1997年8月1日第2号
幸福ニュース

【 心の掃除 】

先日、北九州市内の小学生でトイレ掃除を体験する『掃除に学ぶ 会』に参加する機会があり、私自身いろいろと考えさせられました。
この会は『凡事徹底』『日々清掃』『良樹細根』をモットーとす る(株)ローヤル社長の鍵山秀三郎さんが始められたものです。

当日は鍵山社長も東京から駆け付け、はじめに掃除の具体的なや り方や掃除用具の使用方法について社長自ら説明された後、各自、用意 された掃除用具片手に、腕まくり・ゴム長スタイルでトイレ掃除に取り 掛かりました。

あいにくの雨模様にもかかわらず、PTA等を含め全部で百名を 超える参加があり、それぞれ六班に分かれて校内六箇所のトイレで掃き 掃除から磨き掃除そして水洗い、消毒、掃き掃除と徹底的に磨き上げま した。
鍵山社長も自ら、ワイシャツの腕をまくり素手で直接小便器や大 便器に触れながら、磨き方を指導していただきました。

最初のうち抵抗があった参加者達も、途中からは、もう全員なり ふり構わず、タワシや雑巾、ワイヤブラシを持って、キビキビと汗びっ しょりになりながら、懸命に便器にへばりついて掃除に没頭いたしまし た。
不思議なもので、そうなるともう汚いとか臭いとかいう感覚は全 くなくなり、座り込んで便器に直接素手で触れて水アカが落ちるまでピ カピカに磨き込みました。

約二時間半かけて綺麗になった便所の中を振り返って見たとき、 はっと気付かされたことがありました。
それは、「人間の心もピカピカに磨き込まれていればその人はい つも光り輝いており、その周囲には必ず人が集まってくるに違いないと ・・・。逆に心の中に汚れが溜まっている人は、汚いトイレと同じよう に、人が近づかなくなるような匂いを本人が気付かないうちに発してい るのではなかろうか」と思ったのです。

そして、掃除のための道具としてタワシやワイヤブラシが必要で あるように、御仏様は人間の汚れた心の中を綺麗に磨く道具として、 『試練』『困難』『不遇』『大病』といったいろいろな道具を取り揃え、 状況に応じてその人に与えて下さっているのではないのでしょうか。

そのように考えるとき、これらの『困難辛苦』をあたえられた人 々は、御仏様からもっともっと自らが光り輝くための、心を磨く道具を 与えられていることに気付き、むしろそのことに感謝し、これらの道具 を使って大いに切磋琢磨しながら自己をピカピカに磨き成長していかな ければならないのではないかと思うのです。 合掌

宿題

( 中村 良子)

今日の宿題は つらかった
今までで いちばんつらい宿題だった
一行書いては なみだがあふれた
一行書いては なみだが流れた

「宿題は、お母さんの詩です。」
先生は そう言ってから
「良子さん。」
と私を呼ばれた
「つらい宿題だと思うけど
がんばって書いてきてね。
お母さんの思い出と
しっかり向き合ってみて。」

「お母さん」
と 一行書いたら
お母さんの笑った顔が浮かんだ
「お母さん」
と もうひとつ書いたら
ピンクのブラウスのお母さんが見えた
「おかあさん」
と 言ってみたら
「りょうこちゃん」
と お母さんの声がした
「おかあさん」
と もういちど言ってみたけど
もう 何も 聞こえなかった

がんばって がんばって 書いたけれど
お母さんの詩は できなかった
一行書いては なみだがあふれた
一行読んでは なみだが流れた
今日の宿題は つらかった
今までで いちばんつらい宿題だった

でも
「お母さん」
と いっぱい書いて お母さんに会えた
「お母さん」
と いっぱい呼んで お母さんと話せた

宿題をしていた間 私にも お母さんがいた

(詩集「おかあさん」より)
(親を大切にする子供を育てる会 発行)

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