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大日乃光






大日乃光

2018年03月29日大日乃光第2203号
信仰の原点に立ち返り、集いて祈る皇円大菩薩八百五十年大祭

八百五十年大祭に向けていよいよ顕現された大日如来
 
五日前に五智如来の最後の一体の大日如来が蓮華院に納まりました。私はその前から何度も何度も京都の工房に足を運び、木彫の様子を見分したり、さらにその前の段階から今村九十九大佛師と打ち合わせしながら造立してきました。ですから今回が初めてではありませんけれども、完成した状態は五日前に初めて拝みました。皆さんそれぞれに感じられるものがあると思います。
 
この大日如来を初め、阿 如来、宝生如来、無量寿如来、不空成就如来と五佛全て揃っているお寺は総本山クラスしかありません。言い換えれば五智如来を多宝塔に祀るという事は滅多に無い事なのです。何百年に一度と言っても良いのかもしれません。
 
この五智如来はまさに、皇円大菩薩様を生み出された佛様なのです。皆さんに十日に一度送っている『大日乃光』の大日如来です。宇宙全体の大生命の象徴であり、そういった意味で密教の最高の中心になる佛様なのです。
 
その大日如来の「特命全権大使」とでも言えるのが皇円大菩薩様と考えて頂けば、当たらずといえども遠からずです。開山上人様もずっと、皇円大菩薩様を通じてこの大日如来様を拝んでおられました。
 
〝大日如来を祀る山〟が 奥之院の原点
 
かつて開山上人様が奥之院に「大日山天龍寺」という山号と寺号を付けられ、今も鐘楼堂や五重御堂等の瓦にその名残りが残っています。
 
ところが奥之院の名前を「天龍寺」にすると蓮華院との関係が分からなくなるという理由で、当面「蓮華院の奥之院」という事にして、この「蓮華院の奥之院」が定着した後で「大日山天龍寺」を使う事にしようとの先代真如大僧正様のご決断で、今も「奥之院」と呼んでいます。
 
けれども開山上人様が付けられたのは「大日山」です。大日如来の山という意味です。それから四十年目にして、それこそ大日如来一体だけではなく、四体の如来も一緒に合わせてお迎え出来たという事は何とも有り難い事です。
 
絶大なる御霊力に従って佛法を説き続ける伽藍の建立
 
この時間には総本山西大寺で宗議会が開かれていて私はその副議長なのですが、この御縁日法要があるので欠席を伝えております。その西大寺においても未だ五智如来は揃っておりません。
 
西大寺は創建以来千二百五十三年の歴史を持っていますが、鎌倉時代には衰退の極に達し、叡尊上人が中興されて現在の原型が出来ました。西大寺には金堂の前に基壇があり、往時は五重塔が建立されていたのですが、現状では五重塔は復活出来ていません。二代前の管長猊下が五重塔を建立したいと仰っておられましたが、とうとう実現出来ませんでした。
 
このように五重塔を建て、それに合わせて多宝塔を造り、そして五智如来を祀るという事はそのくらいに大変な事なのです。なぜ蓮華院でそこまで出来たのかと言えば、全ては皇円大菩薩様の御霊示に従っての事なのです。
 
開山上人様も御霊示に従って奥之院建立を発願されました。真如大僧正様も御霊示に従って五重塔建立を発願され、私もそれを引き次いで御霊示に従って南大門を再建し、五智如来を祀る多宝塔を建立して来たわけです。
 
数日前、ある人が、「この境内を歩くと不思議な気の調和を感じます。五重塔の周りの池の景色も何とも言えない爽やかさで心が洗われますね」と、しみじみ言われました。色んな人が入れ替わり立ち替わりお参りされて、同じような事を感じておられるのだと思います。
それこそ私は月に三遍ここで御説法をしますけれど、五重塔も多宝塔も、そしてこの寺全体の設えが常に人々に説法をし続けているわけです。
 
御霊力と信心力の奇蹟の結晶
 
他の真言宗のお寺さんから見れば、「蓮華院は何というお寺なんだろう?」と思っておられると思います。このお寺の信者さんは、一体どういう凄い人達なんだろうと思っておられる事でしょう。
 
実際に皆さん方が毎月毎月先祖供養をお願いされたり、全快祈祷をお願いされたり、開運祈願や安産祈願など、たった今三百人以上の添え護摩を焚きましたが、そういう形で祈願をずっと続けて来られたからこそ、こうして伽藍が建立出来るわけです。
 
それこそ強制的にお寺から奉納を求める事も一切なく、ただ『大日乃光』に奉納受付を載せる程度で沢山の方にご奉納もして頂きました。そしてご奉納された方一人びとりのお名前も名簿も一切公表していません。
 
一昨年、高野山で百七十二年ぶりに「中門」が再建されました。私が修行していた頃は、納める建物の無いままにその前に行って持国天と多聞天のご真言をお唱えしていたものです。百年以上もずっと、さもそこに中門があるかのようにお参りしてきたのです。そして再建後、私は現物を残念ながらまだ拝んでいませんが、四天王も残り二体が再現されました。
 
当山の諸堂や佛像、そして庭園も素晴らしい佛師さん、社寺建築士、そして造園家と、どの方も日本最高レベルの人に集まって頂いています。これもまさに御本尊皇円大菩薩様のお力であると、しみじみ本当に有り難く感じております。
 
この庭を造成された人は、京都迎賓館の庭園を実際に現場で指揮された井上剛宏さんです。奥之院の庭園造りから、もう四十年来のお付き合いになります。おそらくこの大日如来を初めとする五体の如来も間違いなく後世に残る国の宝になるに違いありません。まだ新しいので国宝にはなりませんが、その位のレベルにあると言っても過言ではありません。
 
八百五十年大祭に何を措いてもお参りを
 
皇円大菩薩様の絶大なる御霊力と信者の皆さんの信心の結実でもある多宝塔の落慶法要と、八百五十年大遠忌法要を、五月十二日と十三日に執り行います。皆さん方は周りの人達も家族も連れて、何としてもお参りにお越し頂きたいと思います。
 
これは随分昔に聞いた話ですが、五十年前の八百年大遠忌の際には、今の司ロイヤルホテルほど大きい旅館がありませんでしたので、温泉旅館を何件も押さえたそうです。タクシーもあまりなかった頃ですから、そこから信者さん達が数珠繋ぎに三、四十分がかりで本院まで歩いてお参りされた話を聴きました。(憶えている人もおられますね)昔の方がそれだけ時間に余裕があったのかもしれませんが、それぐらい大勢の人がお参りにみえられたという事です。
 
この度の八百五十年大祭も、恐らくほとんどの方にとって一生に一度きりの大事な意味のある行事です。その時にぜひご自分お一人だけでなく、親しいご友人を連れて来られたり、ご家族連れや、お子さんやお孫さん達とご一緒にお参りして頂きたいと思います。
 
信者の皆さんと共に蓮華院信仰の原点を祝いたい
 
さて、昨日は私達の結婚四十周年でした。十二日は平日でしたので三人の娘達が相談し合って十一日の日曜日にご主人と子供達を連れて集ってくれました。どうしても都合の付かなかった一人の婿さんを除く総勢十二名が集まって祝ってくれました。もし四十年前に私と妻が一緒にならなければ、私以外の十一人は確実にその席にはいなかったはずです。
 
それと同じように、皇円大菩薩様が衆生済度の御誓願を以て龍神入定の御修行に入っておられなければ、今の蓮華院そのものがこの世に存在していません。そして今ここにおられる皆様も私も誰一人、この場所にはいない事になります。
 
その意味では七百六十年の苦難の御修行と、その後の開山上人様との巡り合いが、私達にとっての原点になっているのです。その意味でも来たる五月十二日と十三日の大法要には万難を排してお参り頂き、御恩報謝と更なる心願成就の祈りを捧げて頂きたく切に念じつつ、一人でも多くの同朋の信者の皆さんのお参りを心よりお待ち致しております。合掌




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