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大日乃光






大日乃光

2024年09月06日大日乃光2411号
故村上和雄博士が遺された幸せな人生を送る為の秘訣とは

田手川で川遊びをした思い出
 
皆さん暑い中ようこそお参りでした。
十日前のご縁日はお参りを始める前には三十五度で、今日は三十三度でした。厳しい残暑の中にも少しずつ秋の気配を感じています。
 
私は小学校六年から高校卒業するまで佐賀の東妙寺に住んで居ました。そこから五十メートル程西に離れた所に田手川という川があり、鎌倉時代にはその川向かいに妙法寺という尼寺があって、東妙寺と対に並び建つ関係でした。
 
田手川は私の子供時代の遊び場でした。当時、川で魚を獲る特殊なもんどり(罠)がありました。この地域では「ランプ」と呼ばれ、上に丸い穴の開いた、ガラス製のひしゃげた球体をしていました。その穴の内側の一方に味噌等を塗り、味噌が上流側になるように川底に沈めておきます。味噌の臭いに引き寄せられた魚が穴から入り出られなくなって、多い時には三、四十匹とまぁ結構大漁でした。このランプをひと夏に一個は使いました。今日ではほとんど禁止されている漁法ですが、今となっては懐かしい思い出話です。
 
 
百日紅に重なる先代の記憶
 
東妙寺では毎年お盆の十六日に盆踊りを催します。田手川で精霊舟を流し、それが終わるともう川遊びはお終いでした。何故かと言えば、五、六十年前は盆明けには水温がもう冷たくなったからです。年配の方は憶えておられるでしょうが、お盆を過ぎたら急激に涼しくなるというのが普通でした。
 
ところが近年はもうお盆を過ぎたというのに、中庭と裏庭に百日紅の花が今を盛りと咲いています。百日紅が咲く頃は、私には辛い思い出があります。平成四年の七月八日に、先代真如大僧正様が御遷化なされた時にも百日紅が咲いていました。
 
夏の盛りに毎年元気に咲き誇る百日紅の花を見ると、「おい頑張れよ」と父から励まされるような思いがします。それと同時に辛く悲しい記憶もあって、それらが交錯する中で紅い花を見ると胸に迫るものがあるのです。
 
最後に生き残る人はどんな人か?
 
御縁日と準御縁日のお参りの前には、二階の貫主堂で身支度を整えます。そこでふと、令和三年に八十五歳で亡くなられた村上和雄博士の『人生の暗号』(サンマーク出版)という本が目に留まり、久々に読み返してみました。
 
その一節に、当時の最新のコンピューターに「どんな人間が最後に生き残るか」を推測させた所、「力の強い人、自分の事を優先させて考える人、競争に勝ち抜いていく人」などという大方の予想を裏切って、「譲る心をもった人」という回答が出されたという話があります。
意思の強い人や自己主張の強い人は、逆に自然淘汰されるのだそうです。
 
従来の進化論では、体力や知力のあるもの、そしてより環境に適応したものが生き残り、さらに進化を遂げる。それ以外は滅び去る。そういう解釈でした。それは教育現場や社会においても、より強くたくましくあれと、そういった価値観でずっと進んで来たと思うのです。
 
ところがコンピュータが「譲る心を持った人が生き残る」と答えたと言うのです。これを読んで驚かされました。普通は人に譲ってしまうと先を越されてしまい、取り残され、最後に落ちこぼれてしまうんじゃないかという予想を持ちますが、その予想は全く逆だったのです。
 
譲り合いが形作る生命の奇跡
 
人体は六十兆もの細胞で成り立っています。指先の細胞、髪の毛の細胞、内臓の細胞等…それぞれの細胞の全てに必ず人体全ての設計図、遺伝子が入っています。繊細な産毛の毛先の中にも、全身の細胞の設計図が入っているという事です。
 
ところが、例えば指先の細胞では、指先の役割を果たすための遺伝子のスイッチだけがオンになっていて、他のスイッチは切ってあります。仮に指先の細胞が目になりたいと思ったとしても、目にはなれません。しかし目になるための設計図は持っているのです。
 
けれども髪の毛の細胞は髪の毛の役割を自ら引き受け、設計図の中の髪の毛になるための部分だけを淡々と活かし切って行く。脳の細胞も脳としての役割を果たし、内臓の細胞も内臓としての役割を果たして行く。村上博士によれば、細胞同士が譲り合い役割分担した上に、身体全体の命が成り立っているという考え方です。
 
一方、一部の細胞で修復不可能なレベルで遺伝子が損傷した時に、自己の役割を勝手に逸脱して増殖し、他の健康な細胞を傷つけ、重要な臓器を損ない、身体全体に悪影響を及ぼす症状が癌です。
 
そしてこの細胞レベルの話を拡大解釈して、人として譲り合い、今の自分の役割を大切に活かす事が命を長らえる上でとても大事な考え方だと説かれています。
 
そしてこういう事も書いてありました。科学が宗教の教えを証明し、宗教は科学を取り入れて説明する。宗教と科学が対立概念ではなく、お互いに補いあうものであると。
「宗教なき科学は不完全であり、科学なき宗教は盲目である」というアインシュタインの言葉がありますが、それに近いものがあります。
 
そういった意味で、私達は村上和雄博士という偉大な分子生物学者が説かれた生命の成り立ちから、人として幸福に生きるための秘訣を学ぶ事が出来るわけです。
 
イキイキワクワク生きる方法
 
その他に、どうしたらイキイキワクワク生きて行けるのかが説かれています。
周りの人を感動させたり、喜ばせたり、嬉しがらせたり、そういう行動を起こす事こそが、自分が輝き、イキイキクワク生きて行く為の基礎の基礎なのだと村上博士は答えておられます。
 
何かを「してもらいたい」とばかり考えている人は、却ってイキイキワクワクする生き方が出来なくなる。その逆に人に与える事、人に奉仕する事、人の役に立つ事、人が喜ぶ事、そういう事を実行する事自体がイキイキワクワクした生き方になるという話なのです。
 
そう思えるように自分を変えたいと思ったら、周囲の環境を変えてみる事が一つの答えだそうです。しかし環境を変える事はなかなか出来ません。ではどうすれば良いのでしょう。
それは、自分の心持ちを変える事です。
 
周囲に依存する事なく、何か人様のお役に立つ事をしようと、自分自身が心構えを良くして前向きに考える。そして周りを喜ばせようという気持ちを持ち、それを実践していけば、パチンと遺伝子のスイッチが入ると言われているのです。
 
難病を克服した遺伝子のスイッチ
 
人間の持つ能力を、遺伝子のどの部分が担っているかという点は、まだ充分解明されていません。
遺伝子の働きのわかっている部分は、何と僅かに五パーセント程で、後の部分は殆ど眠っているそうです。その眠っている所のスイッチを入れるには何が必要か、私は一つ体験的にそれを実感しました。
 
五年前の八月一日、毎日の御祈祷を終えた直後、私は大量に下血して、意識不明のまま救急車で病院に搬送されました。幸い意識をとり戻してからは、ベッドの上で毎日御宝号を唱え続けました。
 
病室の中で数珠がなくても数えられるように工夫しました。息を吸う時に四遍、吐く時に七遍唱えると十一遍。これを九回続けて九十九遍。最後の十回目には三遍吸って六遍吐けば百八遍になる。これを繰り返し、一日に約五万遍ずつ唱え続けました。その結果、手術をする事なく三ヶ月で退院出来ました。今はもう三ヶ月に一度経過を診に行くだけです。診察も大体三分で終わります。
 
一年ほど前に「先生が担当された、私と同じ病気の方は、百人のうち何人が助かっていますか?」と尋ねると、「一人か二人です。あなたはその貴重な一人です」と答えられました。
これはずっと御宝号を唱え続けてきた結果、まさに病気を克服する遺伝子のスイッチがパチンと入ったのだと、私はその体験を通じて実感しました。
 
全ては信者の願いを叶えるために
 
今現在までに、御宝号を四千二百二十六万遍唱えています。今でも午前中に一万遍、午後も一万遍と毎日二万遍ずつ御宝号を唱えています。これは「自分が死ぬまで、役割を十分に果たして行けますように」という願いを込めています。私は、自分のためだけに祈る事はまずありません。信者さん達のための祈りだけで、ほぼ百パーセントでした。
 
ですが五年前に病に倒れて以来、初めて自分のための祈りも込めて、真剣に唱え続けるようになりました。それもこれも、偏に皆さん方の様々な願い事を、御本尊皇円大菩薩様に叶えて頂くための御祈祷を続けるためです。
 
これは入院中も、大量出血のあくる日でさえ一日も欠かした事はありません。そうして毎日毎日御宝号を唱えながら、佛様からの霊波を頂きながら、自分の細胞の中の遺伝子のスイッチのオンとオフを実感しています。
 
具体的に、どんな時にどんなスイッチが入ったのかは、私にもわかりません。しかし願い事が叶う時、まさに遺伝子のスイッチが入った事を感じています。これは佛様から、遺伝子のスイッチを入れて頂いているのではないか、という風に考えています。様々な奇跡的な出来事、多くのご利益、そういった事を村上和雄博士の遺伝子のスイッチという科学的な話を借りてお話し致しました。
 
幸せに生きるための第一歩
 
どうか皆さん方も御縁日、準御縁日のお参りの中で、またご自宅でお参りされる時に、佛様に遺伝子のスイッチを入れて頂くという、そういう気持ちでお参りして下さい。
自分で入れるというよりも入れて頂く。
 
また人生をイキイキワクワク過ごすには、周りの人が喜ぶ事をする。その事がさらに遺伝子の良きスイッチをパチンと入れて行くのだという気持ちを持って下さい。するとさらにまた生き方が変わり、イキイキワクワク生きて行けるに違いないと私は確信しています。
 
暑い中にも「今日は蓮華院にお参りに行こう!」と、まず自らの気持ちを切り替えて、元気よくお参りして下さい。そして佛様に願い事の叶う遺伝子のスイッチをオンにして頂き、元気に残暑を乗り切って下さい。合掌       



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