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2018年04月06日大日乃光第2204号
国際協力を導き伽藍復興を支えた深甚なる御霊意と信者の信心力

多彩な実を結びつつあるミャンマーでの学校建設事業
 
認定NPO法人れんげ国際ボランティア会(ARTIC=アルティック)の活動で、三週間近くミャンマーとタイに出張していた久家事務局長がつい二日前に帰国して、色々な報告を受けました。その中でとても嬉しかった事がいくつかありますので、少しお話ししたいと思います。
 
アルティックはタイから始まりスリランカ、チベット難民支援へと活動を広げてきましたが、ここ五、六年は活動の範囲を集約して、八割九割をミャンマーに集中している状態であります。
 
ミャンマーでは既に七十一校の学校を造り、百校ぐらいまでは南方のイラワジ管区で学校造りを続ける事が決まっています。それ以降に関しても具体的な討論や調査、様々な検討を現地で加えている所です。それによれば、最近ミャンマー政府と和平調停を交わしたモン族のモン州における活動を新たに始めようとしています。もう一つ嬉しい事には、日本財団の会長や幹部の人達と一緒に学校の落成式を執り行う中で様々な話し合いがもたれました。
 
今、ミャンマーに対して世界の色んな国や地域、日本国内の様々な企業や団体などが注目しています。その中には社会的な貢献をずっと続けている企業があり、今回二つの企業が私達と提携して活動を進めたいと名乗り出て来られました。
 
皆さんよくご存じの世界的に有名な企業です。かつては松下電器と言っていた、今年で百周年を迎えるパナソニックです。このパナソニックさんがぜひアルティックと提携して、ミャンマーの田舎の地域で電力プロジェクトをやりたいという話が持ち上がり、ほぼ間違いなく進んで行くと思います。具体的にはパナソニックさんが資金を提供し、アルティックが電気のない村に太陽光発電による電力供給を進めていく。
 
それだけではなく、既に我々が造っている学校での様々な教育プログラムを応援したいとも言われています。数ある民間団体、国際協力団体の中で、ぜひアルティックと組みたいと言われています。今後これも着実に進めていくと思います。
 
もう一つ、こちらも皆さんよくご存じのANA(全日本空輸株式会社=全日空)さんからミャンマーの子供達に考えさせる教育プログラムを実行したいという話を持ちかけられています。
日本には将棋と囲碁というボードゲームを基にした二つの伝統的な競技がありますが、全日空さんが仲介して、その内の囲碁の日本棋院と提携しながら、ミャンマーの子供達に囲碁を通じて、自分で考えたり決断して責任を持つという考え方を広めていきたいというプロジェクトです。そういった教育は日本にも必要だと思います。
 
それぞれのプロジェクトのはっきりした方向はこれから決まって行きますが、アルティックがミャンマーの現地で六年近く活動を続けてきたことが、まずミャンマー政府に認められ、国と提携しながらこれからも続けていきますが、もっと色んな方面からも認められつつあり、様々な団体や企業からも注目を集め、活動を広げられる時期になってきているというわけです。
 
苦節六年にして受け容れられた活動の真髄
 
今、ミャンマーの現地にはアルティックのスタッフが十人位います。最初はなかなか職員が定着せず、入れ替わり立ち代わりしてすぐに辞めてしまいました。現地には他にも日本企業が沢山入っていますので、日本語さえ出来れば給料が高くなるのですぐに転職する状況が続いていました。
 
アルティックではそこまで高い給料は出せないので、運転手から経理担当に至るまで、短期間で色んな人が入れ替わりました。しかし、ここ一年近くでようやく定着してきたというのです。かつて勤めていた人が「現在やっている活動に自分は賛同します。ぜひまたやらせてください」「もう一回雇ってください」という人も増えてきたそうです。
 
それは何故かと言えば、最初の頃、現地の人々は外国人がお金を出して自分の国の田舎に学校を造っていくという話を、ほとんど本気にしていなかったからだそうです。気まぐれでやっているんじゃないかと。
 
しかし三年が経ち、五年目、六年目に入ってくると着々と実績が上がって行きますから、アルティックの一員としてやっている事が、自分の国の田舎の地域の子供達を立派にするのに貢献している事がありありと解ってきたのです。自分達自身が立ち上がって自分達の力で村を良くしようという活動をしっかりとサポートしてもらっている。これはすごい事なんだとようやく気付いてもらえたのです。
 
自分達は非常に意味のある仕事に携わっているという実感が湧き、生き甲斐と使命感を持つ職員が次第に増えて、今ではもう簡単に辞めなくなっています。ここまで来るのに六年かかったわけです。そういった意味では、本当は皆さん達にも現地の学校や村の状況を直接見届けて頂きたいと思うほどです。
 
私達は九州ぐらいの広さの範囲に七十一校も造って来ましたが、その周辺地域にも色んな噂話が伝播して、それぞれの村々で「自分達の村は自分達で良くしなければいけないんだ」「子供達の未来は自分達が良くしなければ」とか、「他人に頼っていてはいかんのだ」という気持ちになってきたというのです。これは本当に素晴らしい事だと思います。
 
その反面、では日本はどうなのかとも思わざるを得ません。地域での付き合いがずっと減ってきて、自分達の地域や町を自分達で良くしなければならないという考え方が、今の日本に果たしてどのくらい残っているだろうかと考えて行くと、心許ない気持ちになります。逆に日本国内の方が心配になって来るというのが最近の私の心境であります。
 
蓮華院を地域興しの中核に
 
そういった中で、例えばこの玉名においては「蓮華院の存在をもっと活用しようじゃないか」とか「蓮華院をもっと地域の発展に役立てようじゃないか」という動きが少しずつ増えて来ました。これは非常に有り難い事です。
 
実際、行政がお寺や宗教団体を援助する事は憲法の規定上、なかなか出来ません。しかし、去る三月十七日、第二回目の「玉名音楽フェスティバル」が昨年に引き続き、奥之院の境内で開催されました。参加者は千人位とまだまだ少ないのですが、玉名市が実行委員会に予算を拠出して、奥之院の境内をフェスティバル会場として使わせて欲しいという事です。これは画期的な事です。
 
例えば高野山では開創千二百年祭が三年前にありました。そもそも弘法大師が修行道場にされたから今の高野山があるのです。また伝教大師最澄上人が比叡山に修行道場を造られたから、今の比叡山があるわけです。信濃に一光三尊阿弥陀如来像をお祀りした人がおられたから、今の善光寺があり門前町があるのです。
 
このように地域興しや街づくりの一つの核になるのが宗教的な聖地であると言えます。そういった意味で蓮華院のある玉名市も、ようやくそういう時代に少しずつ入ってきたと感じております。
 
こういうことは、やはり地域の人達の蓮華院に対する認識が深まり、市長さんや議員さんを始め、玉名においては蓮華院がとても大事なものだと思って頂いているという事は非常に有り難いと思います。一ヶ月半後には多宝塔の落慶を経て、八百五十年大祭を営む事で、奥之院に加えてこの本院も、これからそういう役割を担っていく事になると思います。
 
サムシング・グレートの働きを感じ取れる感性を取り戻したい
 
昨日、異業種交流会があり、四月十七日から二十二日までの熊本県立美術館分館での展示会を、チラシをもとにして話をしました。すると非常に関心をもって頂いて、ある人がこんな事を言われました。
 
「これは凄い事です。日本に国宝や重要文化財は沢山ありますが、その内の七割八割は全部佛教系です。確かに過去の歴史的遺物は素晴らしいのですけれども、では現在未来に亘る文化財を造っているお寺はあるかという事を思えば、最近はほとんどみない。熊本県の玉名市に五重塔が出来て、南大門が出来て、さらに今度多宝塔が出来る。しかも全く新しい現代アート作品が塔内に納められるなどという事は前代未聞です。よくそんな事を思いつきましたね」と。
 
それに対して、「いや、これは私の思いつきではなくて、御本尊皇円大菩薩様の御指示で進めているのです」と私が答えると、皆さん「えっ」という顔をされました。ほとんどの人は人間の智恵で、また人間が議論をしてその結果でやる、人間が決めてやるという発想しか思いが及ばない所でしょうが、実はそこが全く違う所なのです。当山には皇円大菩薩様が居られて、そのお方の御指示で大きな流れが出来る。そのことを理解できる人が少なくなっています。
 
明日(三月二十四日)は旧暦の「針供養」です。針一本にも感謝して供養をするように、昔の日本人は全てのものに魂が宿ると考えてきました。この様にそれぞれの魂の働きを大事にする考え方をしっかり持つということは、その背後に大きな意志の働きが隠されている事を感じ取る感性を磨いて行きます。皇円大菩薩様の御意志で伽藍を復興しているという事にも、ある意味で非常に親和性のある考え方ではないかと私は感じているところです。
 
その皇円大菩薩様の御指示に基づいて、海外まで衆生済度の活動を広げ、今支援を続けていて様々な団体や企業から応援も頂いています。それは全て信者さん達の長年の支えがあって初めて出来た事です。この事に深く感謝して今日のお話を終わります。合掌 




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