第13回九州内観懇話会
去る8月27日に、佐賀県唐津市の「国民宿舎 虹の松原ホテル」において、第13回九州内観懇話会が開催されました。若い2人の方の内観体験の発表があまりにも素晴らしかったので、皆様に紹介させていただきます。
(1)「摂食障害」(女子大学生)
池上先生の熊本大学での夏季集中講座を受講して、過食症が治った。
思春期の女の子には変身願望がある。
「やせたい。やせたい。やせたい。」とジョッギングや水泳を毎日やっていたが、リバウンド(反動)で大量に食べてしまい、自己嫌悪に落ち入った。
それで、トイレでのどに指を入れて吐いてみたら、できた。
それ以後、食べてその後吐くという食生活がコントロールできなくなった。
(大食いしてしまう。食べたらトイレで吐く)
自分で自分が手におえなくなり、ますます自己嫌悪に陥るという悪循環。
相談したカウンセラーに対する不信。
他の対象に気持ちを向けてみても暴飲暴食はおさまらなかった。
何事に対しても批判的になった。
単位が欲しかったので、池上先生の講座(5日間)をとった。
一日3時間の授業(90分講義、90分ビデオorカセット・テープ、90分内観ミニ実習)
母に対する憎しみがあった。
母に対する内観で、母が自分にしてくれた事が次々に思い出された。
母に誉められる自分のためにお返ししていた。
母の無償の愛に気づいた。
自分がきれいになってチヤホヤされたいから、ダイエットを始めたことに気づいた。
自分が原因だとわかった。
今までは自分がかわいそうと思って泣いていた。今回は嬉しさで泣いた。
ご飯に対して「ごちそうさまでした。ありがとう。」と初めて言えた。
心の中のモヤモヤが始めて消えた。
ものの見方が変わった。自分は不幸なんだと思っていたが、実は幸せなんだと気づいた。
幸福に生きるには、自分に与えられるものがどんなに小さくても、それに気づいて感謝 することだと思う。
今後は、我執を少なくし、見返りを求めないで、人助けをしていきたい。
(2)「非行からの立ち直り」(26才男性)
盗み等の非行で、施設には入っていた。
親を敵として見ていた。親はむかつく存在だった。
母を憎み、父をバカにしていた。
施設で、やくざの親分だったが、内観で更生した「橋口親分のテープ」を聞いた。
人生をやり直したいと思い始めていた時、「内観をやらないか。」といわれた。
施設を出てすぐ、佐賀市の多布施内観研修所で内観した。
母親に対して、内観3項目を調べた。『してもらった事、お返しした事、迷惑かけた事』
母の愛情に飢えていたことや、弟への嫉妬に気づいた。弟以上に自分を愛してくれたと今は思う。
内観をしなければ、永久に母を憎みつづけていただろう。
自分は人に生かされていたということに気づいた。自分は一人ではない。たくさんの応援してくれている人がいる。
嘘と盗みについて:
悪いことをしているという感覚がない。欲しいものをとる。
悪いことをすることがカッコイイ。
見栄。悪いことをし、ツッパッて、大きくみせている自分がカッコいい。
内観をして、小さい自分をさらけ出す事がいいと転換した。
内観をやったおかげで、何かふっきれた。
内観終了して外に出た時、外の景色が違って見えた。木々が光り輝いていた。
初めて両親にあやまった。
当たり前に生活して当たり前に生きる。これが親孝行。
罪は法で裁かれても、あの世に行っても消えない。
今後は、同じあやまちを繰り返さない。人に迷惑をかけないことを心がける。
おれは変わったんだぞと言える日をいつか迎えたい。
自分はここで約束します。日常内観を再度続けることを。
人を信じられなかった自分が、こんなにも変われるとは思わなかった。
摂食障害は非常に治すのが難しいと言われています。精神科医の方も驚くような内観の効果でした。若い男性の方も元気に働いています。
9月2・3日には、東京の青山学院大学で、第4回内観国際会議が開催されました。世界各国から、約150名の人が集まり、非常に中身の濃い会議でした。
内観は宗教ではないが、生命の根源、本質的なものに通じる技法であり、国籍・人種を問わず、有効なことが確認されました。また、医療にも応用され、内観療法は多方面に展開されており、今後ますます世界中に広まるであろうことが予感されました。合掌