1ヶ月のEメール内観もいよいよ最終日となりました。ちょっと 寂しい気持ちもあります。今日はこれまでのまとめを書かせてい ただきます。
実は自分で申し込んでおきながら、最初の1日内観を受けさせていただくまでは、両親や家族、周りの人との過去を振り返り、していただいたことなどを思い出して何になるんだろう?
それで長年抱えてきた苦しみから解放されるとは思えないけど、試しに受けてみよう…という感じで、正直内心では疑問を抱いていました。特に子どもの頃、両親の不仲から家族へのいい思い出がないために、余計にそう感じていました。
しかし、最初の1日内観で徐々に過去を思い出していく中で、特に父への内観中、「子どもの頃いろんな習い事ができたのは、父が毎日仕事をして家族を養ってくれていたおかげ」と気づいた。
その時同時に、「父親というものは仕事をして家族を養うものだと思い込んでいたけど、それは当たり前のことではないんだ・ ・・」と、気づかせていただきました。それからは、父への気づきのオンパレードでした。
長年父に怒りや憎しみを抱え続け、父との関係がうまくいっていなかった私は、「父親らしいことは、何ひとつしてもらっていない。」と思い込んでいました。
けれども、たとえ関係がうまくいっていなくても、父は毎日変わらず働き続け私たち家族を養ってくれました。
また、「親の愛情とはこういうものだ。お金(経済的な支援) は愛情ではない」という思いこみから、目の前にある父からの愛情に気づくことができませんでした。
父親が仕事をして養ってくれたおかげで、私は学校に行くこともでき、何不自由なく生活できたのは、間違いなく父からの愛情のおかげだったと思います。
それに気づいた時、父からの愛に気づけなかったことへの申し訳なさと、父への感謝の気持ちが溢れだし、しばらく涙が止まりませんでした。
また父の立場にたって考えた時、父はきっとずっと寂しい思いをしてきたに違いないと感じ、たまらなくなりました。
そして、内観を続け、父に対する思いや態度が変わっていく中で、統合失調症で入院している父にも変化が現れ始めたことも嬉しい驚きでした。
7ヶ月間異常行動が続き、隔離された個室から出られなかった のに、内観を続けていくうちに異常行動が治まり、どんどんいい変化が見られるようになりました。今は一般病棟の相部屋へ移り、表情も穏やかになり、周りのスタッフの方も驚くほどです。
面会を終えて帰る際、父が私の名前を呼んでニコニコしながら手を振っている姿は、今もしっかりと目に焼きついています。あんな父の笑顔を見たのは、生れて初めてでした。
長い間、まともに目を合わせることもできず、会話をすることもできませんでしたが、あれだけ憎かった父の笑顔は、間違いなく私を幸せな気持ちにしてくれました。
あの日以来、私の中に静かで穏やかな満たされた感覚が続いています。これが「幸せ」という感覚なのかもしれません。
「幸せとはこういうものだ」と決めつけている限り、それ以外の状態は「幸せではない」と思いこんでしまうため、いつまでたっても目の前にある幸せに気づくことができないと思います。
内観を通して毎日たくさんの学びや気づきをいただきましたが、特に以下の点が大きな気づきでした。
・これまで自分に足りないものや受け取ってこなかったものにばかり目を向け、それを欲しがり、苦しんでいたこと。
・何不自由なく生活できていることや、自分が受け取っているものを当り前だと思い、感謝の気持ちすら持つことができなかったこと。
・思い込みやとらわれにより、自ら自分を苦しめていたこと。
・自分が幸せでないという現実を人のせいにしてきたこと。自分の人生に起こる“不幸な出来事”を人のせいにして、無意識のうちに責任を押し付けようとしていましたが、自分の人生は 自らが創り出したもので、責任は自分にしかありません。
・視点を変える、見方を変えることで、幸にも不幸にもなれる。
内観をしている最中も、落ち込んだり気分が沈みがちになるこ とがありましたが、「視点を変える」ということを学ばせていただいたお陰で、気持ちの切り替えが早くできるようになったり、別のとらえ方ができ、以前のようにいつまでもズルズルと落ち込 んだ気持ちを引きずることがなくなりました。
これまで何年にも渡って、長年抱えていた苦しみを解放するためにいろんなセラピーや方法を試してきましたが、一時的に癒されても、またすぐいつもの状態に戻っていました。
しかし、内観を続けていく中で、いつの間にか長年心の底にあった固いしこりが溶けていました!それと、毎晩続いた怖い夢や、毎朝の胃の不快感もすっかり消えました。これにはビックリです!
人間関係以外でも、自分の目、歯、昨年手術をした所、愛用している楽器、仕事への内観も奥深いものとなりました。
内観の素晴らしいところは、道具も何も使わず、いつでもどこ でもできる。そして今の人生で起こった「事実」を思い出すことで、自ら気づきを得られる。自ら気づきを得られるので腑に落ち、本当の意味で癒しが起こるのだと思います。
この1ヶ月間、Eメール内観を続けてこられたのも、毎日先生がコメントを下さり励まして下さったおかげです。本当にありがとうございました。
これからは自分で続けてみようと思いますし、機会があれば集中内観にもいつかぜひ参加してみたいと思っています。
同じような苦しみを抱えている方や心が疲れている方、人間関係に悩んでおられる方、また私のように患者の家族の方などにもぜひこの内観をおすすめしたいです。
職場にうつ病の方がいたり人間関係に悩んでいる友人や知人にも内観の話を少しずつしているところで、自分も体験者として、困っておられる方のお手伝いができれば…とも思っています。
長くなってしまいましたが、この1ヶ月間本当にありがとうございました。また、いつかお会いできるのを楽しみにしております。