
 
(3)善行の結果としての良き報い。また、良き行いを実行した結果、得られる恵み。
 
(4)ご利益、すぐれた点、利徳の事。
 
などと『佛教辞典』には解説されています。
 
つまり「功徳行」と称している当山独特の修行は、虚心に修して頂くことによって、知らず識らずの内に良き結果をもたらし、ご利益や福徳を授かり、恵みを頂ける修行ということなのです。
 
さらに詳しく説明しますと、まずは良き結果、つまりご利益を頂く条件としての心構えや心身の状態を作る事そのものが功徳であり、また、そのご利益や福徳に恵まれることを、「功徳」と言うのであります。
 
つまり、ご利益や福徳を頂く条件を作る事を「功徳を積む」と表現し、ご利益やお恵みを頂く事そのものを「功徳を頂く」と言い習わしているのです。
 
そして、これはまことに有り難いことなのですが、皇円大菩薩様が学僧としての人生を送られた、高野山と並び称された今一つの日本を代表する霊山が比叡山です。その比叡山で法然上人など多くのお弟子さん達を育てられた場所が、なんと「功徳院」であります。この「功徳院」は通称「法然堂」と呼ばれ、現在でも比叡山の根本中堂のすぐそばに建っています。
 
奥之院が建立されて以来、落慶法要の時から毎月第一日曜日には、この「功徳行」を修しています。この修行は先代真如大僧正様によって「功徳行」と名付けられました。誠に良い名を付けて頂いたと感謝致しております。
 
開山上人様が奥之院を建立するに当って、こんな言葉を残しておられます。「信者の皆さんが功徳を積む所として、奥之院を建立したのであります…」まさに〝言い得て妙〟であります。
 
この意味をさらに煎じ詰めて言えば、来たる六月大祭には「功徳行」を自ら修して、目に見えないけれども大きな功徳を積んで、皇円大菩薩様の広大無辺の御霊力を頂いて下さい。そして数々の福徳を授かって頂きたいものであります。
 
全国の信者の皆様の六月大祭へのお参りを寺内の弟子、職員一同心よりお待ちしております。
合掌



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