第30集 熊本KN
脳梗塞と癌から救われて
私はこちらにご縁を頂いてからまだ十年になるかならないかぐらいですが、とても大きな御加護をいただきました。
それは昨年八月頃のことです。体に異常を感じて病院へ行きました。私は二十年前、昭和六十一年に脳梗塞を起こして治療した事があるのですが、今回CTスキャンを撮ってもらうと、その時と同じような写真だったのです。二度目の脳梗塞です。私は病院のベッドで寝そべって色々な事を考えました。
まだ歩くのは何とか歩けました。でも、病院の設備品に足があたってしまいました。私は、私が悪いのではなく病院の設備の配置の仕方が悪いと思っていました。こんな患者がいるのだから片づけておけばと思っていました。
さらに何日か後、熊本市内で突然血便をしました。ただの下痢と思って病院へ行くと安静にするように言われ、血便が止まって腸のカメラの写真を見ると、先生は一言、「ガンです。」
私は、「ガンなんて何かの間違いでないですか?」と言いました。すると、「手術はうちでは出来ないから」と言われました。
脳梗塞とはいうものの、他に痛みなどの自覚症状もなく、わりと体も自由に動いていたので、ガンと告知されても信じられずに、「本当に本当にガンですか?」ともう一度聞きますと、やはり「立派なガンです」と言われ、告知されたショックで「ガンに立派なガン、立派じゃないガンがあるのですか?」と先生にやつあたりをしてしまった程です。
「医術には無知でも、脳梗塞は二遍もやっているし、ガンは切れば良くなる」と自分で勝手に決め、「大丈夫」と思い込んだり、「ああ私もこれで終わりかな」とも思ったりしました。「よし、こうなったら佛様へ頼もう、こういう苦しい時こそ佛様におすがりするしかない」と思いました。
出来る限りのことは頼んでみよう、頼む一念と思い、蓮華院へ向かいました。体調のわりと良い日を選んだはずなのに、玉名駅の階段の登り下りが出来ません。登りの時は苦労するけれど下りは楽だろうと思ったのですが、下りも苦労してしまい両方だめでした。寺務所でお願いを済ませタクシーを呼んでもらい、車に乗り込む時も体が不自由でした。
しかし、帰りの玉名駅では楽に登り下りが出来るようになっていて、思わず、「あれ?」と思いました。さらに病院へ行くと先生も私のスムーズな歩き方を見て「あれ?」と言う顔をしました。よし脳梗塞の方は良くなった、今度はガンの治療だと思いました。
そして、いよいよ病院からベッドが空いたから手術をしましょうという知らせを受け、日にちが急でしたので、お寺には電話で祈願をお願いしました。
手術も無事にうまく行きましたし、痛くも、苦しくもなくむしろ楽しい日々でした、二十年前の脳梗塞の時の苦しみを覚えておりますので、有難さが分かりました。佛様が助けて下さったと思いました。
こうしてお陰様で元気になりました。お腹を切った違和感はありますが、日常生活は何でもありませんし、本当に心の中で手を合わせています。
そもそも私の皇円大菩薩様との出会いと言うか、お寺を知ったきっかけは電車の車窓から奥之院を見たのが始まりです。鹿児島行きの電車の中、ぼーっと窓から外の景色を見ていると山の上に何かが見えたのが気になりました。それからいつも、行きも帰りも玉名の近くに来れば山の上を見る度に「何だろう?」と思っておりました。その私の様子を見て、隣に乗り合わせた方が、「あれは蓮華院の五重塔ですたい」と他には何も語らず、一言だけ告げて教えてくれました。
汽車の窓からは、どうしても五重塔には見ません。二年間汽車で通るたびに眺めていました。そしてとうとう実際に行って見て、あんな立派な建物があることに大層驚きました。普通五重塔は木造のものしか知りませんでしたし、何度眺めた事でしょう。まあご縁でしょうと言うにはもったいない、二年もの時をかけて佛様が呼んで下さったのだと思います。ありがたいことです。
手術後の経過もよく、脳の血のかたまりもとれ、本当にありがたい事です。また何年か生きる事ができます。有難いことです。合掌