2019年09月09日大日乃光第2251号
一人一人が自分の役割を自覚して幸福な家庭や社会を実現しよう
さて、一昨日(七月二十一日)参議院選挙が終わりましたが、どこが一番負けたと思いますか?私は国民全体が負けたと思います。投票率が半分もないのですよ!これはちょっと由々しき事だと思います。国の事とか地域の事とか、自分の子供や孫の世代の事とか、自分自身の将来の事に対して真剣に向き合っていないという事です。
真実を伝えて来なかった日本のマスコミと言論界
十日ほど前に友人から「このまま香港にいたら危ないので、何とか日本に逃げようとしている人が何人かいる。何とか力を貸して欲しい」という連絡が入りました。彼等は命がけで国と戦っているのです。
もう一つは別な方面で、チベット支援で知り合った人が、今ネパールで十四歳から十八歳の女の子たちがさらわれたり、騙されたり、中には貧しさの為に親に売られたり、そういう子供達一万人以上が人身売買されているという話をされました。
今現在、世界の中にはそのような、もう本当に理不尽でどうしようもない、涙も枯れる位に悲しい現実があるという事なのです。今の日本にも確かに問題点があると思いますが、日本のマスコミはもっと広く世界を見渡して、世界の悲しい現実にもっと目を向けて、いかに日本が有難い状況であるのかを伝えて欲しいと思います。
だからと言って、現在の政権が百パーセント良いと思っているわけではありません。憲法改正に関しても、皆さんの関心は非常に低いですね。これで良いのでしょうか?今の憲法は七十二年前に、それこそ占領地日本を支配するための緊急的な〝日本国占領基本法〟として作られました。
そういう状態でありながら、「九条のお陰で平和が保たれています」と言う人達がたくさん居られます。嘘です。世界の現実はそんなに甘いものではありません。アメリカが日本を守ってくれているから戦争がなかっただけです。
また、これからはアメリカが守ってくれるかも定かではないのが現状です。「話し合えば分る」と言いますが、韓国との問題は話し合いで解決しましたか?ホルムズ海峡の問題は解決していますか?かつて過激派が大きな勢力を持って、各地でテロを起こしていました。そういう問題が話し合いで解決できましたか?残念ながらそれらは解決出来ていません。
選挙権は権利か?義務か?
そういう世界の現状の中で、日本人の半分も投票に行かない…。これは本当に由々しき事だと思います。私はこれまで自慢じゃないけど一回も投票をさぼったことはありません。これは権利だと思わずに義務だと思った方が良いですね。選挙権と言いますが、投票する自由が私達にはある。私達の未来を一人一人が真剣に考える責任と義務があると思うのです。
先にネパールの貧しい子供達の話をしました。これは貧しさから来るものです。それはもう五十年以上前から続いている現実です。日本も昭和の初め頃、貧しかった東北地方で冷害が続き、飢饉の時に親が身を切るような思いで娘を売ったのです。これは実際にありました。朝鮮の人達も戦争中に娘を売って売春婦にした。こういう悲しい歴史、辛い事を乗り越えて、色んな面で日本は頑張って、現在のこの状況に至っています。
安穏な社会や制度の実現が却って人間関係を堕落させる?
そういう中でマスコミが年金問題が一番のテーマのように言っていました。これは恥ずかしい事ではありませんか?二千万ないと生きていけない?冗談じゃないですよ!!年金がなかった頃はどうだったんでしょうか?まず家族が助け合うわけでしょ?生活がやっとの時代でも、それでも何とか家族同士で、親族同士で、地域で助け合ってやってきたわけです。
ところがどうですか?社会福祉が進んだ結果、家族、親族が助け合うという力が極端に減ってきていると思いませんか?これはある意味で悲しい事です。制度が進めば人が立派になる?生活が保障されれば人は向上心を持って立派になる?果たしてそうだったのか?という事を感じざるをえない訳です。
極端な例を言えば、共産主義で皆が平等なら皆が幸せになると真剣に思っていた。今から六十年、五十年前の青年達はそんな理想を持って、今の香港やら台湾の各地で行っている様な暴動も頻繁に起きていました。
反対する理由を知らなかった!?驚くべき言論界のリーダー達
その頃の日本人の心意気はどうだったのか?敢えて少し話ますと、一番大きい暴動は安保改定反対運動でした。あの時に運動していた人達のリーダーの何人かがこういう事を言っていました。「実際ね、何をどう改定するのか、原文の新安保条約を自分は読んでいない。何をどうするか知らなかった。けれども世間がこれは良くないと言うから、そうなんだろうと信じ込んでいた」
そういう人達が、その後マスコミで発信力を持つ、いわゆる言論界のリーダーの仕事をずーっとやってきたわけです。これはどういう事なのか?何をどう変えるかも分からないままに、社会の空気を誰が煽って、なぜそうなっていたのだろうか?リーダー達は、具体的に何をどう変えるのかを知らなかったというのです。
それを聞いて私は愕然としました。その時の空気を作ったのは誰だったのか?何のためにそうしたのか?あのまま改定されずにいたら今の日本はもっと酷い状態だったと思いますし、アメリカ軍がやりたい放題のはずです。少しでも日本の立場を良くしたのが、あの時改定した安保条約です。
もっとも問題点はないわけではないと思いますが、けれども当時反対した人達が、今でもその延長線上で政府の行う様々な事、例えば「安保法制」が今から四年前に出来ました。それのおかげで日本の安全は確実に高まったと言われています。
あの時物凄い反対が起こりましたが、今の安倍総理のリーダーシップで何とか実現出来たわけです。集団的自衛権を限定的に行使出来るという法律が出来たおかげで、日本は防衛的な面で非常に安心できる状態になった。
ところがその当時、ほとんどのマスコミは悪い方に変わった、これは憲法違反だと盛んに言っていました。果たして今後、それがどのように評価されるのか。かつて安保闘争をした人達がその内容さえも十分に理解せずに反対していたという本当に驚くべき実態、驚くべきひどい歴史を日本は重ねてきている。そうして今、この様な社会に至っています。
苦しい試練や悲しい現実こそ、日本人を清く美しくする
そういう中で国家の運営は非常に大変だと思います。今、先進国の中で経済発展していないのは日本だけなのです。中国などはこの二十年でGDPは十六倍、日本の三倍くらいになりました。それに対して日本はほとんど成長出来ていないのです。このまま放っておいたら、日本は発展途上国に転落するとも言われています。
そういう中にあって、やはり日本の国民一人一人が国にぶら下がって年金を期待するとか、社会や国家が何とかしてくれると期待する人が多い。ネパールの悲惨な境遇の女性達に、政府が何かしてくれていますか?民間団体でするしかないのです。そういう悲しい現実を私は薄々知っていましたけれども、ネパール政府は何も出来ていないのが現実です。それに比べて日本は色んな所に国家の保護があり、様々な支援がある。
確かに格差が拡大しているのは事実だと思います。そういう中にあって、かつて就職氷河期と言われていた時代がありました。大人の引きこもりが増えたのはそれがきっかけの人が非常に多いそうです。今の四十代、五十代の男性です。すでに中年や初老の人達が引きこもりになってしまう事態が起きている。
私達は貧しかった時に、お互いに助け合った。家族で助け合った。地域で助け合った。そういった意味では災害は大変な事ではあるし、人々に大きな不幸をもたらしますが、逆に日本人の助け合う心を思い出させる大きな試練、大きな警告、そういう事にもなっています。
全ての事柄を私は前向きに、肯定的に考えて行きたいと思っていますので、災害は日本人を団結させると。困った時はお互い様。そして家族でも地域でもお互いに助け合う。地域を離れていても、お互いに助け合う。
二十四年前に神戸でお世話になった、八年前に東北でお世話になった、だから恩返ししようと熊本に来ている人がおられます。こういう地域を越えた助け合いの心が今日本に芽生えて、そしてこれからも育っていくでしょう。
阪神淡路大震災でボランティアという言葉が広まり、民間の様々なNPOもそこから始まっています。これは、災害には日本の歴史を変える一つの大きな役割があった、という事が言えると思います。熊本震災で多くの人が苦しみ、今でも大変な思いをされている方がおられますが、そのお陰で熊本はこう変わったと言われる様な事を目指さなければいけないのです。
自らの役割を自覚して生きよう
史上二番目の低投票率。その現実を見て、これを転機としてこれから日本人の一人一人が目を覚まし、自分の役割を自覚すべきです。
社会や国に何かをしてもらおうではなく、
自分の役割は何なのか?
家庭での役割は何なのか?
仕事場での役割は何なのか?
自分は十分に役割を果たしているか?
そういう事に思いを致して頂く大きなきっかけにして頂けたら有難いと思います。
まだ暑い日々が続きます。くれぐれも健康にご留意して頂きながら、日々をお過ごし下さい。合掌
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