2016年10月28日大日乃光第2158号
「真剣な祈りと三信条であなたの願いを叶えよう」
坂村真民先生の代表詩『念ずれば花ひらく』
今年で二十七回目となる「子供の詩コンクール」の特別三賞の詩碑除幕式を、奥之院大祭の午前中の行事として執り行います。この催しは玉名出身の世界的な詩人、坂村真民先生との巡り会いから始まったものです。
真民先生の詩碑は、五大陸を含めて世界に七百基以上建てられています。その中で一番多いのが、この「念ずれば花ひらく」です。
「念ずれば花ひらく」
苦しいとき
母がいつも口にしていた
このことばを
わたしもいつのころからか
となえるようになった
そうしてそのたび
わたしの花がふしぎと
ひとつひとつ
ひらいていった
佛性の花を咲かせよう
ここで言われている「花」とは一体何なのでしょうか?実は私達の心の中にある佛様の種(佛性=ぶっしょう)、その種から芽を出して開く、その「花」なのです。
花を咲かせるためには、まず土に種を植えて水をかけます。適度な温度と太陽の光も必要です。それと同じように、まず種を植えなければ花は開きません。
佛様の種には水をやる代わりに、佛様の教えを信じて実行して行く。そして適度な温度と太陽の光の代わりに、佛様からの慈悲の光が降り注ぐ。そうすれば自分自身の念じる力と共に、自然と花は開いてくるということです。
願いが叶うか叶わないかの一番大切な要点は、「自分の中に佛様の種があるのだ」「自分は佛様の子なのだ」という事を、疑いなく信じられるかどうかにかかって来ます。それが信心の基です。
日々の生活で三信条の実践
その信仰生活を具体的に表現したのが、「反省に始まり、感謝を経て、奉仕に至る」という言葉で、これに尽きると思います。
「自分はこれでよいのか?」という謙虚な気持ちを持ちながら日々暮らしていく中で、「こういう自分でも、これほど守られている!」「有り難いなー」と感謝が生まれる。
「有り難いなー」と心から感じたら、「何かせずにはいられない」、「自分にも何かできるのでは?」と、自分の事から一歩、奉仕へと踏み出して行くのです。
人によっては反省より「感謝から始めたい」、または「自分の事も大事だが、何とか人様の役に立ちたい」と思われるかもしれません。それはそれでたいへん結構な事です。
人助けと言えば、「偽善」ではないかと思われることもあるでしょう。しかし、偽善と思っても、それをやり続ける事がもっと大事です。たとえ最初は偽善であっても、やらないよりはやった方が良いに決まっています。そのうちに本物に近づいてきます。
そんな中で、「自分のようなものでも、こういう事をさせていただいている!」という気持ちが起きてきます。反省も出てきますし、させていただいていることが、有り難い事だと感じるようになってきます。
願いを叶えるための三力
一方で、願い事を叶える三つの要素を挙げる事ができます。これを「三力の偈」と言い、
以我功徳力(いがくどくりき)
如来加持力(にょらいかじりき)
及以法界力(ぎゅういほうかいりき)
普供養而住(ふくようにじゅう)
と表現されています。この三つの力が調ったときに、願い事が叶い、念願が成就できるのです。
まず一つ目の「功徳力」は自分自身から「皇円大菩薩様にお願いしよう」と祈り始める事、つまり願いを起こすと共に、そのために努力するという事です。
二つ目は佛様からの「加持力」です。これは佛様からの救済のお力の事です。
真言宗は一般的に「加持祈祷」の宗教と言われますが、「加持」という言葉には非常に深い意味が込められています。太陽やお月様がいつでも輝いているのと同じように、神佛の恵みはいつでも降り注いでいるのです。これを「加」と言います。
それに対して私達の心を水面に喩えた時、私達が素直で謙虚な心、優しい心になっていると、水の表面に太陽の光やお月様の光がはっきりと映ります。これを「持」と言います。
若い頃、深夜に起きてお参りをしていた時、器に水を張って、月を水面に映して瞑想した事があります。ちょうどよい角度にすると、お月様が水の中に映ります。しかし風が吹くと、水面が乱れて映りません。これと同じように、心が落ち着いた静かな状態になっていると、神佛のお力が映るようにお救いの働きが現れるのです。
これは皆さんが、日頃のお参りや、近づく大祭などで、我を忘れて一心にお参りされている時、まさに皇円大菩薩様と皆さんが加持し、感応している状態なのです。
そして三つ目の「法界力」は、社会が安定し、人々の暮らしが調う事です。私達の願いが叶うための大きな要素です。さらには周りの人びとと声を合わせ、心を合わせて祈る事も、この「法界力」の一部になります。
蓮華院ではこの三力に加えて、日々の祈祷の中で、皆さん達お一人お一人の願いを直接、御本尊皇円大菩薩様にお伝えしているという事であります。
皆さん達が「佛様の力は無限大にあって、ここにお願いしておけば大丈夫だ」と信じる心を持って、そして自分自身も佛様に心を向けて頂く事が大事です。
娘のために千日読経の願掛けを成満された信者さん
このように、強く願えば皆さんの心の中にも変化が起こり、それに応じた具体的な行動が始まります。最近嬉しい話を聞きました。
ある信者さんがとてもつらい状況にありました。というのは、娘さんが病気になってしまい、幸せな結婚の後に離婚してしまいました。
親としては心配です。「どうか娘の苦しみをお救い下さい」という事で、その人は「千日間、お経を唱えよう」と決意されました。
まさに「三力の偈」の一番目の、自分自身の「功徳力」です。それを毎朝実行されました。もちろんこの間、私もその娘さんのために毎朝祈祷を続けています。
先日、「もう少しで千日になります」という報告を受けました。そしてこう言われたのです。「何とも有り難い事に、五百日を超える頃には願い事はほとんど成就していました。娘は今とても元気にしていて、再婚しました。その後は感謝のお参りです」とのこと。三人の娘を持つ私は、自分の事のように嬉しかったですね。
続けて「私は今、具体的な願いではなくて、佛様に守られていると実感しています。これからもまだ苦難があるでしょうけれど、苦難に打ち勝つ自信がつきました」と話されました。
奥之院大祭で心を一つにするお参り
『願い事は叶わねばなりません。叶うためには御本尊皇円大菩薩様の御心に適わなければならない』
と言われた開山上人様。
それに対して真如大僧正様は、『願い事を叶えるには、佛様を恋人のように思いなさい』と仰っておられました。
皇円大菩薩様の御霊力を実感し、「反省」、「感謝」、「奉仕」の心をさらに充実し、さながら充電するように、奥之院大祭で心を一つにしてお参り致しましょう。
大祭にお参り出来ない方は、柴燈大護摩祈祷を修している間、遠方からでもご一緒に、その時間にお参りして下さい。必ずや大きな功徳を頂かれる事でしょう。合掌
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