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大日乃光






大日乃光

2017年06月02日大日乃光第2176号
「六月大祭は、一万倍功徳の日!!」

一万倍のご利益が
 
来たる六月五日には、六月大祭を直前に控え、寺内の全職員で会議を開きます。そして六月大祭が万事手抜かりのないように、役割分担と責任者を決定します。また去る五月十二日には恒例の教師・準教師会で、私はお弟子さん達にこんな話をしました。
 
お寺参りには本来どんな意味があるのでしょうか。「宗派を超えてチベットの平和を祈念し行動する僧侶・在家の会」(スーパーサンガ)で巡り会ったある仲間のお寺から、この『大日乃光』と交換するように、毎月寺報が送られてきます。そのお寺は千二百年の歴史を誇る名刹で、観音様の信仰で有名です。
 
その寺報の中に「万倍日」という言葉が書かれていました。それは「その日にお参りすれば、普通の日の一万倍の功徳がある」という意味のようです。元々は一粒の種を撒けば万倍に実る事から、何かを始めるには運気が盛んな良い日、という意味だったものを信仰に結びつけ、その日にお参りすれば万倍の功徳のある日となったのです。
 
 
衆生済度が凝結された御入定の六月十三日
 
その意味では、六月十二・十三日にお参りすれば、普通の十三日のご縁日にお参りするよりも百倍、ご縁日以外のお参りに比べれば一万倍の功徳があると思うのです。これは自分の都合でお参りするより、御本尊様の願いが満ちた日、つまり御入定のその日にお参りする方が、遥かに功徳がありご利益が頂けるからなのです。
 
喩えて言えば、入学試験や会社の面接などは、相手(学校や会社)の決めた日に受験したり、面接会場に行かなければ話にならないのと同じ事なのです。皇円大菩薩様はそれほど厳しくご自身の都合を押し付けられる事はありませんが、やはり普通の日に自分の都合だけでお参りするよりも、佛様のご縁のある日、もっと言えば皇円大菩薩様が「末世衆生を救いたい!」という菩薩の御心で龍身入定された日の六月十三日にお参りする方が、遥かに佛様の御心に適っているのです。
 
開山上人様の喩え話
 
開山上人様は、「願い事は皆叶わなければなりません!叶うためには皇円大菩薩様の御心に適わなければなりません!!」と、よく仰っておられました。この佛様の御心に適う具体的な行動が、六月十三日にお参りすることであります。これが願い事が叶うために欠かせない大切な事の一つと言えるでしょう。
 
また開山大僧正様は、功徳を頂き、ご利益を頂くためにというお話で、こんな喩え話をよく仰られました。ミカンや柿の木を植える事は、皇円大菩薩様とご縁を結ぶ事に当たる。しかし、そのような実の成る木を植えるにしても、しっかりと大きな穴を掘り、そこに充分な肥料を入れなければ、木はその後充分に育たない。その後も毎年一度は追肥をしたり、時には枝の剪定をしたり、虫が付いた時にはそれらを除かねばなりません。
 
この様に充分に心を配り、小まめに手入れを行わなければ立派な果実を得る事は出来ません。この果実こそが「ご利益」そのものです。そして立派な果実を得るための肥料に当たるのが、お寺にお参りする事であり、自宅でお参りする事なのです。剪定は、自分を深く反省し、懺悔する事に当たるでしょう。周りや社会に対する奉仕などは、追肥や剪定に当たるかもしれません。…と、とても身近で分かりやすい喩え話でした。
 
六月大祭はお寺への「里帰り」
 

私は信者の皆様が六月大祭にお参りされる意味として、こんな事を考えました。この六月十三日は、別の言い方をすれば一年に一度の「充電の日」なのです。
 
当山の信者の皆さんの中には北海道や関東、東海、中国地方などの遠方からお参りされる方も多勢いらっしゃいます。この遠方の方々は、そう度々はお参りが出来ません。そんな方々こそ、この六月大祭にお参り頂きたいのであります。
 
大阪にお住まいだったある篤信の信者さんは、「六月大祭は、七夕さんのように一年に一度、多くの懐かしい同信の方々とお会いできるのも、楽しみの一つです」と、しみじみと話しておられました。
 
また別の、名古屋のある信者さんは、「十二日からの功徳行と大梵鐘のお身ぬぐい式が数年前から一緒になったので、お身ぬぐいの浄布を頂くのが楽しみです。あと何回かで人生最後に着る経帷子(臨終の時に着せる白衣)が完成しそうです」と話しておられました。
 
先代の真如大僧正様の時代に始まった五月三日のかつての「大梵鐘まつり」で、大梵鐘のお身ぬぐい式が始まりました。その時に用いる百八名分の浄布を、真如大僧正様は毎年書いておられました。
 
平成十年以来、このお身ぬぐい式は、六月十二日に行なっています。そんな中で、この浄布に「南無皇円大菩薩」と心を籠めて書くのが、私にとっては大祭を控えての有り難い準備の一つであり、修行でもあります。
 
今年の六月十三日は大転換の日
 
さて、先にはお参りの意味を「充電」と喩えましたが、このように佛様の御心に適う願いを皆さんに持って頂くために、来たる六月十二日の午後二時から奥之院の五重御堂で、「授戒」「写経」「阿字観」などの「功徳行」を修します。行の終わりには、大梵鐘の「お身ぬぐい式」を厳修し、皆さんの願いを込めて、大梵鐘を撞いて祈願をいたします。
 
「お身ぬぐい式」は佛様そのものでもある大梵鐘に、信者の皆さんが直接触る事の出来る唯一の機会です。そのための浄布を、毎年この時期に一心に念を籠めながら、一枚一枚染筆する事は、私にとっての大祭の前行の一つとなっています。
 
「功徳行」の後、薄暮の中で皆さんと一緒に境内のボンボリに点火して、引き続き五重御堂一層の本堂で、御遠忌大祭の開白法要を厳修します。そしていよいよ大祭の前行としての「龍火くだり」が、本院までの約四キロの道程で始まります。皆さんと声を揃えて、独特な節で御宝号を唱えながら山を下ります。闇夜の下、一条の灯明の列が連なりながら下る様子は、さながら龍が希望の灯を下界に下しているように感じられます。
 
皆さんの唱える御宝号が野山に木霊する中に、信心の醍醐味と法悦の一時があります。程なく満天の星空が見える頃、本院の五重塔が照明に浮かび上がる姿は確固たる大慈大悲の御心を象徴した、大いなる安らぎと勇気と清涼感が与えられます。そしていよいよ南大門では、最後に残った邪気を祓って頂く四天王を拝します。
 
南大門を過ぎると、開山大僧正様の立ち姿の銅像に迎えられて本堂へと至るのです。本堂に至る直前には、外形的にはほぼ完成した多宝塔も、皆さんを待ち受けるように屹立しています。
このように、この年に一度の信心浄化の「龍火くだり」は、大祭の前行として毎年繰り返されてきました。その後引き続き、これも年に一度の信者さん自身の体験談発表へと移っていきます。
 
報恩感謝の六月大祭
 
これまで六月大祭にお参りされた事のない方は、十二日の「功徳行」と「龍火くだり」から、ぜひお参りください。必ずや、これまで経験した事のない大きな感動と、ご利益を頂かれるはずです。その中で、皇円大菩薩様と、しっかりとしたご縁が結ばれるはずです。
 
また、これまで何度もこの大祭にお参りされた信者の皆様は、今回はご自身だけでなく、ご家族や友人、知人などと一緒にお参り下さい。必ずや「お参りして良かった」と感じて頂けるはずです。この様にご縁の輪を広げる事が、これまでのみ佛様の絶大なお加護に対する報恩感謝ともなるのです。
 
今年の大祭は平日です。お参りしたくても、仕事の都合などでなかなか叶わないお方が多い事でしょう。その困難を敢えて乗り越えてお参りされると、更に大きなお加護と功徳が頂けるものと確信いたしております。
 
今年の「万倍日」は六月十一日・十二日になっています。しかし、私達は十二日・十三日こそ信仰上の万倍日と思い定めて、大いなる皇円大菩薩様のお膝元にお参り下さい。合掌




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