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大日乃光






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2015年07月16日大日乃光第2115号
「お盆の季節にいま一度、先祖供養の功徳を考えよう」

日本佛教は先祖供養の宗教
 
七月のお盆に続いて、八月のお盆が近づいてきました。来月のお盆の先祖供養を控ひかえて、ここで当山における先祖供養の意味とその功徳を考えてみたいと思います。
 
日本佛教の特色は、「先祖崇拝」「先祖供養」の宗教と言っても良いでしょう。インドで始まった佛教には、本来、先祖供養の考え方はありません。こんな事を言いますと怪訝に思われる方も多いと思います。またインドでは、私達日本人のようなご遺骨への深い愛着もありません。
 
そのインド佛教でも、佛教の開祖であるお釈迦様のご遺骨には深い思いと信仰があります。このお釈迦様のご遺骨である佛舎利信仰から、紀元前二世紀以降、インド各地に数多くの佛塔が建てられました。
 
その信仰が形を変えて我が国に伝わり、多くの五重塔や三重塔、そして多宝塔などの塔が建立されてきました。
 
一方で、佛教伝来以前の三世紀中頃(約千八百年前)から天皇家の陵墓や大豪族の墳丘が建てられ、権力者の先祖が〝神〟として祀られました。
 
その後、鎌倉時代に蓮華院が所属する真言律宗の教団が、開祖叡尊上人の「済世利人」の教えに基づく貧者への救済活動の中で、わが国で初めて一般庶民に対する埋葬供養を始めました。
 
そして江戸時代頃には現代に続く形で一般庶民の家のお墓として建てられるようになりました。
 
これは佛教から始まった「佛舎利信仰」が、強い先祖崇拝と融合し、歴史を経へて個人のレベルまで広がり、このように個々の家のお墓まで建てるようになったのでしょう。
 
連綿と続いた宗教観を断ち切る現代社会の特異な葬送形態
 
このような先祖崇拝の信仰形態が、現代では大きな曲がり角に来ています。その現象は、まだ一部ではありますが〝散骨〟や〝樹木葬〟などといった、これまでになかった形態の葬そう送そう儀礼に現れています。
 
このまま推移しますと、私たちの子孫は先祖との繋つながりや、命の流れを引き継いで行くという感性が鈍っていくのではないかと危惧しています。
 
仮に父や母、祖父や祖母のご遺骨を海に撒まいたとすれば、子孫はどこで先祖との心の対話をすれば良いのでしょうか?
 
先祖代々に亘わたって引き継いで来たお墓と、様々な先祖供養の儀礼を失えば、それは日本民族の精神を根本から荒廃させることに繋つながりかねないと思われます。
 
さて、当山における先祖供養の内、春・秋のお彼岸供養、正月供養、お盆供養などの「四度供養」は、これまでお伝えした民族的な儀礼としての先祖供養に相当します。
 
潜在意識から盤石たらしめる蓮華院の先祖追善護摩供養
 
それに対してより祈祷的な意味合いの強い当山の「先祖追善護摩供養」には、開運や息災(災いをなくす)の意味も込められています。
 
例えば、月決めで毎月一座、二座、更には六座というように、それぞれ決めた日から五日間から三十日間の供養をお願いされる方が大勢おられます。
 
これらの先祖追善護摩供養は、子宝祈願や開運厄除、更には家内安全、健康増進、商売繁昌、社運隆昌など、様々な思いと祈りを込めて供養を申し込まれます。
 
これを海に浮かぶ氷山に例えてご説明いたします。氷山の海面上に現れている部分は、全体の約一割と言われています。それに対して目に見えない水面下には、全体の九割ほどが隠れています。
 
これは私たちの意識、つまり顕在意識の九倍から十倍ほどの潜在意識が存在しているのと似ています。
 
さらに付け加えれば、私たちの脳細胞の内、その働きが分かっている部分は全体の約一割と言われています。つまり残りの九割ほどは何をしているのか?どんな働きをしているのか?大脳生理学の研究では未だ充分には分かっていないのだそうです。
 
これらから推測すると、私たちの思いや願望というものは、全体の一割に過ぎない顕在意識での働きです。
 
当山での先祖追善護摩供養というものは、実はこの残り九割ほどの潜在意識に直接働きかける祈祷でもあるのです。
 
これは氷山に例えて言えば、海面に浮いている部分に相当する顕在意識でどんなに強く願っても、九割にも達する残りの水面下の部分に対して、海流(潜在意識)が顕在意識と違う形に働きかければ、その流れに逆らうことは出来ないようなものです。
 
また、水面下の氷にひびが入って割れてしまえば、水の上に浮いている氷はその意思の強さに関わらず、沈んでしまうのです。
 
先祖追善護摩供養は、水面下の氷の結晶を磐石な状態とし、水面上の氷である私たちの顕在意識を足元から支える働きをするのです。
 
先祖累代の願いや思い、或いは、前世由来の罪障に対する祈祷
 
また別の例えをしますと、どんな働きを果たしているのか分かっていない九十パーセントの脳細胞は、ある仮説によれば、私達の前世での記憶を持っているのではないか?とも言われています。
 
つまり自分自身の前世の記憶であったり、先祖の思いというものが、表面には現れない隠れた意識=潜在意識として蓄えられているのではないかと言うのです。
 
先祖追善護摩供養という祈祷的なこの供養は、私たちの先祖だけではなく、場合によっては私たち自身の前世での悪しき行いとしての罪や煩悩そのものを清めることにもなるのです。
ですからその供養は、ご先祖様や自分自身の前世を清め、功徳を供え、命の根本を養うための祈祷でもあるのです。
 
この様に〝開運〟や、他の様々な意味合いを込めた祈祷的な追善護摩供養は、当山では最も多い祈願になっています。
 
揺るぎないお加護の実感と、功徳力への深い信頼
 
この先祖供養をこれまで数十年に亘って続けて来られた方は、全国に無数におられます。
先祖供養の功徳には、計り知れないものがあります。いくら供養を多く続けても「それで十分」という事はありません。
信者さんの中には、「これまでの先祖供養のお陰でどれほどのお加護を頂いてきたか、計り知れません。これからも先祖供養をお願いしていきたいと思います。宜しくお願いします」
と言われる方もおられます。
 
信者さんご自身の都合によって毎月四座(二十日間の供養)や六座(三十日間)と様々ですが、自営業をなさっているご家庭ほど比較的、より多くの供養をしておられます。
 
先行きの不透明な自営業を営まれる中で、様々な不安や不確実性の中で先祖供養によって、より確かなお守りを実感しておられるのです。そのような方々は一様に、目に見えない確かな〝お陰〟を実感されているのです。
 
ご先祖様のお陰を実感し、未来を開くために
 
日本語の中に、素晴らしい言葉があります。それは「おかげさま」という言葉です。
これは、何か目に見えないモノに支えられている事に深く感謝して、それを〝陰〟と言い習わし、それに〝御〟を付け、〝様〟を付けて「御・陰・様=おかげさま」と言い習わしてきたのです。
 
今まで目に見えないお加護を「先祖追善護摩供養」によって実感して来られた篤信の信者さん達は、そのようなご先祖様の「お陰」を身を以て実感しておられるのです。
 
ご先祖様から連綿と伝わる命と祈りの繋がりを、この夏のお盆に当たり、子や孫達と共に更に深く感じ取って頂きたいものであります。そして、次の世代により良き未来を繋ぐために、しっかりとご先祖様のご供養をしていただきたいものであります。合掌

 


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