2021年09月08日大日乃光第2316号
ご先祖様のご守護を授かり運勢を開く先祖追善護摩供養
ご先祖様のご守護を授かり運勢を開く先祖追善護摩供養
令和三年夏の、若者達の祭典に寄せて
全国の信者の皆さん、厳しい残暑の続く中、お元気でお過ごしでしょうか。蓮華院では信者の皆さんのご先祖様の追善供養をしっかり勤めました。
テレビを点けると相も変わらず気の滅入るようなニュースは続きますが、そんな中、高校野球と東京パラリンピックが華々しく開幕しました。
高校野球の選手宣誓は「『思いを形に』の言葉を胸に、自分の目指すべき道を定め、友の笑顔に励まされ、家族の深い愛情に包まれ、世界のアスリートから刺激を受け、一歩一歩歩んできました」と、未来への明るい希望と深い感謝に満ちた言葉でした。
パラリンピックでは天皇陛下が開催を支える関係者に、「この大会を機に、私たちが障害がある人もない人も、お互いを尊重し、思いやることをこれまで以上に大切にしながら、ともに生きていく社会づくりが進んでいくことを願います」とねぎらいのお言葉を述べられました。
今、連日若者たちが熱戦を繰り広げています。この記事が皆さんのお手元に届く頃には閉幕していますが、必ずやオリンピックに勝るとも劣らない感動を私達に与えてくれる事でしょう。
ところで私達はなぜ、このように感動するのでしょう?その根底には栄誉に満ちた瞬間の一つひとつが、天皇陛下が述べられたような思いやりの心に支えられている事を実感するからだと思います。これは佛教的には「縁」による繋がりと言えるでしょう。
この夏、コロナ禍の中で開催されたオリンピック・パラリンピックの感動は、「どう生きるか」への日本人の姿勢を世界の人々に示す好機になったと確信しています。
私達はこのような「ヨコ」の繋がりばかりでなく、これまで度々話してきたように、ご先祖様から祖父母、父母、自分、それから子や孫たちへの「タテ」の繋がりによっても支えられています。
今日は秋のお彼岸を前に、「タテ」の繋がりに重要な先祖供養の大事をお話しします。先祖供養を大切にする家庭は必ずや心願成就、家運隆昌、子孫繁栄のご利益を頂く事でしょう。
私は日々、信者一同の心願成就とコロナ禍の一刻も早い終息を祈りつつ、一千八百万遍を超えて御宝号を念じ続けています。皆さんも祈りの力を信じて、一日に百遍でも千遍でも御宝号を唱えて、皇円大菩薩様に一歩でも近づけるように努める日々を送って下さい。
秋のお彼岸を前に先祖供養の意味を説く
間もなく九月に入ります。今年一年の三分の二が過ぎた事になります。この時期は八月盆と秋彼岸の中ほどになりますので、今回は先祖供養の意味とその功徳について、お伝えします。
そもそも「供養」という言葉は、「供えて養う」または「養う事を供える」と書きます。では一体何を供え、何を養うのでしょうか?…お供えするものは「真心」と、それに伴う品物でしょうか?そして養うものは何でしょうか?それは自分の生きる意味?生の充実?生まれて来て良かったという思い?優しい心?幸福?愛情生活?健康?財産?学力?…
人は生きている間に様々な願いを持ちます。その願いは年齢を重ねるに従って、叶えられないものになって行く事があります。それは若い時に抱いた夢が歳を重ねるに従って、色褪せたものになっていくのに似ています。
しかし、これとは逆に年齢を重ねるに従って、深く広くなっていくのが父母やご先祖様への感謝の心ではないでしょうか?
私自身も、子供の頃より青年時代、さらには壮年時代の方が、より父母への思いが深まりました。そして父母を亡くしてからは、父母への感謝の心を格段に強く抱くようになりました。
今の私にとっては父母ですが、私の子供達、孫達にとっては、私の父母は既にご先祖様になっています。そして私と妻が数十年後にこの世から去ると、今の孫やひ孫達からは、私達夫婦がご先祖様になる訳です。
この様に考えてみれば、「供養」とは「真心と、その思いでお供えしたもので、自分の父母を、先祖を大切にする心を養う」ということになりそうです。ここまでは一般的な供養の意味あいです。
氷山の一角に過ぎない顕在意識
初めて当山での先祖供養を始める方に、「特別指導」(面接しての個別指導)をする時によくお伝えしている事を、ここで少しお話ししてみましょう。一般的な供養から、少し踏み込んだ説明です。
氷を水に浮かべたら、一割ほどが水面から上に出ます。いわゆる「氷山の一角」とは、氷山全体からすると約一割しか水上に現れず、その九割が水面下に隠れているからそのように言い表すのです。
この九対一または十対一の原理は、私達の脳の働きについても言われています。脳全体の約十パーセントしか、私達は使っていないのだそうです。残りの九十パーセントが一体何をしているのか?どんな働きをしているのかは、未だに充分には分かっていないのです。この十パーセントしか使っていない脳を十一パーセントでも使っている人は、天才的な頭脳と言われているそうです。
ここからは推測ですが、この十パーセントが私達の表面の意識としての、顕在意識(けんざいいしき)に相当するのではないかと思います。そして残りの九十パーセントが潜在意識(せんざいいしき)なのではないかと思います。
脳の働きという側面とは別に、人は日常生活のほとんどを「顕在意識」で判断していると思っていますが、本当は日頃はっきりと意識していない無意識の意識とも言える「潜在意識」が決定的な役割を果たしていると思われます。
佛教の心理学とも言われる「唯識学派」では、過去の全ての記憶は、この潜在意識(佛教用語では阿頼耶識(アラヤシキ))の中に記録されていると言われます。その意味では顕在意識を一とすれば、潜在意識は九から十ぐらいの影響力を持っていると思われるのです。
ですから、表面的な意識の顕在意識で「今日からお酒をやめる!!」と決めても、過去の飲酒の思い出や、お酒を飲んで友人との友情を深めた、などのしっかりとした記憶が潜在意識とその人の肉体に残っている限り、なかなか禁酒が出来ないのも、こんな九対一の関係が大きく影響しているのではないかと思われます。
先祖供養の密教的な解説
ここまではある程度、科学的に根拠のあるお話です。ここからは私の修行体験や先代、先々代から伝え聞いてきた事を交えてお話し致します。
水面下の氷のように私達を支えていたり、日頃は何をしているか分からない九十パーセントもの脳の働きを、ご先祖様の存在、そして、そこからの働きかけと考えてみて下さい。
長年、当山に先祖追善護摩供養をお願いして信仰して来られた方は、水面下の氷がきれいな結晶となって、水上に現れている十パーセントをしっかりと支えているようなものなのです。そして、その人の生活や心の安定を、ご先祖様にしっかりと支えて頂いている状態と言えるのです。
この様な状態の人は、何体(何人)もの良き「守護霊」に護って頂いているようなものなのです。もっと信仰が深まり、修行を積みますと、皇円大菩薩様ご自身に守護霊の様な働きをして頂いている状態になります。そうすると何事も思い通りに事が運び、佛様に導かれて幸福で健康な日々を送る事が出来るのです。
これとは逆に、先祖供養が充分に出来ていない人は、守護霊となるべきご先祖様が「背後霊」のようになるとでも言うのでしょうか、何となく「運が悪い」「道が開けない」「家庭内がいつもゴタゴタしている」などといった状態から抜け出せないことになりやすいのです。
ですから運勢を開く「開運」の意味でも、この様な方々には月決めで、人によっては十日間から十五日間、または二十日間から三十日間というように、毎月決めた日からの先祖追善護摩供養をされる事をお勧めしています。
今から始める先祖供養でご先祖様との〝もやい直し〟
以前、大願を成就されたある方がお礼参りに来られました。この方は大きな決断をする前の半年間、この先祖追善供養を一日も欠かさず続けられました。そのお陰で大きな願いが成就したのです。そして特別指導の時、大変喜んで報告して下さいました。こんな時は、私も他人事とは思えず、一緒に喜び合います。
また別のある方は、三年間の月参りと先祖供養のお陰で長年苦しんだ病気が全快し、人生を大きく開かれました。
この様に申しましても、人によりますが、この月決めの先祖供養を始めてからしばらくは、それ以前よりもさらに運気が下がったり、調子が悪くなる人も、まれにおられます。
これはその方のご先祖様方が、それまではその人に供養を全く期待していなかった所に、改めて供養を始められたので、ご先祖様方が一気にその方を頼って来られるので、一時的に良くない事が起きたり、悩みが深まってしまうからなのです。
しかしそれを過ぎれば、飛行機が雲を突き抜けて雲一つ無い空に出るように、平安で満ち足りた生活に変わった方々がたくさんおられます。
日本にはご先祖様を供養する素晴らしい伝統行事があります。その一つの秋のお彼岸を前に、一人でも多くの信者の皆さんが感謝の気持ちでご先祖様を供養して頂き、佛壇へのお参りやお墓参りを家庭の伝統行事として頂き、その功徳を頂かれますようにと念じております。合掌
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