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2025年03月28日大日乃光第2429号 貫主権大僧正様御親教
ご利益を発心の種にして、信心の花を大きく咲かせよう 

今年は寒い日が続いておりましたが、少しずつ春を感じられる季節になりました。 昨年末に『大日乃光』最終号を執筆致しましてから、大梵鐘「飛龍の鐘」のお身ぬぐい式、除夜の鐘、新春初まいり祈願、本院での十三日正月初まいりでは「けむり護摩祈祷」、星まつり祈願、開運節分豆まきと行事が続き、大変充実した日々を過ごさせて頂きました。

小岱山を駆け抜けるトレイルランニング大会

その他にも一月十九日には陸上競技の一種で、山道など舗装されていないルートを走る「小岱アドベンチャーマウンテン」というトレイルランニングの大会も奥之院をスタートとゴールにして開催されました。 今年はその記念となる第十回大会を迎えました。

朝八時から鐘楼堂で大会の安全祈願祭を執り行い、「飛龍の鐘」の大音声を合図にスタート。境内を一周した後、小岱山中の約二十キロの山道を走り抜き、奥之院に帰って来られます。 今年も三百名以上のランナーが、無事に完走されました。

この大会は毎年多くの地元ボランティアスタッフに支えられて続いています。 山中の危険な場所、分かれ道、医療班、事前の準備など多くの人出が必要となります。 トレイルランニングは今人気のスポーツとなりつつあり、全国各地で大会が開催されていますが、全国を見渡しても、これほど多くのボランティアスタッフに支えられている大会は稀なのだそうです。 日頃から小岱山に親しみを持ち、大切にして下さっている方が多くいらっしゃる事を嬉しく感じております。

「梅博士」と讃えられた祖父、真如大僧正様

二月に入りましてからは、六日から三月二日まで、玉名観光協会主催で玉名盆梅展が開催されました。コロナ禍でお休みした年もございますが、今年で二十一回目を迎えました。 盆栽愛好家が丹精込めて育てた樹齢約百年から二百年の梅の盆栽を、客殿や参道沿いに五十鉢ほど展示しておりました。

梅は当山にとって縁の深い木であります。 先代真如大僧正様が、佐賀の東妙寺で住職を務めておられた頃のお話です。 東妙寺には、元々桜の木が植えてありました。しかし桜だけでは花を見て楽しむだけで終わってしまいます。 真如大僧正様は、花が咲いた後に実を食べる事も出来るようにと、実の成る梅の木を百本ほど植えられました。 当時、日本全体がまだ貧しい時代だったという時代背景も関係していたかと思います。

梅はもともと漢方薬として日本に伝わりました。梅干しを一日に一粒食べると医者いらずとも言われ、体に良い食べものとしても知られています。 東妙寺で穫れた梅は、サイズや形の出来の良さで分けて、特に良いものは「東妙寺梅」のラベルを付けて市場に出すと高値で取り引きされていたという事です。今でいうブランド品になっていたわけです。

先代の真如大僧正様は、佐賀で「梅博士」と呼ばれるようになられたという事です。 剪定の仕方も梅の実が穫りやすく、かつ木の姿も美しいと、植木屋さんが剪定の仕方を習いに来られるほどだったそうです。 奥之院の梅林には、真如大僧正様がお育てになった梅の木が移植されています。 晩年になられてからも、時期が来れば自ら剪定されていたそうです。 古くからの信者さんはこの事を知っておられて、六月十三日の御遠忌法要の前後に、奥之院に梅をちぎりに来られます。 この誌面で知った方は、梅が実る頃にぜひお声掛けください。

山林火災を防いだ不思議な柄杓の体験談

さて、玉名盆梅展では盆栽の展示だけでなく、盆栽の即売所もございます。 玉名の盆栽愛好家の「松風会」の皆さんにご協力頂いておりまして、毎日当番制で参拝者に盆栽の説明や、管理をして頂いています。

ある日、少し手が空いたので、「松風会」の方が待機されているテントを訪ねてみました。 すると、「啓照さんは佛様の近くでお勤めできて幸せですね」と声を掛けて頂きました。 話を聞いてみますと、神佛の存在を確信した瞬間というのを話して下さいました。 その方は年の頃、七十歳を少し回った男性です。 定年で退職されてからというもの、時間が出来て、趣味で散歩を始められたそうです。

普段は近所を散歩する程度でしたが、ある時、山の中腹にある神社の事がなぜか気になり、一度参拝がてら行ってみようかと思い、歩き始めたそうです。 神社に近づいて行くとモクモクと煙が立っているのが見えて来たそうです。 「誰かが近くでたき火でもしているのだろう」と、あまり気に留めずに歩いていると、その煙がどんどん大きくなります。 「これはただ事ではない!」と、駆け足で神社に向かいました。

すると拝殿の方から煙が上っています。 拝殿に上がると、古い建物ですから床板に隙間が空いていて、その隙間から火が見えるほど燃えていたそうです。 すぐに消防署に電話をかけましたが、いてもたってもいられません。消火器や水道がないかと捜しても見つかりません。 ふと縁側を見ると、水鉢に柄杓があるのが目に留まりました。 「このくらいの水ではどうしようもないだろう…」と思いながらも柄杓で水を掬い、火元と思われる床下をめがけて水を撒かれたそうです。 するとコップ一杯ほどの水がサーと広がり、水滴の一粒一粒が火を収めてくれるような手応えがあったそうです。

もしかしたらと思い、無我夢中で五、六杯と繰り返すと、たちまち火が消えました。 自分でも何が起きたかと立ち尽くしている内に、消防と警察が駆けつけて来られました。 そこでそれまでの経緯を説明しましたが、「そんな事があるはずがない」と、半ば放火の犯人のような扱いで、質問攻めに遭われたそうです。 そうしておりますと、地元の消防団も駆けつけて来られました。 たまたまその中に知り合いの方がいて、身分の証明をしてくれて、何とか疑いの目を晴らせたという事です。

「神社が火事で失われないよう、神様や佛様が力を貸して下さって、火を消す事が出来たのだろう、これは人間の出来る事ではなかった」と仰っておられました。 お墓参りなどで御先祖様にはお参りしていたそうですが、この出来事をきっかけに、神佛にも自然に手を合わせるようになったという事でした。

病気平癒のお礼参りのご夫婦から伺ったご利益談

その日はもう一つ、似た様なお話を伺いました。 本堂に戻りますと、「お礼参りで、御祈願をお願いします」と、晴れやかな姿で本堂に入って来られた方がおられました。 その方は五十代手前の男性で、奥様とご一緒に、半年ほど前に病気平癒祈願にお参り頂いておりました。

腎臓が悪く、「早急に手術を受けなければ命がない」と、医者に言われたそうでした。 まさに余命宣告を受けられた直後でしたが、特殊な症例だったため、熊本ではお医者さんがなかなか見つからないといった状況でのお参りでした。

奥之院の祈願では、一度内陣でご一緒にお参りし、その方の塔婆をお作りし、その塔婆を身代りとして本院で続けて貫主大僧正様にご祈祷して頂きました。 するとご祈祷の後、すぐに東京でその分野の名医と呼ばれる医師を紹介されて、入院する事が出来たそうです。

しかし手術の当日になっても、「自分は今日で死んでしまうかもしれない」「家族ともう会う事が出来ないかもしれない」と、怖くて怖くて押し潰されそうな気持で一杯だったそうです。 以前奥之院に参拝された際に、「困った時や苦しい時には皇円大菩薩様のお顔を思い出して、御宝号をお唱えください」とお伝えしておりました。 ふと、その事を手術台の上で思い出し「なむこうえんだいぼーさー、なむこうえんだいぼーさー…」と、心の中で何度もお唱えする内に体が温かいものに包み込まれ、スーッと恐怖心が消え、家族のために頑張ろうと前向きな気持ちになれたそうです。

その手術は無事に成功し、術後の経過も良く、予定よりも早く退院出来たそうです。 皇円大菩薩様が自分に力を貸して下さったと確信しておられました。 それからというもの、毎朝、自然に手を合わせ、皇円大菩薩様の御宝号を唱える様になられたそうです。 まさに「発心」された瞬間のお話を聞かせて頂きました。

お釈迦様の「四門出遊」に、自らの行く末を思う

「発心」とは悟りを得ようする心、菩提心、佛門に入る事を指します。 お釈迦様が発心されたお話に「四門出遊」というものがあります。

お釈迦様は釈迦族の王子様としてお生まれになり、何不自由ない生活を送られていました。 そんなある日、お釈迦様はお付きの者と東の門から外に出掛けられました。 すると杖をついた腰の曲がった老人に出会われます。 老人について、お付きの者に尋ねられると、老化はすべての者に訪れるものと知ります。 自分もいつかはこうなると。そこで老いる苦しみを感じつつ城に戻られます。

次に南の門を出られると病人に出会い、病気の苦しみというものを知ります。 西の門では死人に出会い、死の苦しみというものを知ります。 最後に北の門を出られたら、神々しい出家者に出会いました。 悟りを求め、法を求めるその姿に心を打たれ、出家を決意なされたというお話です。

私たちは老い、病気にもなります、 いつかは亡くなってしまう事を、誰もが知ってはいます。知ってはいますが、若い時代には何となく遠い未来、他人事としてとらえてしまっています。 しかしお釈迦様は、完全に自分事としてとらえられて、すぐに行動に移されました。

私も今年四十歳になります。 現在、日本の男性の平均寿命は八十一歳です。そう考えますと、折り返し地点を回ろうとしている所です。 今までは足し算で年をとっていましたが、これからは、あと何年かと引き算になって行きます。 そのように考えますと、両親やご先祖様から頂いた命に感謝し、日々をただ漫然と過ごすのではなく、少しでも輝くように限られた時間を大切にしなければと思います。

佛様や神様と一緒に新たな生活へと踏み出そう

本誌が皆様のお手元に届く頃には桜が満開に咲く中で、入学や就職シーズンを迎え、新生活に心を躍らせておられる頃と思います。 そんな真新しい生活を送られる中で、御縁のあった佛様や神様を常に身近に感じられるだけでも、自ずとそれまでとは行動が変わります。人生も変わって来ると思います。

新しい事に挑戦出来たり、大変な状況であっても必ず乗り越える事が出来ると信じる事が出来ます。 困った時、苦しい時には必ず身近な佛様や神様が見守られています。 蓮華院の信者の皆様には皇円大菩薩様が必ず手を差し伸べて下さると信じて、一日一日、精進を致しましょう。 合掌



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