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大日乃光






大日乃光

2016年03月02日大日乃光第2135号
「大願成就を願うなら何をおいても月参りを」

〔今回のあらまし〕

毎月十三日の御縁日法要では、貫主様のご法話の前に教師・準教師の中のお一人にお話しして頂きます。
二月十三日は準教師の野﨑真唱さんが、同郷の故金子真導先生が生前によく仰られていた「一回でも多く蓮華院の庭を踏みなさい」という言葉についてお話しされました。
 
貫主様はいつもは『大日乃光』に執筆された原稿を元にお話しされるのですが、今回は野﨑さんの体験談を受けて〝蓮華院参り〟についてお話しされました。今回はそのご法話を一部編集して掲載致します。
 
金子先生の思い出
 
先に故金子真導先生の話が出ました。この本堂に居られる半分ぐらいの方は、金子先生の事をご存知のようです。金子先生は、私がもの心付く前から蓮華院の中興に尽力され、開山大僧正様の三番目ぐらいのお弟子さんとして開山大僧正様を支え、信者さん達を指導されたご生涯でした。
 
私がまだ副住職だった頃、晩年の金子先生から「将来貴方が貫主になられた時に使ってください」と、今日只今着ているこの緋の衣を頂きました。ですから今日は金子先生の話が出て本当に嬉しく思っています。
 
金子先生はよく「一回でも多く蓮華院の庭を踏んで下さい」と言っておられました。それは皆さん(信者の皆さん)が願い事を叶えるためには皇円大菩薩様に真剣に求める気持ちを持たないと駄目だという事なのです。
 
辛抱の足りない現代人?
 
昔の厳しかった生活の感覚と現代を比べると、現代ではいろんな面で生活レベルが上がりました。子供達は個室でそれぞれテレビを観る事が増え、家族が皆そろって一緒に食事することも少なくなった様です。
 
それにつれて生活の様々な場面での厳しさがなくなりました。暑さ寒さに耐える事も必要なくなり、暑い時には自宅や学校でさえも、ほとんどにクーラーが行き渡りつつあります。
 
今は温暖化のためか、夏は熱帯の様になっていますから、夏のエアコンは必要なのかもしれませんが、冬は昔ほど寒くはなくなりました。ここ玉名で本当に寒いと思ったのは、今年に入ってから数日だけです。
 
明治生まれで気骨のあられた開山上人様
 
昔のことでしみじみ思うのですが〝石油ショック〟の頃、まだ学生だった私が冬休みに開山大僧正様のところにご挨拶に伺いました。その頃、当時の『大日新聞』で「皆さん電気や石油を節約しましょう」という事を呼び掛けておられました。八十才近かった開山上人様ご自身がストーブも使わず、一個の小さな火鉢だけで暖をとっておられたのでした。その時、「明治生まれの人はすごいな」と思ったものでした。
 
かつて、生活に対する厳しさが端々にある中で育った先人の方々や、日本が貧しかった頃をしっかり体験されている方々からすると、今の生活の在り方は相当に甘いのだろうなと私も反省をしております。
 
ですから、少しでもその厳しさを体験してみようと、今年に入ってから貫主堂の私の執務室の暖房をほとんど使わずに過ごしてみました。そうしたら寺内の皆が心配して、「そんなに辛抱したら病気しますよ」とか、「風邪ひくんじゃないですか」と言われましたが、なんとか風邪をひく事もなく過ごしております。
 
〝三三参り〟の功徳
 
私は特別指導の時に、何人もの方に「願い事を叶えたかったら三年間の月参りをしてみなさい」と伝えています。なぜそう伝えたのかと言いますと、そのような三年間の月参りや五年十年の月参りを実行した方々の中に確実に願いを成就された人を何人も知っているからです。
 
一ヶ月の内の三日・十三日・二十三日と月に三回、準ご縁日・ご縁日、そして二十三日の準ご縁日があります。この三回に全てお参りする事は大変ですが「十三日には必ずお参りしよう」と決めてお参りする事を〝月参り〟と言い、三日・十三日・二十三日のいずれかの日にお参りしようという、このどちらであっても〝三三参り〟と言い習わしています。
 
自分の仕事の都合を毎月の〝三三参り〟に合わせて調整し、お参りに来る。それがいかに大事な事か。決して仕事を怠ってお参りに来るのではありません。仕事の都合をつけてお参りするのです。〝三三参り〟をするには、先にお伝えしたように月に三回チャンスがあるわけです。
 
大願を成就するには全身でぶつかりなさい
 
奥之院では毎朝、大梵鐘〝飛龍の鐘〟を撞きます。大梵鐘は普通の梵鐘と違って直径が約三メートルと大きいので、全身をぶつけるようにして撞かなければ大きな音が出ません。決して小手先では撞けません。私は実際に撞いていたのでよく分かります。
 
真如大僧正様もよく言っておられました。「皇円大菩薩様は偉大な佛様です。しかし、大きな願い事をする時は小手先でちょっと鐘を撞くようにお願いしていても駄目なのです。小さなお願いはすぐに叶います。しかし大きなお願いをしたい人はそれではいけません。その願いに全身をぶつけるように願わないといけないのです」と。
 
 親子二代で拝み倒す
 
このように拝み倒すように願いをかけ、成就された中にすごい方がおられます。そのお一人は、すでにお亡くなりになりましたが、その昔特別指導を受けられて「これまで準備を十分に行った上で、今までと違う業種の鉄工所を始めていいでしょうか?」と相談に来られたのです。開山大僧正様のご霊示では「それは無理がある。始めるべきではない!」という答えでした。
 
普通でしたら、信頼している方から「やるな」と言われたら「そうか」と思い直します。しかしその方は、「絶対何としてもやるんだ!やらないと私の役目が済まないのです」と言われ、〝蓮華院への千回参り〟の願を立てられ〝三三参り〟を続けられました。
 
そして三年どころか九百七十回も北九州からお参りに来られたのでした。その間にその鉄工所は隆々と発展しました。しかしご本人は高齢となられ、ついに月参りが出来なくなりました。するとその残りは、「親父がやり残したから」と言って息子さんが引き継がれ、千回参りを達成されました。
 
その事業は息子さんが更に発展させておられます。佛様との約束を親子二代で完全に果たし、決めたことをやり通して来られたのです。こういう風に、事業への思いと共に信仰を引き継いでおられる方が、当山の信者さんには沢山おられます。
 
また、昔は十二日の晩に〝一夜研修会〟をしていました。どうしても十三日に仕事のある方は十二日の晩に泊まって、十三日に朝帰りしてもいいわけです。
 
もっと昔、鉄道がなかった頃はわざわざ歩いて来た人が沢山居られました。まだ新幹線がなかった頃、ある方は北九州から、十二日の夜から泊まり込みでお参りされていました。非常に熱心に毎月お参りされました。その方は、「私は公務員だから前もって予定を組めば都合をつけて来ることが出来るのです」と言われていました。
 
そして、勤続三十五年で最後は局長にまで昇りつめられました。その後も市役所から紹介されて、いくつかの学校の事務局長までしておられました。その方は、十二日から十三日まで何をおいてもお参りに来られました。「自分がこれまで存分に仕事をしてこれたのは、何と言っても佛様のおかげなのです」とよく言われたのです。
 
この、「何をおいてもお参りする」という事を皆さん、是非一度実行してみて下さい。最近こういう事はあまりお伝えしていませんでしたが、逆に皇円大菩薩様の八百五十年の大遠忌を二年後に控えた今こそ、お伝えしなければいけないと痛感しています。この事は必ずや多くの信者の皆さんのためになると確信しております。
 
 み佛様と真剣に向き合い自分自身を向上させよう
 
金子先生から頂いた法衣を着ているから、特にそういう事を言っている訳ではありません。やはり時には自分に厳しく真剣に願う、真剣に寺にお参りに行くという気持ちがないと信仰に迫力が出ません。
 
佛様に真剣にぶつかって行く、これがなければ自分自身の人格の向上や精神の向上、さらには魂の向上も望めません。適当に佛様にぶら下がっておこうというのも、それはそれでいいという人もおられます。
 
しかし人生の中で、何年か何ヶ月かは真剣に佛様にぶつかった、そういう時期を経験されると信仰の質が変わります。そして更には信心の醍醐味が分かります。この醍醐味が分かったら、いつもいつも必死になる必要はありません。
 
人生の最後に淡々と信仰されて、静かにお参りにみえる方も沢山おられますから、いつもいつも真剣になれとは言いません。しかし願い事を成就するまでは「絶対これはやり通すぞ」と強い信念で「岩をも通すぞ」という思いが大切なのであります。
 
蓮華院参りで良き心を持ち帰ろう
 
これは金子先生のもう一つ先輩の教師だった吉永正法先生の言葉だったかと思いますが、「蓮華院に来ると、佛様の前に来ると信者の皆さんは皆〝良い人〟になる。皆、本来持っている良いものが表に出て来る人が多い。日頃はもう少し物惜しみをする人だったのが、蓮華院の佛様の前に来ると、皆良い人になる。優しい人になる。その良い心のままの自分を出来るだけ家まで持って帰って下さい」と、こう言っておられました。とても面白く深い話だと思いました。
 
蓮華院にお参りして、佛様の慈悲のお力で心を開いて頂いたら、その心を出来るだけ長く保ち続けて下さい。
しかし、残念ながら人間はすぐに忘れてしまいます。忘れたら、またその慈悲を頂きにお参りに来れば良いわけです。何遍でもお参りして、その慈悲やご利益を頂戴した方が良いのです。
 
そういった意味でも、「一回でも多く境内の庭を踏んで下さい」「佛様の庭を踏んで下さい」と言っておられた金子先生の言葉を、ぜひ皆様も実行して下さい。合掌




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