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2010年1月7日第467号
幸福ニュース

【 青年の内観 】

 私は一週間の集中内観を体験させて頂きました。きっかけは父 の勧めだったのですが、どういうことをするのか説明してもらわ なかったので不安になり、正直拒んだ時もありました。しかし、 まぁ一週間位ならと思い、内観を受けてみることにしました。

 内観初日、まず先生から内観についてやお寺、生活等に関する 説明を受けました。はっきり言って、「誰に対するいつの自分を 調べましょう」と言われても、「調べる」という意味が漠然とし ていて、よく分からなかったというのが、内観の最初の印象でし た。

 自分の部屋に入ると、屏風が狭く寒いと感じ、「本当に一週間 もここで過ごせるのだろうか。」というのが、率直な感想でした。

 とにかく「母を調べる」と言っても、小さい頃は思い出話のよ うなものしか浮かばないし、先生が面接に来られる時しか集中で きていなかったのではないか、というのが正直な感想です。

 二日目は、朝六時からお寺の方でお経を夢中で読み、掃除をし ました。しかし、朝食を頂いた後に具合が悪くなってしまい、そ の日はほぼ半日ほど寝込んでしまいました。

 本来朝に弱く、病み上がりというのもあったのですが、内観に 来させてもらう前の生活が不摂生極まりなかったというのもあり ます。ですが、せっかく来たのだから何とか内観しないと、とず っと思っていました。

 それで、随分先生やお寺の方には迷惑をかけてしまいました。 体調が回復し内観を再開したのですが、集中できませんでした。

 3日目も選挙運動がうるさいとか思いながらも内観をさせて頂 きましたが、この日は自分の身の上話のようになってしまい、 「してもらったこと」「して返したこと」「迷惑かけたこと」の 項目が守れず、話が長くなり、先生だけでなく、他の内観者の方 にもご迷惑をおかけしました。

 四日目は、父からこれまで頂いた養育費の計算をしました。す ると、自分は医療費が圧倒的に多いと思っていたものが、教育費 が多いことに気付きました。

 それから、父からして頂いてもらった事が少しずつ、幼い頃か らの沢山のことが自然と思い浮かんできました。

 これまでの期間、私は頭で考え、どうして深く内観できないの かと思っていました。それからは、相手の立場で自分を調べ、事 実を素直に簡単に、身近なものから相手の心情を推測するように しました。

 そうしたら、内観が進んでいったのですが、「父も母もできる ようになったし、先生は残りの三日は早いとおっしゃっていた。」 というのを思い出すと、気がゆるんでしまい、目まいがして、急 に何も内観することが出来なくなってしまいました。

 しかし、その日のテープを聞いて、人だけでなく、あらゆる物 に自分が感謝していなかったことに気付かされました。パソコン だって記憶する所をたたけば壊れる。携帯電話も、いつも自分は 投げ置いている。それが人間だったらと思うと、自分がおろかに 思えました。

 水だって八っ場ダムの住民の方の話を思い出すと、「上流の俺 達はダムで貢献するかもしれないが、下流の多くの東京の住民は 何かしてくれた事があるのかい。」と私を含め、お返しが出来て いないことに気付きました。

 五日目は、再び母についての自分を調べたのですが、自分が大 学から帰ってきた時に、母の手料理を思い出し、母の存在自体が お世話になっているのだと気付き、また、私の体の為に、自分の 体を犠牲にしてまで尽くしてくれた母の身が急に心配になり、先 生に母へ伝言を頼みました。

 先生に気分転換に境内の散歩を勧めていただきました。来た時 には気付かなかった池の中の魚が見えました。いろんなものが見 えなかったのではなく、それまでの自分の目が曇っていたのです。

 六日目は、嘘や盗みについて調べました。一円をあいまいにし ていた自分にも、あいまいになっていた事が、嘘や盗みにつなが っていたのだと思います。

 他の内観者の方が、「お経を大きな声で唱えて私も頑張った。」 と内観者の方がおっしゃいました。私は、「いえ、そんなことな いですよ。ありがとうございました。」と答えました。他の人に 「お加減いかがですか」と尋ねられました。私は、「大丈夫です よ。(心配してくださって)ありがとうございます。」と言いま した。

 お寺の方に「いつも掃除をありがとうございます。」と言われ ました。今まで私は謙遜はしても、「ありがとう」と言ってこな かったので、何に謙遜していたのか分からなかったと思います。

 日々の生活の中にたくさん「ありがとう」が含まれていること に改めて気付かされました。

 七日目は父についての自分を改めて調べました。恨みなどは全 くなくなり、むしろ逆に、これまでの父の言葉の本当の意味がよ くとらえられるようになっていました。

 父と男同士(ぶつかって)話し合おうと思った時に、お寺の鐘 が鳴り、その響きがありがたく感じました。父を調べる中で、父 の先祖を恨んでいる事にも気付き、それを後世に残すことはマイ ナスであり、無意味に思うようになりました。恨みが消えました。

 人生計画で、今後に関して頭の整理ができました。家に帰った ら、両親と相談したいと思います。全部は出来ませんでしたが、 自分の一生について考えるきっかけになりました。

 最後に、ここで気付かせて頂いたことは、語り始めるときりが ないと思います。この内観というものを続け、また、家族や大切 な人、そして沢山の方に勧められたらと思います。

【坂村真民詩集】

『 仏 』

悲しみや
苦しみが
なかったら
仏は生まれてこなかった

悲しみや
苦しみが
あるから
仏は生まれてきた

悲しみや
苦しみは
ガンジス川の
砂のように
多いから
仏も無数である

一心に称名し
一心に礼拝しよう

【仏語集】

 家庭は心と心がもっとも近く触れ合って住む所であるから、む つみあえば花園のように美しいが、もし心と心の調和を失うと、 激しい波風を起こして、破滅をもたらすものである。この場合、 他人のことは言わず、まず自ら自分の心を守って、踏むべき道を 正しく踏んでいなければならない。(本生経)

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第463号 中年男性の内観

第461号 主人への内観

第459号 やる気の出る秘訣

第457号 独身女性の内観

第466号 人生の半ばで

第464号 嘘と盗み他

第462号 脳を生き生きとする法

第460号 不登校生の内観

第458号 夫の愛に気付いて

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