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2015年09月15日大日乃光第2120号
「信者の皆様と共に歩んだアルティック三十五周年の軌跡」

お盆を過ぎ、九月に入りました。厳しかった酷暑の時期からすると、随分凌ぎやすくなりました。そんな中で先月には嬉しくも有り難い出来事が二つもありましたので、ご報告致します。
 
「認定NPO法人」と「外務大臣表彰」
 
まず一つ目は、去る八月六日付けでNPO法人れんげ国際ボランティア会(ARTIC=アルティック)が、長年の地道な活動の成果として、「認定NPO法人」として正式に認定された事です。
 
全国に五万二百六十団体(平成二十七年六月末現在)設立されているNPO法人の中で八百五十三団体(同前)、つまり約一・七パーセントしかこの認定NPO法人には認定されていません。認定NPO法人がいかに高いハードルかが分かります。
 
この〝認定〟とは、その団体に対して会社や個人で寄付される場合に一部が免税になるという特典を受ける事の出来る団体なのです。つまりアルティックに対する国家・社会からの信頼と評価がこれまでに比べて格段に高くなったということです。
 
そして今一つの嬉しい出来事は、去る八月十九日に外務省から、当認定NPO法人れんげ国際ボランティア会を、本年の「外務大臣表彰」に団体として表彰するという発表がなされた事です。以下は外務大臣表彰の意義を、外務省がホームページで表明している文書からの抜粋です。
 
「外務大臣表彰は、多くの方々が国際関係の様々な分野で活躍し、我が国と諸外国との友好親善関係の増進に多大な貢献をしている中で、特に顕著な功績のあった個人および団体について、その功績を称えるとともに、その活動に対する一層の理解と支持を国民各層にお願いすることを目的としています」
 
これはアルティックの前身から通算して、三十五年間のこれまでの様々な活動に対しての外務大臣からの表彰なのです。
 
これは、これまで二世代、三世代に亘って全国の信者の皆さんが「一食布施」や「同胞援助」などを通じての地道な「慈悲行」を実践して頂いてきた事に対する外務大臣からの表彰であります。これはまた御本尊様からのご褒美のようにも感じられます。
 
アルティック以外にも全国の様々な地域に大小さまざまに、それぞれの理念と歴史を持った国際協力の団体(NGO)があります。しかし、三十五年以上の歴史を持つ団体はそれほど多くはありません。また佛教的な精神に基づく国際協力団体となると、さらにその数は少ないのです。その意味で、アルティックの存在には大変大きな意義があると確信しています。
 
二つの栄誉は、数世代を継いだ「慈悲行」へのご褒美
 
今回の表彰の理由には「日本とミャンマーの相互理解の促進」とされています。

しかし、私は全国の信者の皆さんの、皇円大菩薩様の大慈大悲の菩薩行(布施行)に対するお手伝いの心、つまり信者の皆さんの菩薩の心が日本国の外務大臣に表彰されたものと理解しています。

つまり全国の信者の皆さんお一人お一人が本当の受賞者なのです。この事を是非信者の皆さんにご理解頂いた上で、受賞の喜びを分かち合うと同時に、心から篤く御礼申し上げます。
 
昭和五十五年三月三日以来のたゆまぬ「同胞援助」、そして同年十一月三日以来の「一食布施」と、それらを統合した「慈悲行」の募金がなければ、これまでの難民支援などの地道な活動を三十五年にも亘って続ける事は決してできなかったでしょう。
 
これは開山上人様以来の蓮華院信仰の三信条、「反省」「感謝」「奉仕」の心を、先代の真如大僧正様が難民支援などを「奉仕」行の具体的な実践として位置付けられたことに対して、信者の皆様が自らの信仰生活の中で誠実に実行し続けて頂いた賜なのであります。
 
このように熱心に継続的な努力を続けてこられた信者の皆様を、私は誇りに思うと同時に、今回の認定NPOと外務大臣表彰を機に、改めて世界各地の難民の方々や貧困に喘ぐ方々に成り代わって心から篤く御礼申し上げます。
 
実は本誌が皆様のお手元に届く少し前の九月六日には、アルティックの創立三十五周年記念チャリティーコンサートと三十五周年祝賀会を開催するよう計画を立てていました。

そんな中で、先に触れた認定NPO法人の認定、外務大臣表彰受賞の二つの記念すべき出来事が、何と祝賀会の一か月前に立て続けに起こりました。これはまさに佛さまからのご褒美に違いないと思っております。
 
しかし、よくよく考えてみますと、先に申しましたように、この三十五周年の祝賀会は全国の信者の皆さんの長年の支援に対して感謝する集いにするべきではないかと思い至りました。そして佛様からのご褒美は信者の皆様が受けるべきものである事も実感しています。
 
子々孫々へと伝えるべき利他の心、菩薩行の美風
 
そんな中で先代の真如大僧正様がよくおっしゃっていた事を思い出しました。六月大祭や奥之院大祭などの事前準備のために、わざわざ遠方から近郊から、何日も前からご奉仕にお越しになられた信者の皆さんに、「熱心なご奉仕を有り難う御座います。しかし、そのご褒美は御本尊皇円大菩薩様から直接頂いて下さい」とよく話しておられました。
 
信仰生活の中で、自ら一食を断食して、その経費を世界の難民の方々への「一食布施」として募金されるその生き方は、それそのものが菩薩の行いであります。
 
その姿を家庭内で示し続けられる時、家族の一人一人に慈悲の心を芽生えさせ、ひいては子供や孫たちにまで自分以外の、世界の困っている人々への「思いやりの心」「何かの手助けをしたいと思う心」「他の人々の苦しみを見捨てられない心」などを自ずから育てて来られたに違いありません。

このような利他の行動こそが、日本人の美徳であり、後世に伝えるべき美風に違いありません。
 
「幸せへの条件」とは?
 
今回で四回目になる「いわきヤングリーダー研修事業」(八月十七日~二十二日)で、いつものように最初に、参加した中・高生達に小一時間の講話をいたしました。
 
「人は何のために生きるのか?」というテーマで話すにあたって、先ず一人一人の生徒さんに、「あなたは何のために生きていますか?」と問いかけました。するとほとんどの生徒さんが、「自分の幸せのために生きています」と答えました。
 
私の予想とは少し違うものでした。私は子供の頃から父から、「人に迷惑を掛けない人になりなさい!」「人の役に立つ人間になりなさい!」と言われ続けて育ちました。ですから「自分の幸せのために生きる」という答えに少し違和感を感じました。
 
この答えは現代の社会環境や教育環境においてはある意味で当然の答えなのかもしれません。しかし、自分が周りの人々や多くの人々の役に立つ人間である事や、人様の役に立った時の喜びや充実感の中にこそ、自分自身の喜びや幸福感があるのも事実です。
 
この「人は何のために生きるのか?」という問いは極めて哲学的、宗教的な問いかけです。多くの先人達がこの問いの答えを苦労して探し求め続けました。
 
社会的な生き物である私達人間は、地域や社会が、そして世界が幸せにならなければ、個人の幸せは本当には実現しません。
 
一方で世間がどうであれ、個人の心のあり方次第では、個人の心の平安や幸せを実感することはできるでしょう。しかし、周りに幸せでない人々が多くおられる中で、個人の幸せを実感することは実際には難しい事です。自分自身または家族さえ幸せであれば周りの人々はどうでも良い、とする生き方からは、本当の幸せは生まれないと確信します。
 
その意味では、これまで長年アルティックを支え続けて頂いている皆様は、幸せへの条件をしっかり満たしておられる事を確信するものであります。これからもなお一層、アルティックの様々な活動を支えて下さいますよう、切にお願い致します。合掌




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