ホーム > 大日乃光 > 大日乃光一覧

大日乃光






大日乃光

2022年05月18日大日乃光第2338号
家庭から平和への祈りを拡げ、父母祖先に感謝の祈りを捧げよう

平和への祈りを念じ続ける日々
 
前回は、朴の開花と榧の木の蕾に、「あー廻り巡って来る自然の恵みというのは有難い」と、しみじみ思った内容を綴りました。
 
このように身近な足元には明るい兆しが満ちていますが、その反面、依然としてコロナに関する報道が連日続いています。
 
この状況に加えて、去る二月二十四日からは世界中の人々が悲しみ、思い煩っているウクライナ戦争が始まりました。
 
非常に残念な事に、化学兵器が使われたのではないかという報道もあり、特に苦しくも悲しい心境で日々を送っています。
 
人が人を殺す。一般の人、無抵抗の人を拷問にかける。女性を凌辱する。おそらく何百という子供達も亡くなっていると思われます。そういう事が現在、この地球上で起きているという悲しみ。
 
それに対して一人の力ではどうする事も出来ない。何の対策もない。ただ祈ることしか出来ないのです。そういう思いを日々抱きながら、毎朝の御祈祷で真剣に祈っております。
 
かつて「祈るだけでは平和は来ない」と私は言って来ました。事実、祈るだけで平和が来たためしはありません。しかし、祈るだけでは平和は来ないからと言って、「では祈るのを止めよう」と思うのは、これも間違いです。
 
残念ながら人の心が人の心を動かせるのは、普通はその周りの人だけです。しかしその祈りが百人に拡がると千人に拡がり、そこから万人へと拡がります。この祈りが日本中に拡がり、それがひいては地球を覆うほどのパワーになるように、皆さん真剣に祈りましょう。
 
祈り続ける中で、智慧や勇気を神佛から授かるのです。
 
戦後、敵将が認めた日本の立場
 
そういう中で、私にとっては三十年以上前から意識してきた日付があります。お寺では十年前から四月二十九日に赤ちゃん土俵入りを催していますが、その一日前の四月二十八日は何の日か知っていますか?
 
これも何回も話して来ましたが、今から七十年前の昭和二十七年、サンフランシスコ平和条約が発効して、日本が国際社会に復帰した日に当るのです。ところが今年、残念ながら政府主催による七十周年の式典は催されませんでした。
 
何故その事を意識するかと言えば、私の誕生日がそれから三週間後なのです。ですから私は自己紹介する時に、「日本が戦後、独立を回復して三週間後に生まれた戦後生まれの人間です」と、こういう風に伝えています。
 
それまでの六年半、日本はGHQの進駐軍の支配下にあったわけです。その間、一九五〇年に朝鮮戦争が始まりました。その時日本に居たマッカーサーは、初めて、日本がどんな思いで過去の戦争を戦ってきたのかを身をもって知る事になったのです。
 
彼の出した結論は、「日本の戦争は専ら防衛の為のものであったと認める」というものでした。マッカーサーはアメリカに帰って最も権威のある上院議員の外交防衛委員会でそう発言しました。
 
この話は日本人の九十パーセントが知りません。マスコミは決して報道しませんが、これこそ正に日本人に知らしめるべき事なのです。
 
さらに日本が何の為に戦ったかと言えば、共産主義勢力が拡がるのを防いでいた。この事も知らない日本人が九割です。
 
四月二十八日が、日本の戦後の新たな誕生日である事を知らない人が九十パーセント。日本が独立の為に戦ったと、かつての敵将自身が認めている事も知らない人が九十パーセント。
これに近い話をここ二十年以上話して来ましたが、未だに間違った歴史認識は解けていません。
 
私の父がどういう思いで特攻隊に志願したのか、これまで何回も話してきました。その話を振り返って、自分の事の様に考えてみてください。
 
常識的な国防意識への転機
 
実は今、かつての日本人がどういう思いで戦ったのか、私達にも非常に分かりやすい状況が目の前に現れています。
 
ロシアによる侵略に対し、ウクライナのゼレンスキー大統領が直ちに十八歳から六十歳までの男性に対し「国民総動員令」を発した事は皆さんご存知でしょう。
 
多くのウクライナの人達が祖国を守る為、自由を守る為、祖国の名誉を守る為に愛する家族と涙の別れを告げて、戦地に身を投じて戦っているのです。
 
そんな中、ロシア軍が撤退した後のキーウ(キエフ)近郊のブチャで、多数の民間人が虐殺されていた事が報道されました。
 
日本もかつて本土空襲で二百ヶ所以上が無差別爆撃を受け、さらに原爆を二発投下され、死者五十六万以上、被災人口九百七十万に達する焼土となりました。
 
しかし戦後、日本人はそれを水に流したのです。そして恨みよりも戦後復興の為に人々は死に物狂いで働き、そして世界の中で名誉ある地位を占めるよう歩み始めました。
 
昭和三十九年にはアジアで初めて東京オリンピックも開催出来ました。それと同時に、未だに世界中で称賛されている新幹線を走らせました。
 
今、アメリカにも日本の新幹線技術が導入されています。インドでも新幹線が走ります。これは実は、戦前・戦中・戦後と地道に研究を続け、技術を発展させてきた先人達の努力の結晶なのです。
 
そしてそれ以外にも、様々な分野で日本の発展の礎となった輝かしい功績がたくさんあります。これはアメリカとの安全保障条約を結んだお陰で、経済発展に専念出来たからでもあるのです。
 
戦前の軍歌には土日返上で働くという意味の「月月火水木金金」という歌がありましたが、戦後もそれ位真剣に働きました。しかし残念ながら、自分の国を自分の力で守るという意識が完全に欠落して行きました。いざ戦争になったら自分の国を守りますか?という若い人達へのアンケートでは、世界最低の十パーセント程だそうです。
 
戦後史観の呪縛から脱却しよう
 
しかしこれからは少しずつ変わって行くと思います。今の若い人達は、従来のマスコミの情報ばかりでなく、インターネットなどで自力で情報を調べる事が出来ますから、従来マスコミが伝えて来た虚構の平和思想から脱却しつつあります。残念ながら脱却が一番遅れているのは、私達の年代以上、六十代以上です。
 
これは何も日本が軍備を強化して、他国を従えなさいと言っているわけではありません。
そうではなくて、今、核兵器を持つ独裁国家が日本の隣に三つもあるという事実に危機意識を持つべきという事です。
 
今のウクライナをめぐる世界情勢によって、世界中で安全保障についての意識が変わりつつあります。特に若い世代ほど関心が高く、危機意識が強いようです。我々の世代も危機意識を持ちましょう。自分の国を守るのはその国の国民以外にありえません。
 
私は八人の孫達を守りたい。その孫達の時代が幸せである様に、平和である様に。そのためには何を為すべきかを考えたい。
 
その為に一番簡単な事は、先人がして下さった事を正しく知り、現代の感覚で一方的に批判するのではなく、当時の人達がなぜ日本を守ろうとしたのか、そして戦後なぜあれ程頑張れたのか、その事を当時の人々の思いに寄り添い、その時代の人達の意識に立ち戻って考えて頂ければ分かって来ます。
 
そしてこれから何を為すべきかという事も、自ずと分かって来ると思います。
 
親を大切にする姿を見せよう
 
少し厳しい話になりましたが、皆さんお一人お一人にとっての出発点は、それぞれのご先祖様に感謝し、ご先祖様がどういう思いで歩んで来られたのか、そこに思いを致すという事です。
 
今、「子供の詩コンクール」の募集が始まりました。皆さん達が子供に「親孝行しなさいよ」と声をかけるのではなく、子供達が親の姿を見つめてそれを詩に書き、表現する。
 
そうすれば必然的に、「あーお母さんは有難いな」とか、「お父さん厳しいけれど、自分の事を思って厳しくしてくれるんだな」とか、そういう事が自然に分かって来る。自分から有難さが分かった時に、初めてその子供は本当に目覚めると思います。これが自分で目覚める為のとても良き方便、手立てであると思います。
 
皆さん達も各家庭で、「お父さん、お母さんの詩を書いてね、蓮華院に送るから」と、ぜひ話して下さい。そして、それと同時に私達自身が父母や祖父母に孝養を尽くし、その後ろ姿を子や孫に示すべきなのです。
 
すでに父母を亡くされた方は朝晩のお参りでお佛壇に手を合わせ、父母、祖父母への感謝の思いを子や孫達に後ろ姿で示して下さい。これこそが日本人の家庭の基本中の基本である事を皆さんご存知のはずです。
 
ご先祖様に感謝を捧げよう
 
日本は今、経済発展こそしていませんが、世界の中で本当に豊かで平和で、そして笑顔の絶えない家庭が沢山あります。こういう日本を作ってくれた先祖の方々の努力に対し、感謝の気持ちで受け止める事がとても大事な事なのです。
 
また、今現在苦難の中におられる方は、心を込めて真剣に祈って下さい。大いなる皇円大菩薩様のお力を必ず頂く事が出来ます。その事を信じて祈り続けて下さい。
 
皆さん方のご家庭で、ご先祖様への感謝の祈り、平和への祈りが続きますよう念じております。合掌




お申し込みはこちら 大日新聞(月3回発行)を購読されたい方は、
右の「お申し込みはこちら」からお申し込みいただくか、
郵送料(年1,500円)を添えて下記宛お申し込みください。
お問い合わせ 〒865-8533 熊本県玉名市築地玉名局私書箱第5号蓮華院誕生寺
TEL:0968-72-3300