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大日乃光






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2016年06月08日大日乃光第2144号
開山上人生誕百二十年に当る六月大祭、多宝塔の建立に三輪清浄の願いを込める

熊本地震支援活動の中で粛々と執り行う六月大祭
 
以前から度々お伝えしているように、四月十五日以来、寺内では熊本地震で被災された方々のために継続的に支援活動を行なっています。これらの支援活動は六月大祭を挟んで続けられると思います。その一方で大祭の準備も着々と進んでおります。
 
そんな中で、いよいよ六月大祭が目前に迫ってまいりました。遠路からお参りされる信者の皆様は、既に参詣の準備を終えられて心を躍らせながらその日をお待ちの事と思います。
 
一方でまだ参詣を決めかねておられる方は、「思いきってお参りしよう」と心を決めて下さい。必ずや大きなお恵みや功徳が得られるに違いないと確信致します。
 
多宝塔の建立に込められた願い
 
功徳と言えば、佛塔を建立する功徳は様々な経典に説かれています。思えば平成四年に当寺の貫主(住職)を拝命した私にとって、先代貫主の発願によって始まった五重塔建立の歩みは、中興第三世の私に課せられた大きな命題でありました。
 
その頃の私は皇円大菩薩様に真剣に向き合う中で、様々な方針を御霊示頂きながらの五重塔建立でした。その具体的な方針は、以下の三つでした。

一、新たなご縁を更に広げながら建立する。
二、五百年、千年と耐え得る塔として建立する。
三、世界の佛教国の文化や技術を可能な限り導入しながら建立する。
 
そしてそれらを統合する理念として、
『塔を建つるは願いを立つるなり』
という願いと信念を皆様にご提示致しました。
 
一方でこの度の多宝塔の場合は、南大門再建からあまり年月が経っていないので、信者の皆さんに負担を掛けずに、専らお寺の仕事として建立しようと考えていました。
 
しかし最近、熊本地震の支援活動を続けながらよくよく思念してみますと、こんな時だからこそ、より多くの人々の願いと祈りを結集しながら多宝塔を建立すべきではないかと改めて考えるようになりました。
 
この思いを皇円大菩薩様に至心にお尋ねしますと、
《信者はもちろんの事、信者の子や孫の世代のために、更には未来のためにも出来うる限りご縁を広げるべし》
という御霊示を頂きました。
 
ともすると「信者さん達に負担を掛けないように」とか「これはお寺の仕事として建立しよう」といった考えは逆にせっかくのご縁を狭め、深い功徳を積む機会をも狭めてしまう事になると気がつきました。
 
『塔を建つるは願いを立つるなり』の信念の下に、まさに信者さんの数だけ願いのある中で、その願いを叶えながら多宝塔を建立して行きたいと思うようになりました。
 
被災地支援に込められた願い
 
願いはその願いが清浄であれば、必ず叶わねばなりません。そこで「清浄な願い」とはどんな願いでしょうか?
 
例えば今回の震災に当たって、被災者に思いを馳せた信者の皆さんから多額の浄財を頂きました。この浄財をお送り頂いた全ての信者さんの心そのものが清浄であるに違いありません。ですからこのような募金の事を「浄財」と呼ぶわけです。
 
皆さんは被災地に思いを寄せて、被災された方々の為に何か役に立ちたい、という心の底から湧き出す思いに衝き動かされて浄財をお送り下さっています。
 
この「他の人の苦難を傍観することは出来ない」という思いは、まさに〝菩薩の心〟に違いありません。その募金に込められた思いこそが「清浄なる願い」なのであります。
 
そこには「自分の名前を出したい」とか「惜しみの心」、更には「恩を着せよう」などといった見返りを求める気持ちは微塵も込められてないはずです。
 
この見返りを求めない心こそが、真に清浄なる願いそのものなのであり、このような募金こそ、私が常々お伝えしている「三輪清浄の布施」そのものなのであります。
 
三輪清浄の布施とは、
一、布施する人の心に、恩を着せる思いや、惜しみの心、功名心のない状態
二、布施を受ける人の心に、その事を負担に感じたりこだわりを持たないこと
三、布施をされるそのものが正当な良きものでなければならない

この三つの条件を満たした布施の事であります。
 
皇円大菩薩様の御心に適う願い
 
この度の震災募金と同じように、完全に清浄な「三輪清浄の布施」によって多宝塔を建立することは、信者の皆さんの願いを叶える事に必ずや繋がるのであります。
 
ここまで申し上げると多宝塔へのご奉納があまりに厳しくなりますが、願いが叶ったりご利益を頂くのはあくまで無心な思いや願いの結果であると言いたかったのです。
 
願わくば、自分の為だけの願いや祈りを超えた所に自然に現れてくる清浄な清らかな願いを別掲の「多宝塔部材奉納」に込めて頂きたいのであります。
 
「なかなか願いが叶わない」というお方は、「この願いを通じて周りの人々や社会のお役に立ちたい!」という広い心がまだ足りないのかもしれません。この事を開山上人様は「願い事は皆叶わなければなりません。そのためには御本尊皇円大菩薩様の御心に適わなければなりません…」とおっしゃっておられたのです。
 
「皇円大菩薩様の御心に適う」とはどういうことでしょうか?
それは、他の人々の苦しみを見て黙っていられない、何かせずにはいられないといった、全ての人々が本来心の底に持っている優しい心、慈悲の心、つまり〝佛心〟から起きる願いに違いありません。
 
歴代貫主に託された「御請願」
 
私達が日頃信仰している皇円大菩薩様は、誰に頼まれた訳でもなく、御自身の大慈大悲の御心から長い長い龍身修行を発願されました。その深い御心からの願いを「御誓願」と言います。この御誓願が成就したからこそ、御自身の生誕地であるこの蓮華院のこの地にお帰りになられたのであります。
 
そしてその御誓願を託すにふさわしい人物を呼び寄せられたのであります。その見込まれた人物こそ開山上人様なのであります。開山上人様を通じて、皇円大菩薩様は御誓願であった衆生済度の日々を今日でも送っておられるのであります。
 
その衆生済度の御誓願は、先代の真如大僧正様に引き継がれました。まさにその時から皇円大菩薩様の御誓願に、開山上人様の「後の世の信者を孫子の代まで救いたい」という願いが合わさって、これからも脈々と引き継がれていくのであります。
 
本年は皇円大菩薩様の御入定から八百四十八年にあたり、加えて開山上人様の御生誕百二十年に当たるのが、来たる六月十三日のその日なのであります。この日はまさに皇円大菩薩様と開山上人様の大慈大悲の御心が結実した特別な日なのであります。
 
その意味で、来たる六月十二日と十三日は寺内の我々僧侶は勿論のこと、全国の信者の皆さんにとっても何をおいても大切な、特別な日なのであります。
 
子や孫にご縁を繋ぐ六月大祭
 
これまでこの大祭にご縁の無かった新しい信者さんを始め、まだ連れて来ていないお子さんやお孫さん、更には親友や大切な方と共にお参りして頂きたいものであります。
 
今回の大祭は、既にお伝えしておりますように、いよいよ皆様の願いを集めて建立する多宝塔の地鎮祭を法要の最後に執り行います。これをご縁に、多宝塔の「部材奉納」に皆様の願いを込めて頂きたいものであります。
 
この奉納には皆さんがこれまで頂かれた多くのご利益やお守り、信仰の証しや信仰への道筋など、信仰へのご縁繋ぎをお子さんやお孫さん達にしっかりと引き継ぐ良い機会になるかと思います。
 
どうか一人でも多くの信者の皆さんに多宝塔とのご縁を結んで頂き、更には皇円大菩薩様への信仰を子や孫の代まで引き継いで頂きたいものであります。
 
そのためにも間近に迫った御遠忌大祭(六月大祭)に是非ともお参りして下さい。
 
皇円大菩薩様、開山上人様、先代真如大僧正様、そして寺内のお弟子さん達や職員一同、皆様の里帰りとも言えるお参りを心からお待ち致しております。合掌



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