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大日乃光






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2015年10月28日大日乃光第2125号
「奥之院大祭の柴燈大護摩祈祷はミャンマーご遺骨の為に」

地域がワクワクする奥之院大祭
 
秋の深まりと共に、いよいよ奥之院の大祭が近づいて参りました。この大祭は信者の皆さん達だけでなく地元玉名市内はもちろんの事、近隣市町村を始め九州北部の多くの人々が楽しみにお参りされるようになりました。いわば地域を代表する伝統行事になりつつあります。
 
第二十六回子供の詩集の挨拶文
 
そんな中でこの原稿を書く直前に第二十六回の「子供の詩コンクール」の詩集に掲載する挨拶文を書き上げました。以下にその一部を編集して掲載します。
 
戦後七十周年の今年も終わりを迎えつつあります。先代の川原真如大僧正様は終戦の直前まで特攻兵士としての訓練に明け暮れていました。戦後は一転して青少年の健全な教育に、僧侶の立場で多大な努力を続けていました。
 
価値観の動揺期とも言うべき青年期だった私は、こんな質問を先代の父に投げかけました。
「特攻を志願した時はどんな思いだったんですか?」すると父は、「自分が命を投げ出して国を守る事で、故郷や父母が敵から蹂躙される事を少しでも遅らせる事が出来れば本望だと思った!!」と、いつになく悲痛な面持ちで答えて下さいました。既にその頃は日本がかなり追い詰められていた事を知っていたようです。
 
それから二十数年後の晩年には、こんな事をしみじみと話されました。「人生をマラソンに例える人がいるが、私は人生は一人で走りきるマラソンではなく、タスキをつなぐ駅伝の様のようなモノだと思う。どんなタスキを先祖や父母から受け継ぎ、子や孫たちに引き継ぐのかが問題だ」
 
私達は、先祖や祖父母、そして父母がどんな生き方をしてきたのかを伝え、そしてどんな価値観を次の世代や子孫に引き継ぐべきなのでしょうか?
全ての生き物は〝命〟と云うタスキを何世代も連綿と引き継いで、現在の〝命〟を生き継いで来ました。それに加えて私達人間は文化や伝統、そして言葉や歴史を引き継いで現在を生きています。
「感謝と感動を忘れた民族は滅びる」という言葉をかつて坂村真民先生から伺いました。私達が引き継ぐべきタスキには、この「感謝」と「感動」こそ欠くべからざるものではないでしょうか。(後略)
 
遅れる「戦没者遺骨収集推進法案」
 
私にとって、戦後七十周年の中でやり残した事が一つあります。それは三年前から信者の皆さんにもご協力頂いた「ミャンマー/ビルマご遺骨帰國運動」です。この運動は昨年には民間の活動としての役割を終えて、政府に引き継ぐ筈でした。しかし昨年末の総選挙の煽りで、ある法案が成立しませんでした。それは、国家の責任で、これから十年間を区切って、出来るだけ多くの未帰国のご遺骨にご帰国頂く為の法案でした。
 
そして今年に入ってからもいわゆる安保法案をめぐる与野党の対立で、またもやこの法案が継続審議となってしまったのです。(衆議院は既に通過しました)来年二月頃にはこの法案も成立するはずです。
 
戦後七十年が過ぎそうな現在でも、まだ百万柱を超える旧日本兵のご遺骨が海外の海や野山に放置されたままになっています。これは本来は国の責任でご帰国頂くべきなのです。しかし、このまま放置すれば、ますますご遺骨を探し当てることが難しくなります。そこで私達僧侶の有志が全国から浄財を募金し、その経費でミャンマーの現地での調査を始めました。
 
この調査にはまだ内戦状態にある地域も含まれています。そのうちの半数の少数民族とミャンマー政府との停戦合意が、去る十月十五日に調印されました。これから更に調査地域を広げられる好機を迎えています。しかし、先に述べた様に日本政府の予算はまだ出ません。そして、私達が集めた約四千万円の浄財も年内には底を尽きそうです。
 
現地からの悲痛な叫び声
 
現地で調査隊を指揮している井本さんからは「かつてのインパール作戦と同じように後方からの補給のないままの現場は、まるでビルマ戦線の因縁が付きまとっているようです。資金が不足し、現場では立ち往生するしかないのでしょうか?」という悲痛な叫びを耳にしました。
 
そうなれば、しばらく調査を中断するという選択もあり得ますが、各少数民族から選別した調査隊の人々には、この二年間は他の仕事を辞めて旧日本兵のご遺骨調査に専念して頂いているのです。そんな中で調査を何ヶ月も中断すれば、せっかく熟練した調査員の皆さんが散りじりになってしまい、再び同じメンバーに集まってもらう事は出来なくなってしまうのです。
 
大祭の「添え護摩祈祷」の祈願料を調査費に寄付
 
私は何としても現在のご遺骨調査を途切れる事なく継続するために、再び募金を開始する決意を致しました。
その方法として、来たる十一月三日の大祭での「柴燈大護摩祈祷」の「添え護摩祈祷」の祈願料の全てを「ミャンマー/ビルマご遺骨帰國運動」に寄付する事に致します。
 
かつて地元玉名で一番歴史と由緒のある神社の神殿が台風で大きな被害を受けた時、今回と同じように添え護摩祈祷の祈願料を、全てその神社に奉納した事があります。
 
当山はこれまで六十年以上、先の大戦の犠牲者の供養と世界平和の祈りを続けてきた寺です。その様な寺の歴代貫主の志を、駅伝に見立てるならば、そのタスキに込められた思いを今まさに引き継ぐ時であると確信しています。御本尊皇円大菩薩様からもこの事に対して『よし!やれ!』と御霊示頂きました。
 
そもそも「柴燈大護摩祈祷」の大きな願意は元来「国家安泰 世界平和」であります。同時に信者の皆さんや多くの参拝者の皆さんにとっての「一願成就 諸願達成」でもあるのです。
 
ご遺骨帰国の裾野を広げる「添え護摩祈祷」
 
信者の皆さんは毎年の大祭の時と同じように、お一人おひとりの切実な願いや祈りを込めて「添え護摩」をこれまで以上に一本でも多く申し込んで下さい。それに加えてこれまでご縁のなかった近所の方や友人知人にも、今回の「柴燈大護摩祈祷」への添え護摩の祈願料がそのままミャンマーでのご遺骨の調査費になることを伝えて頂き、ご縁繋ぎをして頂きたいのです。
 
それこそが戦後七十年周年の「奥之院大祭」に相応しい大祈祷となります。そしてその祈りは、現在の平和な日本の礎となられて、未だご帰国が叶わず、南洋の海底に、異国の野山に打ち捨てられたままになっている百万余柱の英霊の方々のためにもなるのです。
 
そして国のために命を犠牲にされた全ての英霊の方々が故郷や父母、そして子や孫の未来の安穏を願い続けられた、その心のタスキを引き継ぐよすがにもなる事と確信いたします。
 
信者の皆さんだけでなく、本誌を手にされた有縁の皆様お一人おひとりに、お願い申し上げます。申し込み用紙に皆様の願いを書いて頂き、一本でも多く「添え護摩祈祷」のお申し込みを頂きますよう、切にお願い申し上げます。
 
一般の方で寄付をしたいと思われるお方は、以下のホームページを検索して頂き、そこにある口座にご送金下さいますよう、伏してお願い申し上げます。  合 掌

ミャンマー/ビルマご遺骨帰国運動トップページ
http://mbr-rtj.net/
口座加入者名:ミャンマー/ビルマご遺骨帰国運動
郵便振替:00250-3-109203
(他行からの振り込みの場合):
ゆうちょ銀行 029店 (029) 当座0109203




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