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大日乃光






大日乃光

2019年07月06日大日乃光第2245号
戦没者の追福慰霊のためにご先祖様の歴史を見つめ直そう

上皇陛下が至心に祈られた終戦間際の四つの記念日
 
今日、六月二十三日の準御縁日は沖縄戦終結の日でもあり、「沖縄慰霊の日」とも言われ、日本各地で多くの方が黙祷を捧げられると思います。
 
八月六日の広島原爆の日、九日の長崎原爆の日、十五日の終戦記念日と合わせてこの四つの記念日に際し、少年時代に終戦を迎えられた上皇陛下はその後ずっと様々な思いを抱き続けられ、いつも至心にこれらの日々にお参りしてきたと仰っておられました。おそらく今上陛下もそのお気持ちを受け継いでおられると思います。
 
日本全体が死力を尽くした七十四年前の沖縄戦
 
随分昔、私は研修の一環として沖縄に行った事がありました。現在の海軍壕公園の中に、当時陸軍と並び沖縄戦の一翼を担った海軍陸戦隊の司令官室があります。
 
劣弱な装備で継戦不能となり進退窮まった大田實少将は、六月六日にその壕から「沖縄県民斯ク戦ヘリ 県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」という有名な電文を海軍次官宛てに発信され、六月十三日に五十四歳で拳銃自決されました。沖縄全軍の総司令官で、二十三日に割腹自決された牛島満中将も五十七歳でした。
 
この両司令官の年齢を知って、当時の私の父と同年代という事もあり、内地に家族を残して自決された時、どんな思いであられたかと胸を締め付けられる思いがしたのを昨日の事のように思い起しました。
 
沖縄の方がたくさん亡くなられましたが、実際には日本各地から招集された陸海軍の将兵や民間人も大勢亡くなりました。
 
その象徴的なものが、開戦後しばらくして完成した戦艦大和を中心とする残存艦隊の海上特攻作戦です。航空機の援護も無く片道分の燃料のみで出撃しました。しかし鹿児島県の坊ノ岬沖で米軍によって沈められたのです。
 
目的は沖縄本島の海岸に乗り上げて固定砲台として砲撃、弾薬欠乏後は全乗組員が生還を期さず最後まで戦うという悲壮なものでした。この作戦は航空機による大規模な特攻作戦と呼応して、海軍としても沖縄を守るために死力を尽くすというものでした。
戦後、「人間の忍耐力と勇気の叙事詩であった」と連合軍からも評された最も苛烈にして過酷な激戦地沖縄で、敵味方合わせて莫大な人々が亡くなられているわけです。
 
今日ここにお参りの方は、その頃まだ生を享けておられない方がほとんどだと思います。私も戦後生まれですから実感はないのですけれども、その頃の日本人の意識はどういうものだったのでしょうか?
 
大義に殉じ、命を捧げた若者達の思い
 
六月二十一日のNHK「おはよう日本」で、毎年慰霊祭に参加されている九十三歳の庭月野英樹さんが、こういう事を話しておられました。その方は元特攻隊員です。
 
沖縄県の宮古島で十六人の同期生と共に訓練に従事した事。自分一人、本土決戦に備えて千葉県に転属となり、同期生と別れた事。自分が出撃する前に終戦を迎え、生きながらえた事。同期生達は別れた一月後にそのまま特攻出撃して戦死された事。
 
あの戦争を生きながらえた人間として、後世の人達に果たすべき自分の役割は何なのかといつも自問しながら生きて来たと。近年では、かつての自分の仲間達がどういう思いで死んでいったのか…、その事を戦死された同年の方の遺書等から報告しておられました。故郷や家族が蹂躙されるのを少しでも守る事が出来たら本望であると、そういう事が書いてありました。
 
実際、私の父、真如大僧正様も海軍飛行予備学生の十五期生で、特攻兵士だったのです。しかし特攻への出撃前に戦争が終わったため生きながらえました。先の庭月野さんは訓練用の赤とんぼという複葉機で出撃されたと話されていました。しかし先代の場合はもっと装備が乏しく、グライダーだったそうです。そして日本に上陸してくる戦車に突撃する、そういう作戦だったそうです。
 
六月二十三日の今日、七十四年前のその前後というのは、最も特攻兵士が亡くなられた時期に相当します。神風を始めとする飛行機による航空特攻、回天という魚雷を改造した潜水艇による海中特攻、モーターボートによる海上特攻など。特攻隊員の戦死者数は合わせて五千八百三十八名に上り、その多くはまだ結婚もしていない若い人達でした。爆弾を抱いて戦車や陣地に突入した兵士は数え切れません。
 
当時、アメリカを中心に世界を敵に回し、追い詰められた戦争の中で、決死の覚悟で国を守るという気持ちがどういうものだったのでしょうか。
 
戦後、行き過ぎた反省によって埋没してしまった日本の大義
 
現代の世相では戦争は絶対悪で断固反対すべしと言われ、勿論その通りなのですが、その事ばかりが声高になって、当時の人々が何の為に戦ったのかという日本人の大義がかき消されています。日本全体が狂っていたと言われる事もありますし、特攻隊は犬死だと切り捨てる人も沢山います。
 
私も戦後、そういう雰囲気の中で青春期を過ごし、そして現在に至っておりますが、いざ危急存亡の時に国を守るという事が、決して他人事や綺麗事ばかりではないというのが中々分かりにくいわけです。
 
私はこの時期のテレビ番組が嫌いです。NHKを始め、殆どは「日本が悪かった」という視点でしか描いていないからです。これは大いなる誤りです。
 
しかし最近は歴史が大分見直されつつあります。もしあの戦いがなかったら世界はどうなっていたのかと想像してみれば、考え方が少しは変ります。無謀にして悲惨な戦いと言われているあの戦争の意味が全く無価値だった、ゼロ以下だ、悪い事しかないという見方を変える沢山の本が出ていますから是非読んで頂きたいと思います。
 
もし、あの戦争に日本が立ち上らなければ、日本は石油を止められ、様々なハンデを背負い、二流国として白人の風下に立つしかなかったでしょう。そしてアジア・アフリカの国々は未だに植民地のままだと思います。あの当時アフリカで独立を保っていたのはエチオピアだけでした。アジアでは日本とタイだけです。中国は列強に分割されて無くなっているか、植民地になった可能性が高いと思います。そういう状況を大きく転換するきっかけを作ったのは、人類の歴史における日本の大きな役割だったのです。
 
失くしてはいなかった公明正大な日本人の感性
 
この沖縄戦終結の六月二十三日は、二つの原爆の日と終戦の日と合わせて、過去の先人達がなされた事の意味を日本人の立場から肯定的にとらえ直す事を私達日本人が自ら始めなければ、歴史を奪われた民族としてこれから増々衰退していく事になると思います。
 
戦後支配的だった否定的な歴史認識に対抗する様々な書籍が出ています。私が一番最初に目が覚めたのは渡部昇一氏の『日本史から見た日本人』上中下巻を読んだ時です。まさに目から鱗が二、三枚落ちました。若い人に度々薦めたりしましたが、最近は祥伝社黄金文庫として再刊されています。
 
先祖を大事にするという日本人の精神構造は、神佛を大事にし尊重する所が基礎になっています。お天道様に見られているという、たとえ他人が見ていなくても、神様佛様からは見られているという意識が根底にあり、邪な事や誤った事、悪い事は出来ないという自己規制を働かせていました。
 
もう一つがご先祖様に顔向け出来ない(ご先祖様に申し訳ない)という感覚です。戦後、そのご先祖様達の生き方が、先の大戦で世界に迷惑をかけた、とんでもない事をした、全く評価出来ないという風に擦り込まれた子供達が、現代の父親母親世代、更にその親の世代の人達であります。普通の人間の感性として、あなたの先祖は悪い事をしたとずっと教わってきたら、その子供は活き活きと元気に育つはずがありません。
 
それにも関わらず、八年前の東日本大震災では計らずも、世界から称賛される国民性が発揮されました。やはり高々七十年やそこらでは日本人は変ってなかったのだという事を明らかに示していました。
 
さらに最近の若い人達の間では、マスコミだけに頼らないインターネットを介した情報収集によって、かつての日本罪悪史観から大きく一歩踏み出しつつあります。※(後述参照)
 
日本人は昔から真面目で卑怯な事をしない。弱い人達には寄り添い、お互いに助け合う。
神佛を畏敬し、ご先祖様を敬う感性が、そういう公明正大な感覚を育んできた、とても大事な要素であると思います。
 
お盆の時期に各家庭でご先祖様の歴史に向き合おう
 
令和の時代を迎え、これから新しい歴史を築いて行くという時にこそ、沖縄戦終結の日の今日から八月十五日まで、各家庭でしっかり歴史に向き合ってください。
 
これから七月、八月とお盆の時期を迎え、ご先祖様に向き合うのと同時に過去の歴史にしっかり向き合い、民族の歴史を取り戻す。そういう事を一人一人が努めて行かなければ社会全体に活力が出ないと思います。
 
故郷を守る為にと言って自分の命を投げ出した青年達が沢山いたのだという事を、是非この時期に思い起こして頂けたら有難いと思います。合掌 
                            
※インターネット上で無料で利用できる百科事典「ウィキペディア」の「沖縄戦」の項目をぜひ検索して一読してみて下さい。依然として否定的な見解の大手マスコミと異なり、厳然たる資料を基に、日本に対する否定的な記述がほぼ払拭された内容になっています。




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