2016年05月23日大日乃光第2142号
大地震の苦難を乗り越えて祈りの熱祷を捧げる六月大祭
皆様におかれましては連日テレビや新聞で「熊本地震」の事が報道されていますので、様々にご心配をお掛けしている方が多いかと思います。
幸いにも当山にはほとんど被害が無かった事を前号でお伝えしましたが、改めて皆さまにはご安心頂きますよう、この場をお借りしてお伝えいたします。
延べ七千七百食以上に及んだ連日の熊本地震支援炊き出し
去る四月十四日・十六日の熊本地震への支援活動は、四月十七日以来、「南大門春まつり」の二十九日とその前日を除いて、認定NPO法人れんげ国際ボランティア会(ARTIC=アルティック)と共に連日行っております。
これを書いている五月五日現在は、最も震災の被害の大きかった熊本市東区と益城町などで「炊き出し」を中心とした支援活動を行なっていますが、この炊き出しも一応五月七日を以て一時収束と致します。
熊本市の方針で、学校を再開する為に五月九日までに避難所の統廃合を行ない、家が無事な方には帰宅して頂いて、残る方は校舎以外の所に入って頂いている最中です。
その後は現地の様子を見ながら引き続き炊き出しを続けるか、または別な形で次の支援活動を模索することになると思います。
現在、寺内ではそこらじゅうに米や野菜の他、様々な支援物資がうず高く積まれています。私の住まいと寺の本体を繋ぐ廊下も通り難いほどです。
加えて常に十五人から二十人の外部のボランティア団体のスタッフが寝泊まりしておられて、さながら合宿場の様な状態です。こんな生活がまだしばらくは続きそうです。
これまでの炊き出しは、延べ七千七百六十食分(五月四日現在)を超えました。
また、地元の九州看護福祉大学からは毎日入れ替わり立ち替わりボランティアの学生さん達が参加してくれています。彼ら・彼女らにとって、今回の経験は将来看護師や福祉士などとして社会に出た時の大きな支えとなるに違いありません。いわば彼らの近い将来に対して、大きな方向性と基本精神を指し示す貴重な経験になるに違いないと確信しています。
子どもの幸せを願う気持ちに応えた「南大門春まつり」
そんな中でも去る四月二十九日には恒例の「南大門春まつり」を、大幅に行事を縮小して開催致しました。
一時はこんな時だから催しを中止すべきではないかという意見もありましたが、私はこんな時だからこそ、未来への希望となる「赤ちゃん土俵入り」は何としても開催すべきと考えました。実行委員会の皆さん方もこの考えに賛同して頂きましたので、この「赤ちゃん土俵入り」と、人々の和合の心を象徴する「大茶盛り」を実施致しました。
その結果、なんと「赤ちゃん土俵入り」では、過去最高の百十一人の赤ちゃんが両親や祖父母と共に参加して頂きました。
事前に予約した方々の中には今回の地震で被災した方が二十名程おられましたが、何としても子供のために参加したいと思われた方が多く、結局参加出来なかった方はたったお一人だけでした。その方も、後日お参りに来られるそうです。
被災した方は、「震災で暗い気持ちになりがちな中に、お陰で子供の明るい将来を祈ることが出来て有り難かった」と喜んでおられました。
大地から沸き出た伽藍は、苦難に立ち向かう希望の灯火
さて、そんな中で恒例の「皇円大菩薩様御入定八百四十八年御遠忌大法要」(六月大祭)が、いよいよあと二十日余りと迫ってまいりました。
その頃は、被災地への支援活動がまだ何らかの形で継続しているかもしれませんが、当山の信仰の上では最も大切な大祭ですから、全力でこれまで以上に意味のある大祭にしなければと、これから全てのお弟子さん達と全職員で心を引き締めて進んで行きたいと念願致しております。
思えば平成九年に落慶した本院の五重塔は、これからいよいよ着工するという平成七年に、あの阪神・淡路大震災が発生しました。また五年前には、南大門の落慶法要の直前に東日本大震災が発生しました。そして今回の皇円大菩薩様御入定八百五十年大遠忌を記念しての多宝塔の着工直前に、今回の熊本地震が発生したのです。
何という偶然なのでしょうか?これはどういう意味が隠されているのだろうかと様々に思案致しました。そんな中で出した結論は、「苦難の中にこそ、未来への希望となる多宝塔を建立すべき!」というものでした。
二十一年前の五重塔建立を控えた時期に、救援活動を開始する時には、「万が一救援活動に多額の費用が掛かったら、五重塔の建設を何年か先延ばしにしてでも、今求められている救援活動を始めるべきだ!」という御霊示を御本尊皇円大菩薩様からお示し頂きました。
また、南大門再建の時も、「こんな時期だからこそ護国の佛様である四天王を開眼すべきである!」というお示しを頂きました。そして今回の多宝塔も、同じような状況下での建立を迎えています。
全国の信者の皆さんと心を揃える祈りの熱祷
今年の六月大祭では、十二日からの前行としての「功徳行」に始まり、翌十三日の早朝から御遠忌大法要を厳修した後で、多宝塔の地鎮祭を挙行する事に致しております。
この地鎮祭によって、多宝塔の盤石な大地への鎮めと共に、更なる余震の消滅と震災からの復興を祈念し、被災された多くの人々が雄々しく立ち上がられる様に祈念致します。
この祈念に当たっては、皇円大菩薩様の御霊力を更に強めていただく様に、皆さんと共に真剣な祈りを捧げたいものであります。
どうしてもその日にお参りの叶わない方々は、来たる六月十三日午前七時を期して、当寺の方角に向かって『般若心経』や御宝号を唱え、本院と被災地に心を向けて頂きますよう、切にお願い致します。
『苦難の時期にこそ菩薩は出で賜う』と言われています。
一人でも多くの皆さんの祈りが皇円大菩薩様の御霊力に加わり、なお一層救済の功徳が輝き、大いなるお力を発揮して頂けるよう、真剣に祈って下さいますよう、心からお願い致します。合掌
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