坂村真民詩集
故坂村真民先生の詩を生前に先生のお許しを得て掲載させていただいております。
「 一つ 」

      

太陽も一つ

月も一つ

明星も一つ

地球も一つ

自己も一つ

一つのものに

光あれ

命あれ

「蓮華院誕生寺奥之院の池に
わたしを待っていた白鷺に」

      

しらとりの鷺坂山の松影に
宿りてゆかな夜も更けゆくを

これはわたしの好きな万葉集の中の歌
その白鷺がじっとわたしを待っている
それは誰の目にも
そう見えたのだろう
Tさんも目ざとく見つけ
そう言われた
夕日が華麗壮大な五重の塔に
映え光り
現世を離れた仏国土を思わせ
初めて訪れた喜びを皆口にした

天降(あも)りせし仏のごとく白鷺は
池に降り立ち迎え見送る

ふるさとに初めてできた
「念ずれば花ひらく」碑を祝し
その代表として
この鷺は飛んできたのであろう
今も瞼にある
一羽の白鷺よ

「 残る 」

      

地球のある限り

石は残る

石に刻まれた

念ずれば花ひらく

八字十音の

真言も残る

残って人を救うてくれ

坂村真民詩集前号

坂村真民プロフィール

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