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2025年01月27日大日乃光第2423号 貫主権大僧正様御親教
五つの開運招福の心構えで、人生を幸せに歩んで行こう 

厳冬に咲く枇杷の花を愛でる

皆さん、今日は初御縁日法要にようこそお参りでした。改めまして、新年あけましておめでとうございます。

今日は皆さんにお見せしたいと思って、ここに枇杷の花を一房挿しました。もう去年の内から花が咲き、その香りに蜂が一所懸命飛び回っています。次の六月大祭の頃には豊かに実る事でしょう。

今、一年で最も寒い時期を迎えております。皆さん達も暖かい部屋に籠もり気味になっているかもしれません。 そんな中にもこの一房の枇杷の花に、着実に近づく春の足音を実感し、明るく前向きな気持ちになって頂きたいと思った次第です。

成人の日に人生を振り返る

今日は成人の日です。以前は全国一律に一月十五日が成人の日でしたが、今は一月の第二月曜日となり、自治体などで実際に成人式を執り行う日は地方でバラバラに行われています。さらに成人年令も十八歳に引き下がり、非常に分かりにくくなっています。

皆さん達は、ご自分が成人の日を迎えた時の事を憶えておられるでしょうか? 私自身はもう五十二年も前になります。そんな昔の事をと思いますけれども、やはりこの成人となった日というのはとても大切な事だと思います。

「青雲の志」とも言いますが、人生の目標を立てたり、立派な社会人になるための心構えなど、色々と備えます。 中には、今でもその頃の目標に向かって着実に歩み続けている人がいます。逆に挫折した人もいます。 これは本当に、人それぞれの人生模様だと思います。

過去や未来への執着を断ち切るには

しかし中には自分自身で立てた志や人生設計に対して、自ら不必要なブレーキをかけている人がたくさん居られるのです。

どういう事かと言えば、まず過去の失敗をいつまでも引き摺っている人です。過去に起きた事は直しようがありません。にも関わらずいつまでも繰り返し、思い出しては残念がっている。言ってみれば過去への執着が強い人。

また、未来への不安に囚われている人も居ます。それこそ生きていれば、世間は不安な事だらけです。ここで具体的には話しませんが、新聞やニュースなどを見ているとますます暗い気持ちになり、前向きで積極的な明るい気持ちにはなれません。 今日はそんな中でも、私達が明るく元気でいるためにはどうしたらいいのかというお話をしたいと思います。

その前に、私自身にも青春時代の挫折や苦悩がありました。それが今は未練や執着が全くありません。そういった心境に至る過程で得られた気付きがあり、それが今に至る全ての原点になりました。 そんな昔話を、皆さん達のお子さんやお孫さん達の為に少しでも参考になれば有難いと思い、話します。

開山上人様の御命令に導かれて

十八歳の頃、私にはシュバイツァー博士のような医師になりたいという夢がありました。 しかし大学受験に失敗した私に、開山上人様が「高野山に行け」と命令されたお陰で、それまで思っていた希望とは全然違う道を進んで行く事になりました。

高野山の専修学院で、それまでは自覚して来なかった僧侶の世界に初めて触れて、修行の厳しさや素晴らしさを知りました。 その一年で僧侶として生きて行く決断が出来たので、高野山大学に進学しました。大学では学問的にも佛教そのものの奥深さにのめり込むようになりました。そして卒業する頃には大学院への進学を希望し、先生にも誘われるまでになっていました。

ところがそんな中で開山上人様に電話をしたところ、「すぐ帰って来い」と命令されました。まさに鶴の一声で、大学院への進学を諦め、昭和五十一年三月十六日、午前四時に蓮華院に帰り着きました。 その翌日には早速、千人塚の縁石を並べる作業に従事しました。それが帰って最初の日の仕事でした。

それからは、毎朝呼び出されて今日はこうしなさいと、開山上人様の御指示で奥之院での様々な作業に邁進する日々を送りました。 奥之院の造成計画の段階で、小岱山の下流域の全ての自治体から承諾を得るために、頭を下げて走り回った事もありました。 その頃、私はもっと佛教の学問をしたいのに、土方をするために帰って来たのかと、非常に残念で仕方がなかった。 開山上人様がどんなお考えなのかを、当時は理解出来なかったからでした。

そんな中、銀杏の接ぎ木に従事していた私に、開山上人様が「ちょっと来い」と声を掛けて来られて、 「お前は今どんな気持ちで接ぎ木をしているのだ」と話し出されました。 そして「皇円大菩薩様という非常に生命力のある台木にお前という接ぎ穂を接ぐのだ。接ぐためには何が必要かもう充分解っているな?」と、根源的で示唆的な事を話し出されたのです。

「五十年前に皇円大菩薩様と接ぎ木して今の蓮華院があり奥之院がある。しかしその木ももう枯れようとしている。お前はその枯木の先に自分を接ぐ必要はない。お前は新たに新しい台木(皇円大菩薩様)に自分を接ぐ事が大事だ。私とお前は個性が違うんだから、自分自身のやり方が自然に出て来る。だから今は佛様と一体になる事が一番大事だ」

開山上人様は、皇円大菩薩様という大木にお前を接ぎなさいとそう仰ったのです。 それが蓮華院の僧侶としての生き方に目覚めた大きな一つのきっかけでした。

それから半年後に開山上人様は御入定されましたから、今となっては開山上人様の御遺誡を直接受けられた貴重な体験の一つとなったわけです。 その後、自分は開山上人様を通じて皇円大菩薩様から呼び戻されて、今ここに居る。御本尊様に信者さん達の祈りを繋ぐという、自分の果たすべき使命をやらせてもらっているという自覚を日々ますます強くする中で、いつしか自分が果たせなかった夢への未練や悩みは雲散霧消していたのでした。

さて、ここまでは私の個人的な思い出話でしたが、私達はどういう心構えで生きて行くべきなのか?どうしたら運が開けるのか? これから私達個人個人に絞って話したいと思います。

笑顔で挨拶をしよう

まず第一には笑顔です。 起きたら朝の挨拶は当然ですけれども、その時に必ず笑顔で挨拶する事。 どんなに夫婦喧嘩をしていても、またどんなに子供を怒鳴りつけた明くる日でも、朝の一番の挨拶の時には笑顔でにこっと笑う。 そして職場でも自分から笑顔で接する。 これはとっても大事です。

心の中に感謝の気持ちを持とう

第二に、いつも心の中で佛様に感謝し、ご先祖様に感謝する事。 その感謝の気持ちをしっかり心の中に置いておく事です。 感謝の気持ちほど人を前向きに積極的にするものはありません。

自分は運が良いと信じよう

第三に、自分は運が良いと信じる事。 今までは運が悪かったと思ってきた人も、今日からは運が良いと信じましょう。 何しろ皆さん達は、皇円大菩薩様を信仰しておられるんですよ。 それでもまだ運が悪いと思う人は、まだ自分の心と信仰がピタッと合っていないからです。先程の接ぎ木の喩えで言えば、まだ完全に接いでいない状態です。 心と信仰の一致を目指して日々精進して下さい。

具体的には「自分は幸せ者なんだ」「自分は何て運が良いんだ」と、いつも心にそう思い、時には口に出して独り言でも言えば幸運な事が起きて来るのです。 この言葉が幸運を自然に引き寄せるのです。「言霊」と言うぐらいですから。 いつも愚痴ばかり言っているような人には、逆に愚痴になる様な不満に思う事が起きるようになって行きます。

そうではなくて「自分は運が良いんだ」と、錯覚でも思い込みでも何でもいいから、自分を騙してみましょう。 今まで自分は運が悪いと思っていた人が、「いや、そうじゃない。それでも恵まれている…」と、良い事を探すのです。 これは内観と一緒です。

自分はどれだけ恵まれているのか。両親からどれだけ愛情を受けて来たか。 そういう事で「自分は運が良い!!」と、心の中にしっかり収めて下さい。

他人に優しくしよう

第四に、自分は運が良いと信じられたら、今度は自然に他人に優しくできます。 自分は運が良いと思っていて、運が良い事が起きても起きなくても、いつも笑顔でいて、感謝の気持ちをしっかり持っていれば自然と人に優しくなれます。

それを意図的に、「今日は誰を喜ばせようか」とか「どれだけの人を助けられたかな」「何人の人のお役にたてたかな」などと、そういう思いを持ちながら他人に接するという事です。

今を精一杯に生きよう

そして最後に、今のこの瞬間に精一杯になり、集中する事です。

皆さん達が法話を聞いている、今この瞬間に心を集中するという事。 これだけ大勢いらっしゃるから、中には今、「帰りは何で帰ろうかな」とか、「帰ったら何食べようかな」とか、「昨日主人と喧嘩したんで何て言おうかな」などと、心ここに在らずの方がおられるかもしれませんが(笑)、それではいけません。

いつも今やっている目の前の事に集中して、精一杯に生き切る事です。 例えばご飯を食べる時には食べる事に集中し、しっかり噛んで味わえば、余計に美味しく感じるし、栄養にもなります。

今に生きる。今を生きる。 今に集中して生きる事が、幸せになるための五つ目の最後の条件です。

今日お話しした五つの事を皆さん達がしっかり憶えて、家に帰られたらご家族でしっかり実践されて、今年一年、そして将来を幸せに送られますようにと、切に念じております。 合掌




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