2019年12月11日大日乃光第2258号
輝かしい日本の再生こそ私達に与えられた使命
十一月三日に執行された奥之院大祭の開創記念大法要と柴燈大護摩祈祷で、お参りの後に貫主大僧正様が話された御法話を元に加筆訂正の上、今回と次回の二回に分けて連載いたします。
皆様本当に心を一つにして、真剣な祈りを頂きまして誠に有難うございました。一人一人の祈りは小さなものに思われるかも知れませんが、静寂な湖に小さくても石を一つ落としたら、その波紋が数キロ先にも伝わって行くのと同じなのであります。
日本社会の閉塞感の理由とは?
今日、かつて隆盛を極めた日本の経済も陰りを見せ、あまり元気のないような状態が続いています。バブル崩壊後、平成に入ってからGDPの成長率は殆どないわけです。この様な国は世界に珍しいと言われています。
この三十年で中国は国力が五十数倍に増え、アメリカも八倍に増えています。日本だけがほとんど成長していないのです。
戦後日本は頑張って努力し、焼け跡から国を再建しました。これは戦争に敗れた後、復員した人達が加わって必死で復興したのです。大正生れから昭和一桁の人達。当山の先代、真如大僧正様も大正十四年生まれでまさにこの世代です。戦争で二百万人は亡くなられたのでこの世代は少ないんです。にも関わらず昭和三十九年の東京オリンピックの頃には新幹線を走らせました。当時、あのような高速鉄道は世界初です。そして世界一の造船国にもなりました。その技術はどこにあったのか?まさに戦前から蓄積された技術力が日本をそこまで導いたわけです。
当時の人達はなぜそこまで頑張れたのか?
そして今の日本人にはなぜ元気がないのか?それは何が原因か?色んな専門家が分析されていますが、それでも明確な方策は出ません。
そういう中で、これは私の仮説ではありますが、日本人全体が過去の歴史に対する誇りと自信を無くし、覇気を無くしているからではないかと思っています。
日本人は未だに先の大戦に対する罪悪感を持ち続けている。その影響で日本人は元気を無くし、発展出来ないのではないかと考えています。非常に残念なことです。
天が寿ぎ、虹も輝いた即位礼正殿の儀の奇跡
先般、晴れがましい十月二十二日、天皇陛下の即位礼正殿の儀が賑々しく、世界百九十五ヶ国からの参列を頂いて盛大に執り行われました。テレビの前で多くの皆さんも固唾を呑んでご覧になったと思います。本当にご立派で、これで我が国も安泰だと実感しました。
その様子を観て、多くの方が大変驚かれた出来事があります。
皆様ご存知の通り、陛下がお姿を現される直前までは雨が振り続いていました。激しい雨脚の時もありました。そういう中にあって、高御座の帳が開き陛下がお姿を現わされた途端、東京のあの曇り空が一転、日が射す程晴れ渡り、そして虹さえもかかったと聞き及びます。これには世界中の人がびっくりされたと思います。
この様に素晴らしい天変地異まで惹き起こされた天皇陛下はどういうお方なんだろう?どういうお力を持っておられるんだろう?と皆が驚いたのであります。
百二十六代も連綿と続く、現在の日本の皇室の様な存在は世界のどこにもありません。世界で最も古く、そしてしっかりと血統が続いている。この事実一つとっても、日本の国のなりたちというのはいかに素晴らしいものなのか。
先程即位礼で「虹がかかった」と申しましたが、この虹も反対側から見ると何も見えません。綺麗な虹として見るためには、そのための方角で見なければいけません。
私達の歴史もこの虹を見るような視点で見なければならないのです。そして日本の歴史が虹の様に輝かしく見える視点は確実に存在します。
有色人種の国々を独立させたご先祖様達の偉大な事跡
その一つの例を申し上げれば、先の昭和三十九年の東京オリンピックの参加数は九十四ヶ国でした。ところがここ玉名出身の金栗四三さん、今NHKの大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』で放映中ですが、金栗四三翁が初めて参加されたストックホルムオリンピック(一九一二年)の参加数は、僅か二十八ヶ国でした。もう百七年も前の事です。当時、世界中でオリンピックに参加出来る国の数はその位しかなかったのです。
ところが大東亜戦争を経て数年もしない内に、アジアの国々は次々と独立を果たしていきます。
我々のご先祖様は「大東亜戦争」の名の下に、人類の平等、民族の自立、アジアの独立のために戦ったのです。これはまぎれもない事実です。そして敗戦という苦い結末を迎えましたが、日本のその姿を見て世界の国々が独立していったのだと私は確信しています。それは明らかに、日本が世界を相手に多大な犠牲を払いながら必死の思いで戦った結果であると言えます。
世界の歴史をそういう高い視点から、そして日本に対する愛情をもって眺めると、日本のおかげで世界の人種差別がなくなり、虐げられた国が自ら独立し、そしてそれぞれが国家として自立して行くことが出来るようになった。
ですから百九十五ヶ国もの人々が日本の天皇陛下の即位をお祝いに来られたのです。
私達日本人自身がその価値や意味を十分に理解していないのです。このことがいかに寂しく悲しいことか。
先代がいま生きておられたら「日本人はもっと自信を持って胸を張って前に進んで行こう」と仰るに違いありません。
国家に対する信頼と自信と誇りを取り戻さなければなりません。ぜひそういう思いでもう一回社会を見つめ、そして自分の家庭を、自分の生き方を見つめ直し、その上で自分は何を為すべきなのかを考えて頂きたい。
一人びとりが各家庭の中から日本の歴史を見つめ直そう
このように世界史的な目で見る時、日本の果たした役割には大変大きな意義があったのです。私達がこの事にしっかりと誇りを持って、日本の歴史、私達の直接のご先祖様のお働きを温い目で見つめ直すという事がいかに大切な事か、これからの子孫の為にも大事な事であると考え直さなければいけません。
皆さん方お一人お一人が、自分のご先祖様の悪口を言えば、自分の子や孫達から尊敬されるはずがありません。自分の父や母、祖父母の果たした役割の良い面に光を当て、それをしっかり褒め称えて行く。そしてそれを子孫の誇りにして行く。そういう気風を各家庭で一人びとりが持ち続けて頂く事によって、日本という国がもう一回蘇り、輝かしい国として、また日が昇る国として、この世界の歴史の中で大きな役割を果たしていく事になると確信します。
悔いの無い人生の締め括りに
私は三か月前にはいつ死ぬかも分らないという状況でした。その頃お医者さんから「この治療で治らなかったら命の保証は出来ません」と言われて以来、御宝号を日に二万遍唱える事にしました。すると出血が止まりました。そしていよいよ癌の治療が始まりました。その時も「一ヶ月の余命は保証出来ません」と言われました。大変珍しく難しい癌なのです。一回目の抗癌剤治療を始めました。事前に髪が抜け食欲が落ち、吐き気がする等と副作用をいくつも言われましたが何も出ませんでした。髪が抜けたぐらいで、却って有難いと思ったほどです。ずーっと御宝号を唱え続けて、今、百六十八万遍唱えています。
私は一ヶ月持たないかも知れないと言われた時、あーそうかと素直に受け入れました。
何故かと言えば、自分なりにやるべき事は十分やって来たと思えたからです。
先代の真如大僧正様も晩年仰られました。「あれもさせてもらった。これもさせてもらった。お蔭様で色んな事をさせてもらった。佛様にお前あっちに行けと言われたら、俺は素直に行く」と、そういう事を耳にしてきた。
私自身も、後は佛様のお導きにお任せしようと思っておりました。
ですが、個人的な事では家族が可哀そうだという思いがありました。
そして何と言っても蓮華院は御祈祷の寺であります。毎日様々な人達の願いを受けて祈祷をしております。
今現在、毎朝三十六名の癌の方のために御祈祷を続けております。そういう私
が自分の癌ぐらいでへこたれてはいかん
ぞ!!と、こういう気持ちになっています。
これから自分は何を為すべきなのかを思う時、まずは日本人に自信と誇りを与えて行きたい。私達日本人は皆、神代の代からの皇室に繋がっているのです。私達一人びとりが天照大神の子孫なのです。天照大神を佛教で言えば大日如来です。
開山上人様は「日本という国は大日如来の御霊廟である」とこう仰られた。だから奥之院の山号にも「大日山天龍寺」と付けてあります。当面は「蓮華院誕生寺の奥之院」と言っております。
ここから私は日本人の誇りや、日本が果たして来た役割をもう一回、私達自身が一緒に確認しながら元気をもらい、次の世代の人達に輝かしい日本の姿と、元気な日本人の心意気を渡して行こうではありませんか。
皇円大菩薩様は大日如来の化身でありますから、その御宝号をお唱えする事が、まさに日本の弥栄を祈ることにもなります。
どうぞご一緒に御宝号をお唱え下さい。合掌(つづく)
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