2022年12月19日大日乃光第2357号
『混沌とした時代を幸せに生きるには』
混沌とした時代を幸せに生きるには
変化できるものが生き延びる
現在はまさに、「混沌の時代」と言えると思います。ウクライナ戦争、コロナパンデミック、非グローバル化の世界的潮流と分断社会、温暖化の加速による気候変動と、農業・食料異変と、エネルギー情勢の異変。
経済産業省の未来人材会議のデータによると、かつて世界一だった日本企業の国際競争力は、今や三十一位に下がりました。教育改革やリスキリング(新技術や知識の再習得・再学習)による人の移動と、新しい産業分野への構造転換が必須となりつつあります。
東アジア情勢もきな臭くなってきています。もし、戦争に巻き込まれたらどうするかまで、考えねばならなくなりました。
こういう時は、根本や原理原則に戻って考えてみる事が大切です。まずは、現状の正確な把握から始まりますが、そのためには「事実を事実としてあるがままに観る」ということが大事です。いろいろな情報源に当たり、自分の思い込みや信条や偏見を捨てて、素直に、多面的に、物事を把握する事から全ては始まります。事実と推測とを分けて考えましょう。
また、たとえこちらが正しかったとしても、一度相手サイドから考えてみましょう。すると、相手を理解しやすくなり、解決策が見つかりやすくなるのではないでしょうか?
「強いものが生き延びるのではない。変化できるものが生き延びるのだ」という言葉があります。「不易流行」のように、大事な所だけ残し、あとは、時代環境に応じて変化させ、適応しながら生き延び、発展する。一つの主義や主張に凝り固まりすぎると危険です。
ユダヤの智慧に、「定員十人の議会で、十人全員が賛成した議案は無効」というルールがあります。独裁の怖さと危険に気づいていたからでしょう。変わってもいいのです。柔軟にしなやかに生きましょう。
幸せな人生を送るには
「良い人生を送るには、良い人間関係が一番大事である」これは、ハーバード大学で七十五年間にわたっての研究結果です。十九才のハーバード大生と、ボストンのスラム街の十九才のグループとを二年に一回、インタビューも含めて追跡調査した研究結果により明らかになったものです。良い人間関係は認知症や病気を防ぎ、健康や長生きをもたらします。
アメリカの作家、マーク・トウェインもこのように言っています。「かくも短い人生に争っている暇はない。愛し合う為の時間しかない。それが、たとえ一瞬であろうとも」そして、退職後も上手く行っている人は、新しい人間関係や仲間を作れる人だそうです。状況に応じて変化できる人が幸せになるのです。
次に紹介するのは、ご年配のご婦人の義母に対するEメール内観です。
義理の母に対する内観
(付き合い始めてから亡くなられるまで)
(してもらった事)
*海外に住むための、引越し荷造りを細やかに手伝って頂きました。
*お土産をたくさん持って義父と駐在先に遊びに来て下さいました。
*孫が生まれた時にお手伝いをして頂きました。
*孫にいろいろな贈り物をして頂きました。
*○○の日、という行事の時には招待して頂き、一家でよくごちそうになりました。
*高価で買えない宝石類を冠婚葬祭用に、といってプレゼントして下さいました。
(して差し上げた事)
*孫をとてもかわいがって下さいましたので、孫との時間を楽しめるように工夫いたしました(孫の誕生日にご招待させていただく等)
*お呼びいただきました時は、ささやかながら、手製のお菓子などを持参し、楽しんでいただけるよう努めました。
(迷惑・心配かけた事)
*私が初めて出産した折には、回復が遅れ、お手伝いに来ていただきました時もご心配をおかけしました。
*大切な息子の嫁でありながら、私の至らなさの為にご希望に添えず、多くの不足がありましたことでご迷惑、ご心配をおかけしました。料理が得意でなかったことも、主人の健康管理の面で随分ご心配をおかけしたことだろうと思います。
(気付いた事・発見した事)
今から思えば、夫と私の育ちの面で(夫はそのようなことを気にしてはいませんでしたが)隔たりがあったのだと思います。そのことで、私の思いの及ばない部分で義母には随分ご心配、ご迷惑をおかけしていたのだろう、と思います。
例えば義母はお料理が得意で、いつ伺ってもおいしいお食事を頂きました。そのような方でしたから、あまり料理が得意であるとはいいがたい私のお出しする食事を見る機会があるごとに、「このような食事では」と随分私の夫の健康面をご心配されたのではないかと思います。当時は自分もとにかく多方面で忙しく、必死にやっていたものの、義母から見たら至らないことだらけで心配なさることはとても多かったのだろうと改めて気付きました。
結婚する前には、夫にはもっと多くの女性と交際して広い範囲から将来一緒になる方を選ぶことを勧めていらしたようです。ですので、(本人の意志とはいえ)早くから将来の相手を決めてしまった夫のことを心配なさったのは母親としては当然のことかと思いました。
それでも孫が生まれたら本当にかわいがっていただき、必需品等もたくさん贈り物として頂きました。また、学資保険をかけて頂きましたので、孫の年令が何かの節目の時にはその時々の保険金で身に余るものを入手して頂き、思い出もたくさん作って下さいました。良き品々も頂きましたが、思い出もたくさん一緒に作って下さいました。
その思い出の多くは、義母の手料理によるお祝いのパーティーでした。そしてお食事を出して頂いた時の食器やナイフ、フォーク等、それらを囲んでのお食事を懐かしく思い出します。それらが今は遺品となって未亡人となった私のもとに残されているのですが、今でも私の息子たちと会食をする時には思い出の食器類を使い、その当時を思い出しながら話し合うことができています。本当に嬉しいことです。
美味しかった義母の食事、美しい食器類など、楽しい会話の思い出は、今も私の心の慰めとして残されており、それらがある意味では温かく引き継がれている「無形の遺産」のように思うのです。
義母は、ご自分のお作りになった食事を私たち家族と一緒に頂いていたその当時は、本当に楽しそうでした。そんな中では、やがて自分の息子が思いがけず早くに他界し、一人になる嫁が懐かしく当時を思い出しながらその食器を使う姿など、思いもよらなかったことと思います。
しかし、現実にそのようになって、私は残して頂いた「おいしい食事、楽しく語らいながら過ごした時間」を有難かったな、懐かしいな、と思い出しながら過ごしています。暖かい時間を共に過ごしていただけましたことから頂いた、ほんのりする決してなくならない「宝の思い出」を本当に感謝しています。
この方は、存命中はあまり上手くいっていなかった義母への内観で、義母への反省と感謝が自然に出て来ました。年を取り、お嫁さんや孫が出来、義母と同じ年令になったために、若い時より多くの事が理解できるようになった事もありますが、内観で義母への想いが良い方へ変わり、心の中で義母と和解したような内容で、心境の変化が良く表れています。わだかまりがなくなり、今までより楽に明るく人生を送れるようになられました。
『私の般若心経』
今年最後に、私なりの般若心経の解釈を紹介させて頂きます。お役に立てば幸いです。
「自在に観る佛様が、深い佛の智慧そして悟りへ至る道を行じていた時に、全ては空(くう)であると悟って、一切の苦しみを除いた。
智慧第一のシャーリプートラーよ、宇宙を貫く唯一の真実は、固定した実態は無く、常に変化しているという事である。物質は非常に長い年月で観ると変化しているのである。宇宙の全ては無常である。常に変化している。
だから、こだわりすぎなさんなよ、かたよりすぎなさんなよ、とらわれすぎなさんなよ、とらわれないということにすら、とらわれすぎなさんなよ。宇宙のように広い大きな心、水のように柔らかい心を持って、毎日生きていきましょう。
あなたが問題だと思うから問題が発生し、問題でないと思えば問題は消滅してしまうのである。全てはあなたの心が作り出し、自分で作り出したものに振り回されているのである。
全てが変化するのだから、悩みやこだわりや恐れや不安も変化し、消滅してしまうのである。だから、心に抱え込んだものも、捨て去ることができる。全ては受け止め方次第、生かし方次第なのである。
そして、過去は変えられないが、過去の受け止め方は変える事ができる。すると、未来が変わるのである。
宇宙の全ては、単独で存在するものはなく、他との関連性の中で影響しあい、関係しあい、常に変化しながら存在しているのである。この真実を深く実感できれば、明るく楽しく楽に生きられるようになるのである。
いろいろ悩みや問題はあるけれど、それらは取りあえず横に置いといて、今日出来る事、やるべき事をやって、そのまま前進していきましょう。何年か先のことも考えながら、今日一日を生きることが大切です。
感謝する事、赦す事は幸せへの入り口です。憎む事恨む事呪う事は不幸への入り口です。
理想的には全ての人、物、出来事に感謝できるようになりましょう。
感謝の心を持ちながら、強く願い、よく行動すれば、あなたの思いは成就するでしょう。今この時この場所を少しでも極楽浄土に近づけましょう。大丈夫です」合掌
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