2020年12月08日大日乃光第2292号
災いを転じて福と為す、遺伝子のスイッチを入れるには
皆さん今日は。このコロナ禍の中で、本年も奥之院大祭が無事に成満出来ました事、心から篤く御礼を申し上げます。
今皆様方お一人お一人が、コロナ禍によって様々な打撃を日々の生活の中で受けておられる事と思います。それを乗り越えて、本日ここにお参り頂きました事は誠に有難く、そして貴重な事であったと、大変有難く嬉しく存じております。
苦難こそ人生の糧に
さて、午前中の開創法要でもお伝えしましたが、昨日、水泳の池江璃花子選手が多くの方に希望と夢を与えたという事で「第三回 服部真二賞」を受賞されました。その時のインタビューでこの様な話をされました。
「私はこの体験をこれからの人生の糧にして行きたい。そしてこれからも多くの人々の夢や希望を少しでもお手伝い出来たら有難いことです」と、このように仰っておられました。
二十歳の若さでここまでの決意と、そこまでの思いをされたという事を、私は大変素晴らしく、見事だと思いました。
この苦難を糧にする、癌の経験を人生の糧にしたいとこの様に仰ったのは、おそらく癌の治療の中で様々な経験があったからだと思います。命の危機に巡り遭い、絶望の底に打ちひしがれ、そんな中にも希望を見い出したり、励ましや、お医者さん方の献身的な治療、そういったものに有難いと深く深く感謝された事でしょう。
そういった事の積み重ねが彼女の力になり、何とか回復をして、そしてあのように、完治とまでは言えませんけれども、非常に立派に復活を遂げておられると思います。池江さんのように癌という重い病を経験された場合もありますが、他にもここにおられる皆さん方のそれぞれが、辛い経験や悲しい思いをされている事と思います。このコロナ禍によって、中には亡くなった肉親の死に目に会えなかった方もおられると思います。これは本当に辛い事です。
苦難は人によって様々ですが、今まさにその渦中にある方にとっては、大変苦しく辛く悲しいことであると思います。しかしそういう中にあっても、私達はその事を糧にして、何かプラスに転換しなければいけないのではないかと思います。
運勢を変える遺伝子のスイッチ
この最悪の苦難、禍を人生の糧に転換するという事で、私が長年お付き合いを頂いている、分子生物学の世界的権威である村上和雄博士が、次のような事を仰っておられます。
今、世界には七十七億の人口があり、一人びとりそれぞれが違う人生を送っているけれども、遺伝子の中にもその人にしかない、その人だけが持っている特徴が必ずある。皆さん方の一人びとりが、必ずその人にしかない素晴らしい長所を持っているという事です。
もう一つは、遺伝子の中に長所を持っていても短所を持っていても、それが目覚めるか目覚めないかは、その遺伝子にスイッチが入るか入らないかによるという事です。遺伝子にスイッチが入って、初めてその人は本来持っている能力が発揮出来る。事業を成し遂げたり、素晴らしい仕事を成し遂げたり、その人にしか出来ない何かを成し遂げる事が出来る。スイッチが入るか入らないか、全てはその一点にかかっている。
この遺伝子のスイッチが入るには、とても大事な事がいくつかあります。村上博士は私の母校である高野山大学と提携して、真言密教の祈祷の時の精神状態などを研究されました。
私も今御祈祷を修しましたが、その中で必死に祈るという事、真剣に祈るという事、全身全霊を挙げて祈るという事が、遺伝子のスイッチを入れるとても大事なきっかけになるという事です。
真剣な祈りによるスイッチ
私もこの事は日々の生活の中で、毎朝様々な祈願祈祷を修する中で実感しています。その中にはこんな祈願がありました。
ある方の奥さんからの祈願で、ご主人が倒れて意識がずっと戻らず、このまま入院を続けるわけにもいかなくなり、そろそろ退院して下さいと言われました。奥さんは、どうか少しでも良くなりますようにと、ご主人が倒れてすぐに全快護摩祈祷を依頼されました。
おそらく意識が戻る事はないでしょうという医師からの絶望的な言葉を聞きながら、病院を退院されたそうです。その言葉を聞いて、奥さんはこれは自分も真剣にお参りしなければいけないと思って、毎朝毎晩お参りをされたそうです。
私が癌になって御宝号を百万遍唱えたとか、一千万遍唱えたという話を聞いて、その方も一日千遍ずつ御宝号を唱えるようにしたという話も聞きました。すると、何と、それから一週間後に夫の意識が戻りましたと連絡が入りました。私にとっても、こんなに嬉しい事はありませんでした。私の妻も脳卒中で倒れましたが、意識は戻りました。しかし右半身の麻痺と言葉を失いました。
心からの感謝によるスイッチ
この様に様々なハンディを背負って生きている方が世の中には沢山おられますが、必死になると、祈りの力によって全身のどこかの遺伝子にスイッチがパチッ、バシッと入るわけです。
そのあたりの条件を一言で言えば、あー有難いなーと心から感謝する事です。この感謝という点では、全国の信者さん達の色んな話を聞いていると、蓮華院の信者さん達は本当に感謝の達人ばかりです。
どんなに小さな事にも有難い事ですと、こんな事にまで感謝をされるのかと驚く程です。
今回は普通にお参りに来れました。私は足が悪いので、同乗の方が助けて下さったお陰で無事に着きました、など。それほど大した事ではない場合にも、大きい事にも小さい事にも、色んな事にも感謝、感謝と。だから真剣に祈る事、そしてやはり感謝です。
深い反省「内観」によるスイッチ
それから今一つの遺伝子のスイッチを入れるきっかけが、心の底から反省をする事です。
「反省だけなら猿でも出来る」とも言われますが、人間でもなかなか反省する事が出来ないものです。
自分の人生を振り返り、過去を振り返り反省をする為の非常に素晴らしいシステムで、日本各地に広がり、今や世界にも広まっているものがあります。数日前にある討論会で、高齢者施設に勤めている人が「内観」の事を仰っておられました。
内観とは、「内側を観る」と書きます。自分の心の内側を観る。具体的には自分の父親や母親から始まって、小さい頃から記憶を遡って、「して頂いた事」「お返しした事」「ご迷惑をおかけした事」。この三つだけを、小さい頃からずっと調べて行く。
すると八割以上の方々が、畳をかきむしって涙を流しながら「あの時は済まなかった」「こんな自分でも、よく見捨てずに育てて頂いた」「自分は親から見放されていると勘違いしてきたけれど、とんでもない思い違いだった」という事に気付きます。そして自分の反省のスイッチがパシッと入ります。その様に反省をして自分を見つめる。蓮華院ではこの内観研修を三十年以上も続けて来ています。
実証された笑いによるスイッチ
心の底から笑う事も、遺伝子のスイッチを入れるきっかけになります。例えば糖尿病の人を集めて、糖尿病の難しい話を聞いて、それから血糖値の平均値を調べる。その後、面白い落語家や漫才師の噺を聞いて笑ってもらう。その後、血糖値を調べる。すると血糖値がぐんと下がるそうです。それも劇的に。これは国際的な科学雑誌にも発表されている厳然たる事実です。
笑うという事も、遺伝子のスイッチを入れるきっかけなるわけです。ワハハハと心の底から笑えば、身体の方にちゃんと反応が出てくるという事です。
真剣に祈る事、深く感謝する事、そして反省する事、明るい気持ちで腹の底から笑う事。
皆さん、ぜひこの四つの事で遺伝子のスイッチを入れて、自分を変えるきっかけにしてみて下さい。
夫婦円満、和やかな家庭作りが地域社会の発展に繋がる
皆さん、今日の柴燈大護摩祈祷では、真剣にお参り頂けた事と思います。この真剣に祈る事をぜひ忘れずに、ご先祖様に深い感謝をして、自分の事を反省して、そして奥さんと笑い合えるようなそういう家庭を作って下さい。
夫婦の円満、和やかな家庭作りこそが、日本全体、社会全体に影響すると私は思っています。家庭教育の根幹は夫婦円満にあります。ぜひ家庭で子や孫を大切にして、そしてそれぞれが幸せな生活を営んで頂きたい。その事を通じて地域も発展します。そしてまた地域に対する反省をして、感謝をする。
何か恩返し出来ないかという思いを持って頂けば、皆さんの住む町やふるさとが大いに栄えて行く事は間違いありません。今日は本当に有難うございました。合 掌
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