2022年01月20日大日乃光第2327号
家庭生活の三項目を実践し、日本人らしさを取り戻して行こう
全国からお参りの信者の皆さん、新年明けましておめでとうございます。
皆さんは「一年の計」を立てられましたか?年明け新年から十二日が過ぎてしまいましたが、まだの方はこれからでも一年の計を決めて下さい。
私は個人的な事では、まず病気平癒と健康増進の為に、毎日少しずつでも散歩をする事を決めました。二番目には、これまで以上に笑顔を増やす事。三番目には三千万遍を目指して、毎日二万遍の御宝号を唱える事を、継続する事を決めました。
「一年の計」は、新年を機に新たな目標を定め、志も新たに人生を前向きに進むために大切な事柄です。皆様も前向きで積極的な人生にすべく、「一年の計」を是非しっかりと定めて下さい。
願い事を叶える「三力の偈」
さて、皆さんは今日の初参りで御本尊皇円大菩薩様にどんなお願いをされたでしょうか?そしてどんなご報告をされたでしょうか?
度々お話ししている事ですが、願い事を叶えるために必要な条件が三つあります。
まず最初に、絶対にこの願いを叶えて頂きたい!!という皆さんご自身の強い思いが大切です。これは私たちが佛様に向きあう時の大切な心構えであります。
そしてそれに対する佛様からの働きかけが私達に流れ込んでくる。これが二番目のそして最も有り難いお力です。
開山上人様は、
「願い事は皆叶わねばならない。そのためには御本尊皇円大菩薩様の御心に適わねばならない!」とよく仰られました。
願い事そのものが正しい願い、良き願いであれば、皇円大菩薩様の大慈大悲の御心に適っているのですから、自ずから実現するということです。
皇円大菩薩様は『末世衆生(生きとし生ける全ての命)を救いたい』という大いなる願い(御誓願)を立てられ、今から八百五十三年前の六月十三日、長い寿命を持つ龍神に化身されて修行に入られました。この広大無辺な御誓願(慈悲の御心)によって、皆さんの様々な願いを叶えて頂けるのです。
そして三番目には、国家・社会、そして周りの人々などのお陰で私達は生かされているのですから、世のため、人々のために役に立つ願いでなければなりません。
この事を別な言葉で表せば「社会が求め、佛様が求められる事は必ず実現する」ということです。これは私の長年の信念です。以上を整理してみますと、
一、御本尊様に向き合う皆さんの心
即ち、皆さんご自身の佛様に向かう心構えと行動と祈りの力。
二、皇円大菩薩様の御誓願である衆生済度の救済力、即ち、広く深い大慈大悲の救済力。
三、周りの人々や社会情勢のあり方とその影響力
これを、
以我功徳力 如来加持力
及以法界力 普供養而住
(『大日経』「第七供養儀式品」)
と、真言宗では「三力の偈」として、日々の修法で必ず唱えます。
この三つの力が大切となるのです。
当山ではそれに加えて、貫主である歴代の住職の法力が加わって四力となるのです。
良き家庭を作る三項目の実践
さて、この時期の恒例となっておりますが、ここからは、新年に当たっての三つの習慣をお伝え致します。
- 家族の間で互いに挨拶し合い、毎朝佛壇にお参りして佛様、ご先祖様へのご挨拶をしましょう。
- 食事の時、合掌して「頂きます」「ご馳走様」と言いましょう。
(三) 履き物を揃えましょう。
中にはこんな幼稚園児の様な簡単な事を!と思う方がおられるかもしれませんが、この簡単な事が意外に出来ていない方がおられます。信仰とはどんなに簡単な事でも、まずそれを日々実行するのが大切な事なのです。
円満な対人関係を築く挨拶
- の家族同士で互いに挨拶する事は、日常生活の基本中の基本ですが、心を込めて互いに挨拶する事は意外に難しいことなのです。
そもそもこの「挨拶」とは佛教語で「心を自ら開いて相手の菩提心に迫る」という事で、大変重要でまた難しい事柄なのです。この難しい事を、先ず一番身近な家族同士でしっかりと実践して下さい。
それが充分に出来れば、会社や学校などでの人間関係が少しずつ円満になって行きます。
対人関係が上手く行かない人は、先ずは家族との間で思いやりを込めた挨拶を始めて下さい。
食事の挨拶で子供達に伝えて来た事
- の食事の時の挨拶は、かつて「飽食の時代」と言われていた頃には特に食生活が乱れ気味でしたが、近年は残飯を減らそうと言う事もあり、少し良くなって来ていますが、まだまだ充分では無い様に思います。
蓮華院では例年一休さん錬成修行会などで、子供達を集めて合宿を催し、三度三度食事を共にして来ました。
その食事の前に、必ずこんな話をします。
「皆さん合掌したままで聞いて下さい。目の前のご飯もオカズも、全てが元々命を持っていました。これらの命を頂くのです。ですから『いただきます』と言うのです。
日本ではほとんどの人が佛教徒です。佛教では全ての生きとし生けるモノは本来平等なのです。そして、これらの生き物は生まれ変わりを繰り返しています。
だから今、目の前にある魚や肉は自分のご先祖様かも知れません。
ですからそれらの尊い生き物の命を頂くという事は、大変な事なのです。
ですから私達は目の前にある食物に合掌して『いただきます』と言うのです」
と。
また、食べ終えたら、
「自分が食べた食事は数えきれない多くの人々によって収穫され、運ばれ、そして調理されて来ました。それら無数の人々のご苦労に感謝の心を込めて『ごちそうさまでした』と言うのです」と伝えて来ました。
皆さんも時には子供達にこんな話をして、一緒に声を揃えて「いただきます」「ごちそうさまでした」と是非言って下さい。
また私達寺内の者は皇円大菩薩様と開山上人様の御宝号を三回ずつお唱えしてから「いただきます」と言ってから食事を始めています。
履き物を揃えて心を整える
- の「履き物を揃える事」は、家族全員が出来ているでしょうか?出来ていない家庭では、親がまず模範を示して下さい。親が子供にその都度注意するのではなく、黙って揃えてあげて下さい。「子は親の言う通りにしない。親がやっている様にする」のですから。
履き物を揃える事には、心を落ち着かせる効能があります。
家に入る時、心に一呼吸をして落ち着いて、履き物を揃える事で心が整ってきます。
この事が家の外と内とを切り替える事にも繋がってくるのです。履き物が揃えば心も揃うのです。
ご先祖様とその苦難の歴史に深い感謝と真心を捧げよう
毎年お伝えしている以上の三つの事柄に加えて、今年もお伝えしたいのは、ご先祖様への感謝の心です。
- の中で佛様やご先祖様へのご挨拶をお伝えしましたが、ご先祖様に感謝の真心で挨拶する事は、心からの感謝がなくては成り立ちません。ご先祖様への感謝は、即ち我が国の歴史への深い感謝と同じ事であると私は思っております。
戦時中、私達の身近なご先祖様がどんな思いで先の大戦(大東亜戦争)を戦われた事か!
ご先祖様方の命懸けの歩みが無ければ、今の世界はどうなっていたかを、少し振り返れば答えは明らかです。
そして戦後、極限の混乱と貧しさの中で、いかに苦労して家族を支えて頂いた事か…。
どうか、御先祖様が残された歴史を正当に、前向きに理解して下さい。
この初まいりにあたり、それぞれのご家庭が、ご先祖様をさらに一層大切にされる事を念じてやみません。
過度な報道に惑わされずに日本人らしさを取り戻して行こう
この二年間は、新型コロナに世界中が苦しんだ期間でした。未だに世界では猛威を振るい、日本でも遂に第六波が始まりました。私はこの病がそれほど大変な状況にはならない様に、一心に念じております。
そもそも今度の変異株(オミクロン株)は伝播力が強まるものの、毒性は弱まるとも言われています。これまでの様な惨事にはならない事を願っています。
そもそもこの疫病は、我が国では欧米諸国とは比較にならないほど穏やかな状況でした。
去年の東京オリンピック前に、ある経済学者が「日本での感染状況はさざ波の様なもの」と発言して、一部のマスコミから大きな非難に晒されました。この方は具体的に、世界の感染者数・死者数をグラフに提示して、その上で「日本ではさざ波」と表現されたのです。
多くのマスコミがコロナ禍の中で、人々の不安感を必要以上に煽る報道に明け暮れて来ましたが、私はこの様な報道のあり方には異常性を感じて来ました。
国民の不安感を煽るのであれば、もっと他に国防の危機や、我が国の国柄が少しずつ失われつつあることへの危機感にこそ、警鐘を鳴らして頂きたいと憤りを感じております。
それらの原因は、私が常々申し上げて来た戦後教育と占領時代(昭和二十年から二十七年)の占領政策に、未だに殆どの報道機関が影響されていることです。
それに対し、佛教を始め、宗教勢力がいかに伝統的な日本感、日本人感を取り戻せるかにこの国の未来が懸かっています。
それはご先祖様を大切にする事、父母の有り難さを深く感じ取る事、食べ物を始めとする身の回りの全てに感謝の思いを深くする事などに尽きます。
その意味では、正月元旦号でお伝えしたように、先代真如大僧正様の御遺訓である『ちかいの詞(ことば)』をそれぞれの家庭の中で、時には唱和して頂くことがとても大事な事と確信致しております。
皆さん、本年もそれぞれのご家庭で、皆さんお一人お一人がしっかりした目標を持って、前向きに雄々しく歩みを進めて行きましょう。合掌
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