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大日乃光






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2024年10月24日大日乃光大2416号
奥の院大祭に向けて(その2)

奥之院開創四十六周年を機に、いま一度「功徳行」から始めよう(その2)

いよいよ四十六周年を迎える奥之院開創記念大法要(奥之院大祭)が間近に迫ってまいりました。寺内では様々な準備が滞りなく整いつつあります。

今年の大祭では、屋外の柴燈護摩道場で執行して来た開創法要を、五重塔一層の本堂で執り行う本来の姿に戻す事になりました。

以前、大佛様の御前で修した開白法要は柴燈護摩道場の手前で十時より執り行い、その後、五重御堂に行道します。 本堂でのお参りの中で横綱照ノ富士関に横綱土俵入りの太刀を貸与し、御法話、お加持へと進みます。

さて今回も、大祭の前行である『功徳行』の意義とその大いなる功徳について、引き続き説明します。 奥之院の開創に込められた開山上人様の祈り そもそも、「信者の皆さんが功徳を積む所として奥之院を建立したのであります」との開山上人様(開山是信大僧正様)の御遺言にありました様に、奥之院の中心的な建物である五重御堂(ごじゅうのおみどう)は、五重塔の中で信者の皆さん達が修行できる様に設計されました。

開山上人様の後を継承された先代真如大僧正様が、まだ鉄骨だけしか建っていなかった五重御堂の各階の設えを、修行道場に相応しくなるようにご指示なさいました。 こうして五重御堂の竣工を以て、昭和五十三年十一月に奥之院の落慶大法要が三日間に亘って厳修されたのでした。

以来、本年はまさに四十六周年に当たるのであります。その落慶法要の折に初めて修されたのが、この『功徳行』であります。 以来、毎年六月大祭とこの奥之院大祭の前日に、大祭の「前行」として連綿と実修してまいりました。またそれ以外にも、毎月第一日曜日にも実修してまいりました。

五重御堂で修行をする意義

真言密教では、そもそも宇宙の構成要素である「五大」、つまり「地大」「水大」「火大」「風大」「空大」そのものが、大いなる宇宙の大生命を象徴する大日如来なのであります。

その後、弘法大師空海上人様がそれまでの五大に「識大」を融合されて、「六大縁起説」という真言密教の根本思想を打ち立てられたのでした。この「識大」を象徴するのが私達の善なる意識であります。 つまり五重御堂内で私たちが菩薩の心をもって修行する事そのものが、六大を成就し、躍動的な大日如来を出現せしめる事なのであります。これは人類の調和を超えて、全ての生きとし生けるものの調和への大きな出発点ともなるのであります。

一層(地大)は受戒道場

では功徳行を具体的に説明致します。 すでに衣装を僧衣に着替え塗香を塗り、香像を跨いで洒水加持を受けた功徳行者は、身も心も浄まり、一層の内陣に着座します。

一層は五大の内の「地大」、つまり基礎に相当します。佛道修行の基礎は「戒律」から始まります。その意味で、ここでは戒律を授かる、つまり「授戒」を致します。授戒は僧侶や尼僧になる得度式でも行われます。授戒の要点は「三帰」(佛・法・僧の三宝への帰依)、「三境」(三宝への帰依を確認)、そして「十善戒」の授与です。 加えてこの功徳行が無事に終わり、少しでも信心が確立する事と、更には様々な願いが成就する様に祈ります。 授戒の義を終えて、各階を上る時は、皆で共に一歩一歩を踏み出す中で「南無皇円大菩薩」と声を揃えて、じっくりと唱えながら登っていきます。

二層(水大)は写経道場

続けて「水大」に相当する二層に於いて、写経を致します。水を墨で擦り、「般若心経」を自らの体を通じて書き写す事によって、お経に向き合います。

人は様々な行動を行うとき、三種類に分けられます。一つには「岩に文字を彫り込む人」、次に「砂に文字を書き込む人」、そして「水に文字を書く様な人」です。強く岩に彫り込む様に、思い入れが強く物事に強いこだわりを持つ人。それほど執念が強くなく、時が経てばこだわりが消えてゆく人。そして水に文字を書いてもすぐに流れ去るように、一切のこだわりを後を残さない人の三種類です。

写経をする時は、全てのこだわりを水に流して行く様に、淡々と爽やかに書くように心掛けてください。その事によって、佛様のお恵みがサラサラと滞りなく流れ込んで来るのです。写経に合わせて三層の護摩祈祷の時の、「添え護摩札」も書いて頂きます。

三層(火大)は護摩道場

三層では、まさに「火大」の象徴である護摩の炎によって、皆さんの悩み苦しみ、更には様々な悪しきこだわりなどを焼き尽くします。 護摩祈祷には二つの大切な意味があります。 先ず第一には「佛様の知恵の火によって私達の煩悩を焼き尽くす」いま一つには「佛様のお慈悲のお恵みによって願いを叶えて頂く」この二つです。

呼吸という字は先ず息を吐く「呼」、そして息を吸う「吸」と書く様に、先ずは私達の心にあるものすべてを吐き出すことから始まり、その後自然に新鮮な空気が体内に流れ込む様にして息を吸い込みます。 この様に良きものも悪いものも全てを佛様の智慧の火で焼き尽くして頂きます。そうすると同時に願い事が自ずから叶って行く。その様に真剣に念じてください。いずれにしても、真剣に無心に念じて下さい。そうすれば自然に悪しきものが燃え尽き、新たな光が、エネルギーが入って来て願いが叶うのです。この様に無心の心で写経をし、熱烈な護摩祈祷の祈りを経て、四層の「風大」である阿字観道場に向かいます。

四層(風大)は阿字観道場

「阿字観」は無念無想の座禅ではなく、有念有想とも言える密教瞑想であります。具体的には吐き出す息と共に「あー」と言う声を長く出しながら、同行の皆さんと声を響き合わせながらゆっくりとした呼吸の中で、梵字の「阿字」を観じます。

阿字は「阿字本不生」(あじほんぷしょう)と言われる様に、全ての命の大元を象徴しています。つまり そのものが大日如来なのです。この阿字を観じながら、自身の心の深い深層意識に目覚めるのが密教瞑想の阿字観なのです。

五層(空大)は法輪道場

そしていよいよ最上階の「空大」に当たる法輪道場でのお参りです。皇円大菩薩様のご尊像に直接触れて佛様と一体になり、自らの願いを叶える「なで佛様」との対面です。皆で共にお参りしながら、御尊像に触れながらお参り致します。この「なで佛様」へのお参りで、これまでに数々の奇跡的な霊験談が生まれています。

お参りの後は五重塔最上層の回廊に出て、外の景色を遠望します。この時は夕景を眺めながら大自然の雄大さと、そこに営まれる人々の息吹を遠近の景色の中で実感します。私達の日々の暮らしが大いなる自然の環境、さらには母なる地球のお陰で成り立っている事を実感する事が出来ます。この事は、さらには大いなる佛様のお恵みをも感得する事に繋がって行きます。

「功徳行」への参加は最上の勝縁

その後、五層から一気に一層まで下りますが、この時も上る時と同じように御宝号を唱えながら一歩一歩と下ります。この階段は御縁日の十三日の奇しくも十倍の、ちょうど百三十段になっています。

その後、修行を無事終えた事への感謝の思いを皆で共有して功徳行を終わります。こうして前行としての功徳行から、大祭当日のお参りへと続いて行きます。

功徳行を修した皆さんは、他の信者さんや参詣者のお手本になりますように、ぜひ最前列の間近な所で終日お参りして頂きたいと思います。 皆さん方の真剣にお参りされるその姿そのものが、まだご縁の薄い多くの人々に信仰の有難さと尊さを伝える事になる筈であります。この事こそが御本尊皇円大菩薩様への御恩報謝となるのであり、大きな功徳を積む事にもなるのです。

近年はコロナ禍によって、六月大祭も含め、功徳行の実修が叶わない時もありました。そんな中でも、両大祭ともお参りだけは欠かさずに続けてまいりました。昨年からは飛龍旗小学生相撲大会が再開し、大相撲の力士の参詣も実現しました。前行としての功徳行も再開しました。

今年になり、ようやく待望の横綱奉納土俵入りも再開出来る事になりました。実に五年振りの再開に感慨もひとしおであります。

そういった意味でも、信者の皆さんにとって、功徳行は信仰の有難さを体感し、御本尊皇円大菩薩様に報恩感謝の誠を捧げる最上の御縁となる事でしょう。 どうか一人でも多くの皆さんが、この勝縁に功徳行に参加して下さい。皆さん方の奥之院大祭への参加とお参りを、心よりお待ち致しております。合掌



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