ヨネックス社の経営が順調に運んでいた昭和三十六年のことです。 米山さんは親会社の倒産という思いもよらぬ事態に直面していよ いよ近々連鎖倒産かという瀬戸際のところまで追いこまれたのです。
東京で開かれる債権者会議に出席するため、新潟のJR長岡駅の ホームを無念と絶望の思いで歩いていた米山さんの脳裏には『営々 と築いてきた自分の人生も最早これまでか。オレもこれでもうおし まいか。』という思いでいっぱいだったのです。
そのとき隣のホームに貨物列車がゴォーッと入ってきたのです。
絶望感の中フワーッと貨物列車に吸い込まれそうになった、その時、
と突然声を掛けられ、はっと我に立ち返った途端、辛うじて死を思 い止まることができたのです。弱気になってしまっている自分に気 付き、そのことを恥じた米山社長は東京駅に着くまで列車のトィレ の中で何度も泣けて什方がなかったそうです。「米山さん、どこに行くの」
米山社長ご自身にとって、このときの貴重な体験はその後のヨネ ックス社の発展を支える大きな転機のバネになったそうですが、米 山さんはこのときのことを思うたびに、
「神仏はチャンスを与えて下さるときに、必ずピンチを添え て与えるんです。みんなはピンチの方ばかりに気をとられてしまう んですが、そのときこそ実はチャンスを与えていただいているんで すね」と述懐されておられます。
至誠天に通ずるような米山さんの珠玉の名言をお聞きしていて、 御仏様の真の恩寵(お陰)とはまさにこのようなことを言うのでは ないのだろうかと深く感動いたしました。
チャンスは、本来誰にも平等に与えられているにもかかわらず、 とかく人は同時に与えられるピンチ(試練)に恐れをなし、つい気 を取られている間に、その成果を逃がして手にすることが出来なく なってしまう場合が案外多いのではないかと。
このように考えると、御仏様の恩寵は万人に実に平等で、とても深 い摂理に裏づけられているのだなあと感じ入ってしまいます。
「御仏様から、いつもよく頑張って努力しているねと褒められ、 頭をなでられるような日常生活を送ることが大切なのです。そのよ うに常日頃から努力していると、御仏様に願わずとも願いは叶うも のなんです」とご垂示されたことに本質的に通じることだったから です。
信仰されている方のなかには、「真剣にお願いしているのに、御 仏様は一向に自分の願いを叶えて下さらない」と不満やグチを漏ら す方をみかけますが、御仏様はいつもそれぞれの人にちょうど見合 った高さのハードル(困難辛苦)を用意されているのです。
そして、ハードルの向う側の宝の山から、「早くそのハードルを飛 び越えてこちらへいらっしやい。あなたなら必ず出来るのですから」 と、その人に御利益をお与えになる前に試練を乗り越える体験をさせ 、心を磨かせることによって、少しでも早く真の人間的成長を遂げら れることを心から願っておられることに思いをいたすべきではないで しょうか。
御仏様は決して願いを叶えて下さらないのではなく、いつもどな たの側にもついていて下さり微笑みながら見守って頂いていると思 う、今日この頃です。 合掌
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