2019年05月20日大日乃光第2240号
新天皇陛下が示された父母祖先と歴史を敬う心
令和の幕開けに明示された日本人にとって最も大切な事
いよいよ令和の時代が始まりました。先月末の上皇陛下御退位の儀式と、新天皇陛下の御即位に関連した儀式を連日テレビで拝見して、皆さんも感動された事でしょう。
特に新天皇陛下の「即位後朝見の儀」でのお言葉には、陛下の並々ならぬ御決意の程がよく伝わってきて、ことさら感動しました。ここにその全文を読んでみます。
日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより、ここに皇位を継承しました。この身に負った重責を思うと粛然たる思いがします。
顧みれば、上皇陛下には御即位より、三十年以上の長きにわたり,世界の平和と国民の幸せを願われ、いかなる時も国民と苦楽を共にされながら、その強い御心を御自身のお姿でお示しになりつつ、一つ一つのお務めに真摯に取り組んでこられました。上皇陛下がお示しになった象徴としてのお姿に心からの敬意と感謝を申し上げます。
ここに、皇位を継承するに当たり、上皇陛下のこれまでの歩みに深く思いを致し、また、歴代の天皇のなさりようを心にとどめ、自己の研鑽に励むとともに、常に国民を思い、国民に寄り添いながら、憲法にのっとり、日本国及び日本国民統合の象徴としての責務を果たすことを誓い、国民の幸せと国の一層の発展、そして世界の平和を切に希望します。(令和元年五月一日)
ここで私の心に最も強く留まったのは、上皇陛下の全身全霊を懸けられた「象徴としてのお姿に心からの敬意と感謝」、また「歴代の天皇のなさりようを心にとどめ(る)」と、ご両親とご先祖様方への深い感謝とご尊敬を示されているお言葉に、特に心が動かされました。ここに私達日本人が古来から大切にしてきた「ご先祖様に対する感謝と親への孝行」が端的に示されています。
思えばこのご先祖様への感謝に繋がる親孝行の心を育む為に、先代の真如大僧正様がいかに心を砕かれたかが思い起こされます。その中で最も大きな活動は、先代の最晩年に取り組まれた、熊本県内の子供達に父母をテーマとした詩を書いてもらう「子供の詩コンクール」があげられます。
親孝行の心の復活に向けたこの様な具体的な行動を開始された事に、今更ながら深い感謝と感動を感じています。親を大切に思う心、つまり親孝行の心は、先祖や過去の悠久の歴史への私達の感謝と敬意をより確かなものにします。私達日本人の歩みは、まさしくこの歴史とご先祖様への感謝と尊敬の上に成り立ってきたと言えます。ここで私が決して忘れられない一つの思い出をお話し致します。
歴史と祖先への感謝が未来を開く
それは、当寺の貫主を拝命して間もない頃の事でした。先代の親友で同級生であり、また考古学者にして教育者でもあられた故田邊哲夫先生とのある語らいでした。私が蓮華院の将来の事に様々な思いを巡らしていた頃でもありました。
そんな中で、中世の蓮華院の遺構を発掘調査していた中で、「過去のことにあまりに拘っていては、未来を開く事など出来ません!」と私が言いますと、田邊先生が間髪を入れず強い口調で、
「何を言っているんだ!今あなたが喋っている言葉自体が過去から現在まで伝わっているものであって、過去から切り離された現在など断固としてない!ましてやそこから未来など生まれるはずもないのだ!歴史を尊重しない者に未来などない!」と、厳しく叱責されたのです。
私は深く反省して、それから考え方を大きく改め直しました。その他にも先生からは、
「歴史というものはその時代の人々の考え方やその時代の思いに寄り添って初めて、その時代の人々の生き方が分かるものなのだ!現在の考え方だけで過去を裁く様な発想や考え方は、本当に歴史を大切にすることには断じてならない!」と言われた事も、私の考え方に大きな有り難い影響を与えて頂いたのでした。
新天皇陛下が先のお言葉の様にご先祖様やご両親への感謝と敬意を明確にお示し頂いた事は、新しい令和の時代を生きる私達日本人にとって何とも有り難い影響を与えて行くに違いありません。
利己主義の蔓延る時流に敢然と屹立する祈りの皇室
その後、様々な方が新天皇陛下への期待や新時代への思いを述べられる中に、「新しい天皇陛下がいかなる個性を発揮して頂くかよりも、古来から変わらず続いてきた事柄にこそ思いを致してもらいたい」と述べられていた事に改めて感動しました。
この古来から変わらない天皇陛下の最も大切な役割とは、国家国民の安寧と幸せを常にお祈り続けて頂いていることであり、何と言っても有り難く尊い事であります。この様な「祈りの国主」は世界に例を見ない国家元首であります。
加えて先のお言葉にもありますように国家国民を超えて、さらには「世界の平和」までお祈り頂く事を明言された事に、なお一層の有り難さを実感しています。今、世界には自国第一主義が広がっています。そんな中で我が日本の天皇陛下が広く世界の平和をお祈り頂くことは、日本が世界に大きな役割を果たして行く象徴にもなる様に感じています。
子どもの詩コンクールを子や孫に勧めて下さい
さて、先代が始められた「子供の詩コンクール」は今年の令和元年に何と三十回目を迎えます。このコンクールには、数年前から全国の信者の皆さんの子供さんやお孫さんにも参加を呼びかけています。(これまでの参加総数は約十三万五千人)
ここで皆さんには是非、新天皇陛下の御心に思いを至し、一人でも多くの子供さんやお孫さんに参加して頂けるよう切に期待しております。どうか、皆さんの各家庭でお子さんお孫さんに、〝お父さん・お母さん〟をテーマとした詩を書くように勧めてください。
そのことが親や祖父母から親孝行の大事さを直接伝えるよりも、子供さん自身が「母の日」「父の日」などを通じて親をしっかり見つめる中で自然に親の有り難さや、ひいては祖父母やご先祖様の有り難さを感じて頂けるものと確信致します。締め切りは七月一日です。この日までに蓮華院の寺務所まで送ってください。
六月大祭へのお参りで令和の足跡を蓮華院に刻もう
本誌は一年に一度の皇円大菩薩様の御入定八百五十一年大祭のご案内と一緒にお送りしています。昨年の八百五十年大祭を越えて、新たな五十年の歩みの第一歩に当たります。信者の皆さんには改めて、皇円大菩薩様の広大無辺の御霊力と救済力の原点でもあるこの大祭に、一人でも多くお参りされる事を切に祈っております。
そこには信者の皆さん同志の新たな出会いが生まれ、信仰のあり方や日々の生活のあり方などを互いに学び合う事の出来る貴重な巡り合いとなる事でしょう。一人でも多くの皆さんが、さながら里帰りのように大祭にお参りされる事を、弟子並びに寺内の職員一同、心からお待ち致しております。合掌
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