2021年11月01日大日乃光第2231号
佛様に一歩でも近づく想いを家庭で子や孫達に伝えて行こう
佛様に一歩でも近づく想いを家庭で子や孫達に伝えて行こう
教化賞受賞は長年の慈悲行の賜
今日もこのように厳しい残暑の中、皆さんようこそお参りなさいました。寺内の人達に心配を掛けましたが、去る十月七日から約二年半ぶりに一泊で出張して来ました。
真言宗各派総大本山会並びに真言宗布教連盟という二つの団体による第五十九回密教学芸賞と、第五十三回密教教化賞の授賞式が開催され、私がこの度の密教教化賞を受賞したからです。これは真言宗の十八の総大本山が合同で、今年度の真言密教の教えを広めた人、そして後進の育成に尽力した人、そういう人達八名を表彰するという催しでした。
前泊して宝塚ホテルでの授賞式に臨みました。すると何と西大寺の管長猊下、それから宗務総長様、教学部長様のお三方が駆けつけて頂きました。他にも六つの総本山から管長猊下が六人も臨席されていて、錚々たる方々が一堂に集う真言宗最高の栄誉である事を実感しました。
このように過分なお褒めの言葉を頂戴しましたが、特に前半の国際協力については、ここにお参りの皆さん、そして全国の信者の皆さん達の、先代真如大僧正様に始まる様々な慈悲行、『反省・感謝・奉仕』の三信条に基づく「一食布施」を始め「同胞援助」、さらには様々な災害の時の「緊急募金」に積極的に参加して頂いたお陰であります。中には大災害の時に、被災地での支援活動に参加された人も沢山おられます。
そのお陰で、アルティック(ARTIC/認定NPO法人れんげ国際ボランティア会)が様々な活動に邁進して来れたわけです。
たまたま私が代表的な立場にいるので私が表彰されましたが、本当は皆さん達お一人お一人が、長年アルティックの活動を支え続けて頂いた、その賜であり、それに対する受賞だと私は理解しております。
皆さん達の長年の功徳はこの表彰に値するどころか越えていると、しみじみと実感している所であります。本当に有難い事です。
蓮華院史上初めての「定額位」
さて、今回は密教教化賞とともに、もう一つ、頂いたものがあります。
これは何回も話してきましたが、全真言宗の合同で、管長猊下を始め、各本山で選ばれた僧侶が毎年一月八日から十四日まで東寺の灌頂院で二十一座、一週間に亘って天皇陛下のご健康と国家安泰、そして世界平和を祈念する「後七日御修法」が執行されています。
この法要に参加する資格を持つ僧侶の事を宗内では今でも「定額僧」と言い、これを頂いた僧侶を「定額位」と称します。この「定額僧」に、この度認定されました。
将来、私の位牌には「蓮華院中興三世定額位大僧正英照」と書かれることになります。
西大寺の管長猊下からも直々にお祝いのお言葉を頂きました。有難い事であります。
このように二つの慶事が重なり、「近い内に祝賀会を催して下さい」との事でした。
病を経て得られた覚り
仮に私の両親がまだ生きていたとしたら、今私をしっかり支えてくれている宗務長との関係を「あー、お前達よくやっているな」「兄弟で仲よく有難うね」と仰られると思います。
この事は、病気になって本当に痛感しています。今、『大日乃光』の半分以上は宗務長の講話が載っています。その他にも様々な事で宗務長に支えられて、本当に感謝しています。
お寺の皆にも強く深く支えて頂いて、心の奥から合掌している昨今であります。
人は何か辛い思いをしたり不自由な状態になって、初めて周りの人達から支えて頂いている事や、色んな人達に助けて頂いている事を実感出来るものです。そういう意味では病気のお陰で気付いた事や悟った事など、得たものがあり、病気のマイナス面の反対に必ず大きな大きなプラスがあり、功徳があり、そして有難みがあるという事を、今私は身を以て実感している所であります。
今後の蓮華院の進む道とは
そういう中にあって、今後の蓮華院の進む道はどうあるべきなのか?信者さん達のためにこれから何が出来るだろか?様々に考えて来ました。
今度の奥之院大祭を機に、一人でも多くの信者の皆さんに、一回でも多くこの蓮華院の土を踏んで頂きたい。一回でも多く法要に参列して頂きたい。そして一遍でも多く御宝号を唱えて頂きたい。
信者の皆さんには里帰りの様な気持ちで「ああ、お参りに行きたいな」と思って頂ける様な、お寺の内部の充実。皆さんをお迎えするおもてなしの心を、もっともっと磨いて行かなければいけないとつくづく思っている所です。
そういう中で、今日の法要前までに千九百三十二万遍、御宝号を唱えました。一日に二万遍、多い日には五万遍の時もありました。
そんな中で感じる事は、どこに居てもどんな時でも佛様に心を通わせ、佛様の心に向き合い、そして佛様の心に近づこうと努力をする。そして佛様と一体になる…。これは中々難しい事ですが、一秒でも長く、佛様を間近に実感出来る日々を過ごして行きたいと願っております。
御宝号を唱えていると、実際に背中がずーっと温かくなる時があります。御本尊様に背中から包まれて、佛様に抱かれていると感じる事も再々です。そんな中で、今まさに病気を吸い取って頂いていると感じています。本当に感じます。
ですから皆さん達も御祈祷を頼まれた時には、軽いご病気であれば今拝んで頂いているという思いを意識して、ご自分でもお参りして頂きたいと思います。皆さんが真剣にお参りされているその姿そのものが、佛様の御利益を頂く大事な基礎になるのであります。
信仰する身としては、ご自身が一歩でも二歩でも佛様に近づいて行こう、御宝号を一遍でも多く唱えて行こうとするお気持ちを、家族の中で、家庭の中で、子や孫達にも伝えて行って頂きたいと思います。
胸がスッとした一政治家の演説
先の自民党総裁選は、国家のあり方について、かつてこれほど衆目を集める機会はなかったのではないかと感じています。
中でも高市早苗さんは「この日本というのは今生きている私達だけのものではありません。これまで田畑を耕し、事業を興し、また国難の際には身を挺して守って来られた多くの先祖の方々のお陰であります。そして今私達が暮らしているこの国土、日本を次の子や孫達にしっかりと引き継がなければなりません」と発言されました。
私達が「今」を預かっている事の責任を実感し、そして過去の人達に対してしっかりと向き合うという事。これがいかに大切かを言われたので、私は胸がスッとしました。この所信表明演説はネットに上がり、六百万回以上閲覧されました。
なぜ一政治家の話をここでするのかと言えば、信仰においても、私達が皇円大菩薩様に出会っているそのお陰というのは、父母、祖父母、ご先祖様方の御縁が繋がって今に至っている事と、同じ事を仰られたからです。
まさに信仰というのは個人だけでは十分ではありません。各家庭において父母、祖父母、ご先祖様方のお陰で今の自分があると実感し、そして今の生活を営んで居られる事に感謝をします。そして信仰を次の世代、また孫の世代にどの様に引き継いでいくか?そういう責任が、今の信仰者にあるのではないかと、高市さんの演説の一部を読みかえて、解釈した所です。
信者同士の絆を深める大祭に
先程、奥之院開創の頃の話を準教師の荒木英賢さんが話されました。私が初めてお会いしたのも、まさに山を伐採し拓いていた頃で、私も一緒に作業したものです。
それまで努力されてきた先人達の篤い思いを開山上人様が汲み、「人々が魂を高め、信仰を深め、修行をするための道場として奥之院を開創するのであります」と、こう仰られたのです。そういう多くの方々の積み重ねがあって、今の本院があり奥之院があるわけです。
真言宗の十八総大本山は、それぞれが数百年、千数百年という歴史を持っています。例えば真言律宗の西大寺は、現在の管長猊下で第七十二世長老になります。ずっと繋いで来られて今日の西大寺に至るというわけです。
そういった意味では、蓮華院は中興以来まだ三代目であります。基本的な姿は一応ほぼ完成したと思いますが、素晴らしい佇まいに相応しい内容を充実させて行く。信者さん達との心のこもった交わり、そして信者さん同士の交わり。それがとても大事であります。これがコロナ禍により最近は思うように出来ないのが残念ではあります。
今度の奥之院大祭には、残念ですが横綱は来られません。ですから去年に続き、今回も信者さん達だけの大祭になります。そこではこれまで巡り合った人達ばかりでなく、新しい巡り合いもあるでしょう。ぜひ一人一人が信者さん同士の繋がりを深めて頂ける集いになれば有難いと思っております。合掌
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