2019年12月18日大日乃光第2260号
あなたの願いを叶える『感謝と全託の祈り』
一切皆苦と全託の祈り
お釈迦さまは、「一切皆苦。人生は思い通りにならない。これを苦という。」と説かれました。本当にその通りだという事を人生で、また、日々の生活の中で実感されている事でしょう。その思い通りにならない人生をなんとか思い通りにしようと、皆祈り、神仏にお願いするのが人間です。
信者さん方でも、願いや祈りが上手で、毎年目標を達成する人と、なかなかうまく行かない人がいるのではないでしょうか?では、その差はどこから生じるのか。今回はそこに焦点を当てて、上手な祈りをし、目標や目的を達成し、より幸せな人生を送っていただけたらと思います。田坂広志先生の『運気を磨く』(光文社)を参考にさせて頂きました。
現在の社会では、否定的より積極的、肯定的な方が良いというのが、主流になっています。それで、皆、願いが成就します様にとポジティブな祈りをされている事と思います。それはそれでいいのですが、実はそこに大きな落とし穴があるのです。
願いは、実は電気と同じような性質を持っています。電気はプラスの電気が発生すれば、必ずマイナスの電気も発生します。片方のプラスだけという訳にはいきません。我々の無意識の世界や願いや祈りもそれと同じような性質を持っています。
我々が、表面意識の世界にプラスの想念(ポジティブな想念)を強く引き出すと、実は、無意識の世界にマイナスの想念(ネガティブな想念)が必ず発生しています。このために、ポジティブな想念を強く抱いたり、何度も語ったり、繰り返しイメージしたりしても、うまくいかないのです。言うなれば、アクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものなのです。
それでは、どういう風に祈ればいいのでしょうか?それは『全託の祈り』です。全てを皇円大菩薩様にお任せする祈りなのです。「願い事が実現すればいいなー。実現しなくてもいいなー。どちらかと言えば実現してほしいけど、全てをお任せ致します。『導きたまえ。ありがとうございます。』という、ただそれだけのお任せと感謝の祈り」なのです。
そして、全ての苦しみ、悲しみ、辛さも、全て仏様に託しましょう、預けましょう。全てを任せ、祈り、感謝し続けると、その願い事は潜在意識まで伝わり願いが実現していくのです。
相手を責める気持ちが、自分の心を苦しめている
人間関係の苦しみの多くは、実際に相手が自分を非難したり、攻撃してくることによる苦しみと共に、自分の心の中に生まれる、相手が自分を非難したり、攻撃してくることへの不安感や恐怖感の苦しみなのです。そして、その不安感や恐怖感は、実は、こちらの心の中にある、相手への非難の思いや、攻撃的な気持ちが「鏡」のように映し出されたものに他なりません。即ち、自分の中の相手を責める気持ちが、自分自身の心を苦しめている場合が多いのです。
逆に、「感謝は全てを癒す」のです。感謝する事がとても重要です。それも理想的には、「全ての人、全ての物、全ての出来事」に対して百パーセントの感謝です。信者さんの中でも信仰の深い人は感謝の達人が多くいらっしゃいます。
人生の解釈力
幸運は、一見、不運な出来事の姿をしてやってきます。不運に見える出来事が、後になってみると実は幸運の種であったという事がよくあります。大切なのは、視点の転換です。解釈力です。
ガンで大腸を摘出した人をお見舞いに来た友人が言いました。「お前良かったなあ。これで、大腸がんになることはもうないぞ。」もう、絶句して、笑い出すしかなかったそうですが、この言葉が転換点になって、快方に向かったそうです。
人生の解釈力こそが良い運気を引き寄せます。何が起こったか、それが我々の人生を分けるのではありません。起こった事をどう受け止め、活かしていくか。そして、感謝の心は最高の「解釈力」を引き出します。人生で与えられないものに対する不満の心ではなく、人生で与えられたものに対する深い感謝の心、そして、それに支えられた人生観、それが、逆境においての差となって出て来るのです。
人生のネガティブに見える出来事も出会いも、すべてを無条件に「全肯定」し、感謝していく陽転思考を身につけましょう。
親戚との人間関係が良くなる
以下は、親戚との関係がうまくいかず、悩まれた方のEメール内観体験記です。
ここ二、三ヶ月親戚との人間関係がうまくいかず、傷ついたり不安や妄想にさいなまれる日々で、このままでは自分を支えきれなくなってしまうのではないかと思い、Eメール内観をさせていただきました。おかげさまで今回いろいろ得るものがありました。
まず一番良かった事は、いつの間にか不安や妄想が大分消え、気がついたら心が穏やかになっていたことです。楽になりました。それが本当によかったです。
些細な事と思われることから、このような迷路に入ってしまったと思っておりましたが、私の中に感謝の気持ちが足りなかったことや、斜に構えていて相手を肯定していなかった自分の態度が根底にあったと言うことが、よくわかりました。
もう一つは「思い出した場面で、その時によぎった自分の思い、心の中がどうであったか、そこに潜んでいた醜い気持ち」を見ることがとても大事だとわかりました。
その時よぎる思い、それはよく静かに思い出さないと、そこに光を当てないと見過ごしてしまうようなかすかな思い、かそけき思いでもありました。例えば、明るいところから急に暗いところに行くと、始めは何も見えないけれど、暗闇に慣れてくるとやっと見えてくるような、心静かに内観を続けていて、やっと見えてくる、発見できる、私にとってはそんなふうに感じられました。
しかし、その時確かに、そういう相手をけなすような思いだったり、欲深い思い、自惚れた思い、そのような醜い気持ちがあったと言う事実を発見し明らかにする。明るみに出す。告白する。白状する。辛い作業でした。こうして書いていてもこみ上げてしまい、鼻の奥がじぃーんと熱くなってきてしまいます。
そして更に、そのような思いは現実の今の生活に戻って当てはめてみると、その光を当てないと「あまりにも自分と一体化してしまっていて気がつかないような思い」がいたるところに顔を出しているということがわかりました。
今、「自分は自惚れていたなぁ」「相手と張り合う気持ちになっていたなぁ」「警戒心が強くて相手を信頼していなかったなぁ」「見下していたなぁ」「比べて品定めしてるなぁ」又は「してやったのに何も音沙汰がないと、不満に思っているなぁ」「意地を張っていたなぁ」とか言うような気持ちです。瞬間、瞬間にこう言う気持ちが、さっと顔を出すのです。
それらの気持ちは、自ずと向きを変えて自分に矢を向けてくる、攻撃してくる。自分で生み出した邪悪な気持ちに、自分がやられてしまうのでしょうか。なんと愚かな事だろうと思います。
もう一つ思い出したのですが、私は怠け者で何をするにも億劫だなぁと思ってしまう傾向にあります。しなければならない事、してやっていると思っている事、頼まれごとなどに当たる時、「してやっている」と言う気持ちから「させて頂いている」と言う気持ちに一回置き換えてみる、心の中で言い換えてみる。すると「少し」見えてくる景色が違ってくる、楽になる、仕事もやや丁寧になるという事も、今回の内観で分からせていただきました。
内観で得た「これほどまでに未熟な自分であると言う自覚」は、自然と自分を謙虚な気持ちに導いてくれます。謙虚になれると少し楽になります。きっとこれからの、少なくとも私が苦手と思ったり、感じたりする人との人間関係において、少なからず役に立つような気がします。
また、今回このような事がなければ、内観はしなかったと思います。揉め事が私を内観に導いてくださいました。ピンチはチャンスとは、こういう事なのだなぁと思いました。本当にありがとうございました。
『あなたの人生が変わる3つの質問』出版
終わりに、皆様方に御礼を申し述べたいと思います。お陰様で、先代真如大和尚様にご許可を頂いて始めた内観も、三十年という月日と実績を積み重ねることが出来ました。
また、今年は二冊目の本、『あなたの人生が変わる3つの質問』をお陰様で十一月にアマゾンから出版出来ました。
そして、不思議な事に、前作『お母さんにしてもらったことは何ですか?』のオランダ語版と英語版も今年刊行され、三十周年を飾るにふさわしい年となりました。
これも仏様はじめ貫主大僧正様や信者さん、お寺の皆様や多くの人々のお陰と思い、心から深く感謝しております。
必ずお役に立てる内容ですので、インターネットで『あなたの人生が変わる3つの質問』を検索され、お読み頂ければ、とてもありがたいと思います。それでは、良いお年をお迎えください。合掌
『あなたの人生が変わる3つの質問』 amazon
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